中小企業のES=人間性尊重経営のパイオニア/有限会社人事・労務 ES組織開発・人事制度改革ブログ

社員の幸せ、職場の幸せを基準に経営を、社風を変えたいと本気で思っている社長さん・人事担当者の方へのエールをあなたへ!

ダイバーシティ時代のES組織開発

2016-02-12 14:05:30 | ダイバーシティ
関係性のマネジメントへの投資は、これからますます大切になる。
その前に、関係性のマネジメントが大切になってきた経済背景を
見ていきたい。
1980年代を境に日本の経済環境は、大きく変わった。
名目GDPの1955年当初の推移をみてもわかる通り、
1955年当初の8兆円規模だった経済規模は、それから、
一直線に1990年まで右肩上がりに上昇し、1990年には、
442兆円規模に、まさに50倍を超す経済規模になった。



しかし、それ以降は、このグラフを見てわかり通り、
横ばいが続く。

これは、私たち経営者にとって何を意味しているのか。
それは、1990年前と後では、まったく異なる、
企業経営の成功モデルが存在しているということに他ならない。

1990年までの成功のセオリーは、変えないこと、考えないこと。
答えは、過去もしくは、市場にあるというセオリーだ。
過去成功したことを、私たちは、さらに大規模に効率的にやる、
もしくは、市場で成功しているものをいち早く真似し、2匹目、3匹目の
ドジョウを狙うというのがそれまでの成功モデルであった。

しかし、1990年以降は、その成功のセオリーが一変する。
変化すること、思考の質がその成功の要になる。
過去、市場には、答えがない。お客さんのニーズにそって商品を
つくること、そしてさらには、お客さんすらも気が付いていない
ニーズをお客さんに寄り添ってお客さんと一緒に商品を
つくるという先鋭化したビジネスモデルを思考しお客さんから
一番近い現場が主体性をもって経済活動することが求められる時代に
なったといえそうだ。

さて次は、会社経営そのものについて見ていこう。
このグラフは、企業の戦略目標の複雑性とそれにともなう組織の
繁雑性についての推移だが、私たちがなんとなく
感じているように、お客さんからの要望は年々複雑化し、直線的に
解決できる問題はほとんどない。



私たちの経営効率も、ほっとくと年々低下する傾向にあり、
管理職は、部下と話をする余裕もないくらい忙しくなっているのに一向に
生産性は上がらないという感覚はみなさんお持ちではないだろうか?

組織の戦略目標は、6倍になったということ以上にそれに伴う、
繁雑性が35倍という驚異的な数字になってしまっているのがこのグラフからも
わかります。

さて、私たちは、このような複雑で、経済成長が大きく変化する見込みが
ない中どのような心構えで企業経営をやっていく必要があるのでしょうか?

アインシュタインは、次のような言葉を述べています。

我々の直面する重要な問題は、その問題を作った時と同じ考えのレベルで解決することが
出来ないと。

つまり、複雑な問題は、複雑性で対処せよということです。

私たちは、人件費削減、義務としての多様性かた、戦略としての
ダイバーシティ―へと大きく舵を切るそんな新しい時代に直面しているのです。

1990年代までの男性中心の、国籍が一緒、仕事観も人生観もそれに伴う、
モチベーションも同質化していた組織から、人材の流動化が進んだいま、
帰属意識が低い人材が増加している。ダイバーシティ経営に求められているのは、
そんな、多様な働き方にともなうそれぞれの文化違いを乗り超える努力を私たちがしていく
必要性が高まっているというこだ。

職場は、今までとは全く違う環境になって生きている。社員の40%が非正規社員となり更に
その比率が高まっていく中、仕事に求められているものの違い、帰属意識の違いから、
遠慮や行き違いが生じていく。また、葛藤(ストレス)が生まれほっておくと、
労労対立が生じたり、メンタル不全、パワハラ、セクハラへと発展していき、
アノミ―状態と化していく。

日本の職場は、さらにモザイク職場になっていくのは必須である。
しかし、それは、良い点に向ければ、ノーベル物理化学賞の江崎玲於奈氏が、
言っているように、イノベーションを起こす原動力になる。
氏は、イノベーションは、組織化されたカオスから起こるといっている。



私は、いままで組織を人事制度を変えること、規則を作ること、新たな戦略を立てたり、ビジョンを示すという
ハードのアプローチから組織の問題を乗り越えていこうとしていたが、それは、長い目で見ると組織の力を
下げることになる場合が少なくなかったと反省している。

これらの仕組みがうまく作動するのは、ハードよりも、ソフトの関係性、違いのマネジメントがしっかりと出来て上がっている
企業が、それを言語や制度で見える化することでうまくいくケースであり、逆は実はうまくいかないのだ。

いま私たち経営者に求められているのは、関係性、違いのマネジメントというソフトのアプローチからの
組織の問題解決ではないだろうか?

次回は、組織の4つの力学の視点から関係性のマネジメントについて解説をしていきたい。