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天皇誕生日、天皇陛下よりの御言葉。矜持をもって日本の風土を大切に外国人雇用を専門家として弊社も進めます!

2019-01-10 21:35:17 | ダイバーシティ


昨年12月に改正入管法(出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案)が成立した。新たな在留資格「特定技能」が追加され、今年4月より施行予定である。人手不足を補うために外国人労働者を受け入れることが明言され、現在日本の農業現場で働く外国人の多数を占める技能実習生とは、扱いや働き方が大きく変化することになる。農業における技能実習生の総数は約2万7千人(平成27年度法務省データ)であるが、今回新しく創設された在留資格「特定技能」での農業分野の受入れ数は、今後5年間で3万6千人を見込んでおり、現在技能実習生として在留する外国人の数を大きく上回ることになる。また、昨今日本に在留する外国人が増加していることを受けて、その保護やサポート体制の充実へも多くの関連予算がつく予定であり、日本社会全体として外国人と共に生きる社会をつくっていく機運が高まっている中での法改正であることも意識しておきたい。

さて、往々にして法改正というのは、実際の社会の流れとは遅れてくるものである。新しい制度ができる際には、それ以前に類似する制度が実際には存在しており、それらを改善・追加する形で新しい制度が社会に広がっていく。その例が昨年大きな法改正があった技能実習制度や、昨年の夏頃から新たに始まっている「国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業」である。実際の運用は後者の特区での運用に改善・追加した形になると予想される。

<在留資格「特定技能」の概要>

特定技能1号及び2号という区分があるが、1号を終えないと、2号に移行することはできない。2号については未定部分が多く、農業分野では2号は設置されるかどうかも未定。

「特定技能1号」の要件:特定技能評価試験(技能と日本語の試験)の合格または、農業分野の技能実習2号を終了すること。

<特定技能1号の特徴と予想される動向>

●雇用形態は直接雇用・派遣の両方がある。
●転職可能。
●在留期間が通算5年であれば何度でも帰国して戻ってくることができる。
●複数の事業所での農作業に加えて製造・加工・販売業の作業に従事できる可能性も高い。
●雇用人数の制限なし
●労働基準法の農業の適用除外も日本人労働者と同様

このように、日本人にとっても、受け入れる側にとっても自由度が格段に上がるので、技能実習制度では来日を躊躇していた外国人のハードルが下がり、来日しやすくなり、労働者1人1人の働き方が多様になる。そのため、どのような人材が必要なのかを明確にし、雇用形態や給与を定める必要がある。技能実習制度では、実習という性質上、全員一律の給与形態の事業体も多かった。しかし、労働者の転職も認められ、労働者確保の競争も激しくなると予想される中、1人1人の満足度を高める給与形態と仕事内容、生活支援を準備する必要がある。これらの労働者の雇用・生活環境整備、さらに申請手続き等については登録支援機関に委託・相談が可能になる。また、派遣・仲介費用や、抱えている外国人候補者は派遣事業者や仲介業者によって異なるので、どの会社を利用するのかを比較検討する必要がある。技能実習制度では監理団体のみが仲介機能を果たしていたが、特定技能外国人では、様々な仲介事業者が乱立すると予想される。

詳細は未定の部分も多々あるが、今回の法改正を受けて、雇用する側にとっても、外国人労働者本人にとっても選択肢や自由度が増すことになり、より多様な働き方を農業現場や、農業の現場を飛び出して外国人労働者が行っていくことになると予想される。仕事の幅が広がることで、外国人労働者の意欲の向上にもつなげることができる。また、帰国後に外国人労働者とのつながりを活かして、農産物を輸出したり、新たな人材を紹介してもらう等の広がりも考えられる。しかし、自由度が高い分、雇用者側と本人のミスマッチが起こると、すぐに他の事業所に移ってしまう可能性もある。そのため、言語や文化・習慣の差を受容し、埋めていくためにできることを考え、どのような人材を採用したいのか、具体的にどのような仕事をしてもらいたいのかといった点を事前にどれだけ準備しておけるのかが、新たな外国人労働者の受け入れを成功させるために重要になってくるだろう。例えば、副業や多様な働き方が推進されつつある情勢を活かして、言語や文化に理解のある日本人を短時間農作業アルバイトで募集したり、地元の企業と連携することも考えられる。グローバルやインバウンドの流れを受けて、外国文化に触れるという日本人の需要も高まっている今、外国人労働者と共に働き、生きる環境を農業現場でつくっていくことを通して、農業業界全体が盛り上がる機運をつくっていく一歩としたい。

一方で、外国人の受入れによる労働者の確保には限界があるのも事実である。外国人が日本で働く主な理由は本国との賃金格差であり、出稼ぎの要素が強い。しかし、海外から見た日本の出稼ぎ先としての魅力度は、本国の物価上昇や経済発展を背景に、今後10年で半分になる見込みもある。(第一生命研究所試算)そのため、外国人労働者と日本人両方にとって、給与や生活の質も含めた魅力を高め、同時に日本人の現場マネジメント層を育てていくことも長期的には必要となるだろう。今回の法改正をうまく利用できるように、

社労士事務所と融合し、農業部門をもつ弊社も全力を尽くしていきたい。

2つの国がお互いに幸せに暮らしていける~2つを結ぶものになって下さい(天皇陛下お誕生日に際し/2018年12月20日会見)

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