中小企業のES=人間性尊重経営のパイオニア/有限会社人事・労務 ES組織開発・人事制度改革ブログ

社員の幸せ、職場の幸せを基準に経営を、社風を変えたいと本気で思っている社長さん・人事担当者の方へのエールをあなたへ!

『ソーシャルシフト』著者・斉藤徹先生とお会いしました。

2020-01-27 19:31:48 | 組織開発・社風改革
先日、『Be ソーシャル』『ソーシャルシフト』の著者・斉藤徹先生とお会いする機会をいただきました。

斉藤先生は、これまでのご自身の起業・経営の経験も踏まえ、学習院大学で経営学の教鞭をとっていらっしゃいます。そこで学んだ学生の中から「イノベーションチームdot」というチームが生まれ、更に、新規事業に取り組む株式会社dotという法人を立ち上げ事業をまわしています。



今回は、かねてより斉藤先生の書籍を愛読書としていた矢萩と共に、自律分散型組織についてお話を伺ってまいりました。

働き方改革は、休み方、生き方改革 ~ワークライフバランスでなくワークライフジェンガ~▼

斉藤先生が提唱しているのが、「幸せを基点とした経営」です。
目先の利益・お金を中心にした経営ではなく、本質的な幸せを目指しながら経営をしていくことでエネルギーの循環が変化していく、という考えは、渋沢栄一氏の「道徳経済合一説」とも重なり、これからの組織づくりにおいて基軸となるものです。
そして、そのような経営を実践していく上で、コントロールを手放しながらチームを動かしていくスタイルとして“自律分散な組織運営”を研究し、dot.の組織においても実践されています。

この日も、職場の一角では、学生メンバーによる企業「dot.」の週一回の会議が開かれており、穏やかな中にも活気ある場がつくられていました。
私たちが取り組んでいる活動を説明すると、すぐに「こういう形ができますね」「こういうこともつなげられるのでは」とさまざまなアイディアを投げかけてくださり、短い中でも創発的な時間をつくり出すメンバーの皆さん。
このようなイノベーティブな場が生まれるゆえんは、メンバーの中に「しなくちゃ」という思考が無く、お互いの強みを発揮しながら取り組む心理的安全性が働いているからこそ。

まさに自走するチームここにあり、という空間でしたが、斎藤先生は、働き方改革でどうも機械的な管理の傾向が強くなりつつあるようにも感じる今の日本の社会において、共に働く一人ひとりの幸せを大切にしていく組織をつくるために、“関係性の質を高める”ことから注力すべきとおっしゃいます。
ダニエル・キムが提唱している「成功循環モデル」によれば、関係性の質を高めると個々の思考の質が高まり、行動(パフォーマンス)が高まり、結果の質の向上につながる、と言われていますが、例えば、目標管理による成果評価など”結果の質”を高めることから注力しようとすると失敗し、”関係性の質と結果の質の両面”を高めようとすると働く個々にとっては不幸せな状態になる、とおっしゃいます。

では、いかにして組織に良いサイクルをまわしていくか。
それは、個々の発達段階を高めながら、“関係性の質”からスタートするこのサイクルを速くまわしていくことである、と斉藤先生はおっしゃいます。
IT化やSNSの浸透が進み「ぽちっと押せばすぐにリアクションがある」「メッセージを投げかければ何か返事が返ってくる」という状態に慣れた現代においては、仕事の成果や課題をすぐにフィードバックする「リアルタイムフィードバック」が重要であると言われています。
経験を通した気づきや学びのふりかえりの機会をすぐに設けたり、何か課題が見えた場合に後回しにせずその場でしっかり指摘し対話をしたり、という経験学習サイクルを着実にまわしながら、人間関係や組織への所属意識、仕事への愛着心など、さまざまなつながり意識=関係性を整えていくことが、幸せを基点にした経営においても重要というわけです。



このような経営・組織づくりの考え方は、「こうすべき」という理論で理解するのではなく、自然や地域をフィールドにした経験でワクワクや幸せ感を体感し、そのワクワクの源にあるものが何なのかを考えながら理解していくことが重要なのではないかと感じました。
職場という枠を越えて自然・地域という広いフィールドの中でこれからの”はたらく”について考えること。
まずは組織づくりを支援する私たちが”幸せを基点とした経営”を実践し、機械的な管理から自然のありようを踏まえた組織づくりへとシフトできればと思います。
そして、これから社会に出てくる若者たちが、不安や恐れよりもワクワクや希望をもって一歩を踏み出し、”はたらく”を通してのびやかに人間的な成長を実現できるよう、ES経営を実践する職場を増やしていきたいと改めて強く思いながら、代々木を後にしました。

斉藤先生、貴重なご縁をありがとうございました。

自然から気づかされる自身の在り方と他者との関係性

2020-01-22 17:11:26 | 地域貢献
心待ちにしていたこの日。

多様なmemberの存在が素敵な場を創り出す。
一人ひとり一つひとつ活かし活かされのエネルギーの交換を味わう。



はじめましての緊張の表情から。
生命豊かな場に降り ゆらゆらと熱を発する火を前に 身体にしみこむ豊かな食事を頂いて そして【共にハタラク】時間を過ごすことで
きらきらと輝く表情へと移り行く。


「自然から学ぶ!でなく気づかされる。」【気づき】を頂く。
瞑想~心を「今」ここに寄せることを体験し毛利先生の言葉の真意に触れることができた気がした。



ビニールハウスの中でぽかぽかクレドワーク。
薪ストーブ・お釜で作った鍋と彩ピクルスが身体に染みる。





自然農法のお話から毛利先生指導による皆総出で竹チップそして堆肥づくり。
瞑想のファーストステップを練習し 自然の中思い思いの場所に身をおき15分程。
お酒片手に香り豊かな紅茶を片手に~火を囲んでの振り返りのひと時。
すべてのプロセスが皆自ずからハタラクを実践していることで成り立っていた。



自然の中で思い思いの場所に身をおき15分程。
呼吸と共に頭上3メートル後方から自分を眺める(ように意識)。
自然に包まれ 心優しく真摯に生きる仲間の存在に光が差し そして自分がその一部として在ることに有難い。

思い通りにならない自然たちを相手にしている仕事を本業としている毛利先生や自然農法を営む田中サンのお二人のイキイキと話される表情を見ていると
自身の仕事が自然の一部となっている~自然とのエネルギーの交換・循環を感じられるものであると
幸福感が高く 他者にもエネルギーを渡せるようになるのだろうと感じた。



「今この瞬間」のみに意識を集中させることで あれこれ思い悩む脳と心を休める~瞑想を日々の中に少しばかり取り入れていく。

ただ在るという時間を過ごすことの贅沢とやっぱり他者が日々に彩を与えてくれているという豊かさを感じた。

今あることに感謝し。多様なmemberと共に歩み進めていきたいと思います。



今年は在り方を整え、より異なりを丁寧に味わい愉しんでいきたいと感じた2020年の始まりでした◎

働き方改革は、休み方、生き方改革 ~ワークライフバランスでなくワークライフジェンガ~

2020-01-21 19:54:34 | 組織開発・社風改革
先日、BEシフトという書籍を出し、私自身、大きな影響を受けた学習院大学の斉藤先生から働き方改革についてユニークな表現をされ、これはおもしろい!と。

その言葉は、ワークライフバランスでなく、ワークライフジェンガ!?

その標語の説明のまえに私が斉藤先生との対話をちょっとみなさんと共有させてください。



ここ最近、働き方改革って休み方改革だよなあと最近つくづく思います。
働き方改革をすすめている様々な会社でおきているのは、休みを増やし、労働時間を減らしているのにもかかわらず、体調不良、メンタル不全の社員が増えているのはどういうことでしょうという相談が急上昇。

弊社がお世話になっているメンタルクリニックの先生に伺ってみました。
それは、働き方以上に休み方に問題があるとのこと。

働くと休むは表裏一体。片方だけを意識的に変えてもだめ。
トータルで意識的に変えないとかえって体調を崩してしまうというのです。

例えば、体を動かす職業の方は、休日は体を休息させて家でゆったりと過ごす。
または、ゆっくりとしながらも読書など頭を程よく動かすことも必要。



逆に、デスクワークの多い方は、体を程よくうごかす。ハードは運動は禁物ですが、体を動かすのが良いとのこと。

そして、感情労働についているような方は、美術館や音楽を聴いたりと芸術に触れたり、自然の中に身をおいてマインドフルな時間を設けるなど精神を開放することが良いとのこと。

普段使っている頭とは違うことをすることにより、心身ともにリカバリーするというわけです。

いま、働く人の多くは仕事の意味を見いだせない、生きる実感がわかないといって、メンタルをおかしくする人が増えているが、自分の内面に向ける時間が圧倒的に足りないという。外の情報や刺激にさらされすぎてそれに反応するばかりになっているということ。

それでは、自分の内面に、どんな真実の自分の思いがあるのかわからないと斉藤先生。



確か、陸上の為末大さんは、練習も大事だがそれ以上に大切なのは休んでいる時の過ごし方だと述べています。なるほど、プロであればある程、休み方は大切なんですね。

さて、冒頭のワークライフジェンガという標語の意味は以下の通り。

私達の働きがい、生きがいはまるでジェンガのようだと。
何層にもそれは積み重なっており、働き方が崩れるとライフも崩れ、ライフが充実していないと働き方も崩れる。つまりジェンガのように立体的に折り重なって一つになっているのだと。

つまりトータルでクリエイティブに、いかに全体で捉えていくのかまさに生き方改革が問われているのだなあと。複雑な時代なだけに私自身も意識して休み方に取り組みトータルで真善美を意思して毎日を過ごしていこうと再度考えさせられる、そんな素晴らしい斉藤先生との対話のひとときでした。


『ソーシャルシフト』著者・斉藤徹先生- 幸せを基点とした経営 -▼

社会実験⁈【ローカルとつながる無人販売】からうきあがってきた つながりの経済

2020-01-21 13:53:27 | 地域貢献
【ローカルとつながる田心マルシェ】を発展させた【無人販売】プロジェクトがスタートして半年。



無人販売にご協力頂いている SaboAsaichiにてお昼をとりながら打ち合わせ中。
ふと外の棚に目を向けると自転車できたとある奥様が大きなカリフラワーを手にしている。

SaboAsaichiの店長サンがさっと外に出てその奥様と会話をされる。

「前回買ったお野菜が美味しかった」と無人販売に今日も足を運んでくれたとのこと。
今日はカリフラワーとルッコラをお買い上げいただいた様子。
そして 嬉しいことに お野菜の注文書を手に取り「FAXで頼めるのねぇ…!」と持って行った。



無人販売。
直接、声でお野菜の魅力や生産者のこだわりをお伝えはできないが
その分 安心安全美味しい!農薬不使用のお野菜を多少安価に地域の方に手にとってもらうことが出来る。

また何より ご協力いただくお店や地域の方との繋がりに助けられ、このお釣りが出ない「無人販売」の仕組みに お心づけとして 売上以上のお金が入っていることもあった。



私はここに暮らしとハタラクが融合する下町-浅草の魅力を見ています。
渋谷や六本木の高層ビルばかりが並び、人々の歩くスピードが速い都心のマチで、このココロミは成り立つだろうか。
繋がりを大切にする下町-浅草だからこそチャレンジできるプロジェクト「無人販売」という実感をもった。


昨年の台風ではローカルに守られる都市の姿を実感した。
ローカルは大雨と川の氾濫で畑が湖のように…海原のように水に浸かってしまったが 一方で何だかんだ報道陣が騒いでいたが都心の大半は守られた。

※ 春日部市 縄文ファーム 2019年の台風時、浸水した田畑


福島原発と都市
地下宮殿と都市
渡瀬遊水池と都市


ローカル:
つながり、自然、宇宙のリズム

都市:
柵(シガラミ)からの解放、便利さ、物質的な豊かさ

ローカルに無いものは都市にあり、都市に無いものはローカルにある。
ローカルと都市の関係性の再編集の仕直し、デザイン。


都市の問題はローカルが解決し、ローカルの問題は都市が解決する。
ローカルに仲間がいて 都市に仲間がいれば つながりでお互いの問題が解決できる。



「農」と「食」で持続可能な循環型のライフスタイルをデザイン!と903シティファーム推進協議会を立ち上げ駆け出したのが4年前。
3年前より【ローカルとつながる田心マルシェ】を開催し地域(下町-浅草)でのご縁を頂いてきた。
今ここ。
この場から大切なローカルといかにつながり心豊かな時間をカタチ創っていけるか~皆さんと考え創りだしていきたい。
マルシェそして2020年はよみがえれ!浅草田圃プロジェクト&たごころカフェを通して 試行錯誤しながら多様なメンバーとともに前進していきたいと思う。

デジタル・ガバメントの歩みと企業のイノベーション~企業の人事・労務担当者として理解しておきたいこと~

2020-01-17 16:03:33 | 経営全般
令和元年5月31日公布、令和2年1月7日施行した「デジタル手続法」(情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律)その他関連改正が実務に大きな影響を与えている。

やれ電子申請義務化だ、マイナンバーカードがどうした、と実務に携わる人たちにとって混乱必至なお題である。この機会に整理してみよう。そもそも今回の改正はどのような背景で行われたのか。

「デジタル手続法」では「行政のデジタル化に関する基本原則などを定める」とともに「行政のデジタル化を推進するために、各個の施策を講じ」るようにとされている。すなわちデジタル・ガバメント(電子政府)成立に向けた動きだ。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/digital.html (首相官邸HPより)

今回の改正では、「行政手続オンライン化法」(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律)を改名した「デジタル行政推進法」(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)の改正、「住民基本台帳法」の改正、「公的個人認証法」の改正、「マイナンバー法」の改正がされている。なんとも幅広い法改正だ。

「デジタル手続法」の基本原則は、「国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会の実現」のために、

①デジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
②ワンスオンリー:一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
③コネクテッド・ワンストップ:民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する

ことである。

こと社会保険実務においても、行政手続の利便性向上や、行政運営の簡素化・効率化のために、情報通信技術を活用して、「行政手続のオンライン原則」や「添付書類の撤廃」等が国を挙げて推し進められていく見込みだ。

この点、令和元年5月31日に発表された、「行政手続オンライン化法」に基づく「平成29年度棚卸結果」において、オンライン化の法令上の可否についての検討、(例えば雇用保険法に基づく日雇労働求職者給付金の失業の認定に係る手続、日雇労働者求職者給付金の特例の申出の手続が、「法令上オンライン化適用除外」であるなど)や、各省庁約8700もの行政手続のオンライン化状況についてが検討・報告(実施済1841手続・実施予定156手続)されている。
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/denshiseihu/jujo29.html (厚労省HPより)

デジタル・ガバメントに向けた取り組みはこれだけではない。令和元年6月14日「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」に関する閣議決定では、「個人のライフイベント」のみならず、「従業員のライフイベントに伴い企業が行う社会保険・税手続についてマイナポータルのAPIを活用したオンライン・ワンストップ化を令和2年11月頃から開始し、順次、対象手続を拡大する」予定であるとされている。



繰り返しになるが、行政手続のオンライン化及びワンストップ化の利点は、主にコスト削減と効率化である。

手続のワンストップ化に先駆けて、すでにオンライン化された手続についての一歩進んでその電子申請を義務化する動きがある。政府全体の行政コスト削減が目的、利用促進を図り、行政負担軽減を狙う目論見だ。
雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平31.3.8 厚労令19)により、一部の企業について、下記一覧(厚労省リーフレットより抜粋)の手続について電子申請により行うことが義務化される。施行日は令和2年4月1日とのこと。



詳細は下記URLより、
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00004.html (厚労省HP)

このような試みを通じて、マイナンバーを起点に、社会保険・労働保険の分野においてもデジタル技術を徹底的に活用して情報の一元化と情報利活用を行い、社会課題の解決(ひいてはデジタル・ガバメントの実現)を図ろうとするのが中長期的な目標だ。

この動きを見ていると、国のデジタル・ガバメント成立に向けた取り組みの要はマイナンバーカードの「普及」と「利活用体制の整備・拡充」にあるということが分かる。

企業担当者視点でこの動きを鳥瞰すると、
この構図は、ちょうど企業のイノベーション促進、効率化に向けた「情報の見える化」、「一元化された情報の利活用」(データアナリシス、AI導入)の気風とパラレルにとらえることができる。

国(Society5.0)も企業(HR Tech)も、データ収集の内製化、活用方法の模索が昨今の潮流であるといえる。


デジタル・ガバメントの動向として追記すると、6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議より取りまとめられた「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」を基に、令和3年3月を目標に、マイナンバーカードが健康保険証としての利用できるようになる予定だ。マイナンバーカードの公的個人認証機能を活用してマイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、診療時における確実な本人確認と保険資格確認が可能になるよう準備が進められている。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/leaf2019_hokensho.pdf (厚労省リーフレット)

デジタル・ガバメント(電子政府)の推進の末、深刻な「デジタル・デバイド」(利用者間の情報技術格差)が生じているだろう。それは国も懸念しており対策が進められているところだが、個人レベル・企業担当者レベルでの高いデジタルリテラシ―を求められることは間違いないだろう。

同様に、HRTechに取り組みたいと思っている企業と実際に運用する社員を取り巻く環境も同様の苦難にさらされる可能性は多いにある。どんなサービスを使って情報を一元化するか、どんな取り組みをして情報を活用していくか。コツコツと理解を求める謙虚な姿勢の努力が一層求められる。