フィリピンの顔

フィリピンの日常や、旅行記、人、観光地、ビジネス、
出来事等を記録します。

日記 中編 「魔法の酒樽」

2009年08月15日 | 日記
何とか以前の女従業員が都合してくれた500ペソ(1000円)で、何日か生活をすることが出来ました。

8月9日(日曜日)
中年の私にとって、この2時間の遠出は1週間経った今でも足腰が言う事を聞かないほど痛く硬くなっていました。

うちのかみさんと話した事です。
「本当に貧乏してる今は、500ペソのお金を都合するの大変ね。」って。
「お金の有難味も良くわかるね。」って。

で、じっくり考えて、私は口にしました。
「本当に500ペソは有り難かったけど、前社長の俺が従業員から「お金あるよ、歩いておいで。」って呼び出されて、500ペソは無いでしょう?」

つい、体の痛みに滅入っているので言ってしまいました。

「2時間以上も病人が歩いて行ったんだったら、せめて1000ペソは欲しかったね。」


私もフィリピン人感覚になったんですかね。きれいな受け取り様じゃなかったから、なんとなく心の中で鬼が騒いでいます。

多分またミルクがなくなってる不安からか、その従業員にギリギリまで良い給料を払っていたからか、社長面してまだ威張った考えがあるのか、何か解らないけど、いろいろ心まで痛かったなあ...

そして暫らくすると、これまた私の癖で、
「何だ? 俺はなんて馬鹿なことを考えてるんだ?」
と、自己嫌悪に陥る。

彼女に近いようなその従業員は、本当に私のことを心配してくれていて、それでもマニラまで持って来てくれる余裕が無かったからわざわざ私に歩かせたのでしょう。
もし彼女が持って来ても、彼女の往復のタクシー代で、また半分になってしまうからね...

そう考えると、ほかの「返事の無いメール」の従業員にまたメールを打っていました。

「みんな。有難うね。一人の従業員が助けてくれたよ。何とか何日か過ごせた。みんな未だ仕事無いの? お金に困っている事でしょう。もう少し待っていなさいね。ごめんね」



私は、タレントや従業員に良くある話をしたことがあります。

「先生の転勤に徳利一杯のお酒をプレゼント」という、勝手に題名をつけたのですが子供のころ聞かされていたお話です。

お話は、学校で急に先生が遠い他の学校に転勤になる前の日に、教え子の生徒たちが、お世話になった先生に何か餞別を渡そうと言う事になって、先生はお酒が好きだから、『どうだろう?ひとつ皆で徳利(とっくり)一杯ずつお酒を持ち寄ろうじゃないか。』

という事で、皆は家に帰り、グラスや徳利に一杯だけのお酒を持ち寄り、学校の(運動場?)に備えてある大きな樽の中にそれぞれ移し入れることを約束する。

さてここで貧しい生徒たちは各々考える。

『皆が持ち寄れば、樽の中にはお酒が満たされる。自分一人だけが真水を混ぜても分からないだろう?』

先生が転勤する朝になって、餞別代りに渡された酒ダルを開けてみると、

なんと、樽の中には並々とお水が入っていた。


【教訓】
1.お酒は一夜にして水に変えることが出来る。 本とか、おい。


「ごめんねメール」を全従業員にすると、何と無くほっとしました。

私が自分で思うことは、私が自分を犠牲にしてでもお金を使ったのは、警察やボランティア関係でも友達でもありません。
大事な従業員です。

その従業員たちが、クーラーやコンピュータや他の家財道具まで持って行って、もう、立ち上がれないほど潰れてしまった社長に、誰がほんの少しでも助けようと思いますか?

期待する方が可笑しいかも知れません。
おそらく、皆未だ苦しいのでしょう。

だけど私は、全くと言って良いほど、後悔はしていません。気にもしません。
そんなものだと知っていますから。
陽気なフィリピンの国、余裕が持てないのも事実です。



【教訓】
2.フィリピン人は、10回助けても、11回目に助けることが出来なかったら、その人は悪い人。と言う。


そうは思いたくないけど、自分がそう思われない様にしなくてはいけないと思います。

だから、誰や彼やに色々話したくないし、また、「貧乏して友達が失くなっただろう?」とかも言われたくありません。

全部自分が悪いのであって、人を巻き込まないように頑張らないと...


すみません、今、日本から連絡があって、今から母に緊急手術をする事になったようなので、いったん筆をおきます。
事情は後ほど説明しますが、これを見られた皆さん、日本は終戦記念日やお盆というのに申し訳ありませんが、今日は、母の誕生日でもあります。
胆嚢の緊急手術をするようです。 先月、重度の脳梗塞で倒れて入院中の別の手術です。

一緒に祈って頂けませんか?

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日記 前書き  「忘れ手紙」

2009年08月15日 | 日記
先日の「置き手紙」とは逆に今日はなんか「忘れられた手紙」と言った日記を書きます。
いつも来てくださる方に申し訳有りませんが、今日は日本はお盆ということで、地獄の釜の蓋も開いております。
もう既に火は消えているのですが沸騰し過ぎた蒸気を出して冷ますように、私の心の蓋も少しだけ開けさせて下さい。

7月31日の事です。
こんな携帯メールを以前の従業員15人に打ってみました。

「おはよう。このメールは従業員全員に同じように出しているけど、私は今、本当に大変な状態です。子供のおしめもミルクも有りません。米も全然無く、夕べから何も食べていません。
家財道具はまだ有るけど、日本人の私は誰に売ったら良いか分からず、成す術がありません。よかったら500ペソ(1000円)くらい貸してくれませんか?」

こう言うことは、それぞれが連絡しあって「ボスからメッセが有ったか?みんなはどうするか?」などと横同士の繋がりで話し合うのが普通なので、私からわざと「全員に一斉メールである」ことを伝えた。

しかしそこはフィリピン、従業員同士で噂をし合うことは必至ですよね。

一応信頼できる者からメールがありました。「今メールしたのはあなた?」。「うん、俺。」
それっきり連絡が途絶えてしまいました。

ひとりはダバオに帰っている以前の運転手。
「ボス、月曜日におばさんから500ペソ借りて送ってあげるからね。」

女の従業員が一人、「お金が無いから3キロのお米を持って行きますね。」

それっきりです。


8月1日(日曜日)朝9時、
別の事業で雇っていた女の従業員からメッセージがありました。

従業員:「11時までにマカティまで来れる?」
私:「行けない事は無いけど、交通費が無いよ。」
従業員:「歩いておいで。1時間だけでしょう。」
私:「いや凄い雨が降ってるから、2時間は掛かるよ。」
従業員:「マカテイの税務署で待ってる。会議の合間だから。」
私:「え~っ? 本当に2時間掛かるよ~...」
従業員:「喉が乾くから水を持っておいで。帰りはミルク代があるから。」
私:「分かった。今から行く...」

ミルク代と帰りのタクシー代を借りれるなら気を引き締めて歩いてみようと思った。
外は雨が降っている。子供は泣いてるし、仕方ないな...
読者の方なら分かると思うけど、7月の半ばから家に閉じ篭ってブログを毎日のように更新する日々が続いていたので、急に外に出て、さあ歩けと言われても、糖尿病の今の私にとっては死ねと言われるようなものです。(笑)
おそらく外は洪水だろうし、雨もまだ降っているからと、サンダル履きで傘とペットボトルに水を入れて出発した。

最初の一時間は傘も御猪口(おちょこ)になるくらい凄い嵐の中を、マニラからマカティに向かった。
追い風のときは少しは楽でしたけど、向かい風の厳しいこと...
道を尋ねながら一時間掛かってやっとメラルコ電気会社に着き、そこからまだ目的地の税務署は遠いと聞く。
そこを真っすぐと言っていたけど、道が二つに分かれていて、間違えて左に入ったものでとんだ遠回り。

もう足がつり始め、一歩一歩を踏み出すのが大変になった。
なんか体が妙だなと感じ始めた。糖が切れてしまった。
「しまった! キャンディか砂糖を持って来るべきだった!」
気が付くのが遅いよ。既に倒れる寸前だから。

考えたのは、「今ここで倒れたら、呼び出した従業員は困るだろうなあ。」
「自分が呼び出した所為で、社長が病院に担がれて行った。」
なんて、後悔するだろうなあ...

なんと、道を間違えてサルセドに出て来てしまった。通りがかりの人に税務署はどこかと尋ねると、ブエンディア通りをロハス大通りの方にかなり行った所だと言う。

携帯メールで道を間違えたことを伝えると、RCBC銀行に来てくれと返事。
ブエンディアを渡って、何とか銀行に着いた。 メールをすると「少し待ってて。」と返事。

何とか座り込んだところでまたメールが入った。
「そこから渡ったところにマカティ・メディカル病院があって、その病院の前の薬屋の裏にトロピカル・ハットのピザ店があるからそこに来て。」

病院の前にある薬屋は2件在ることを知らない私は、最初の一軒がビルなので、いろんなファストフードの店がありピザ店を探して2周も回った。
もう一軒マーキュリー・ドラッグの薬屋があるのに気付くまでどれだけの時間を費やしたことか...

目的のピザ屋は、2軒目の薬屋の裏で、パソンタモ通りに面している。
自宅を出てから2時間以上経っていた。
拭った汗でハンカチはビッショリ濡れ、足は固まり、多分悲壮な顔をしてふらふら入っていったと思います。

従業員:「社長、これは私の恋人です。お腹空いたでしょう?食べなさい。」
なんだ?恋人が一緒?恥ずかしいな... テーブルにはスパゲッティが...

従業員:「はい、これキャンディ。」
私:「有難う。糖分が無くなって倒れそうだったよ。」

お土産だ、と二皿のスパゲッティがピザの袋に入れられていた。

従業員:「あなたのメッセージ、フィリップさんにも転送したよ。」
私:「はあ~っ??」 「何で~??」

従業員:「あなたが困ってるの、あなたの友達知らないでしょう?」
従業員:「だから、社長が困ってます。社長を助けてって。」

私:「どうしてそんな事をするのお!。友達はほとんど知らないよ。言いたくもない人や仕事関係の人なんかに言えないでしょう!?」
私;「冗談じゃ無いよ。そんな事するなよ。」

従業員:「だって社長、あなたは前、人のこと助けたでしょう? 今あなたが困ってるんだから、みんなに(助けてと)言って良いんじゃない?」

私:「フィリップさんなんか助けられてばかりで、助けてあげてないよ。 仮に昔助けた人でも、今度はこっちが困ってるから借りを返せとか俺は言わないよ!」

従業員は、これだけ流暢に日本語を話すのに、全然日本人の筋やプライド、解ってないよ。
なんと言う事をしてくれたんだこの昔の従業員は。
友達が困っているのを聞いて、助けてあげられないとなると、心が痛いでしょ?

従業員:「これね、ミルク代。」    私:「ああ... ありがとう。」

テーブルの下から渡されたのは、500ペソ(約1000円)でした。

私:「ありがとう。助かるよ本当に。ごめんね。」

惨めな思いをしながら、それでもホッとして受け取った...


【教訓】

1.従業員の携帯は、「お金貸して」とメールをすると、壊れやすい。 ...?

2.突然の長歩きに備えて、普段から運動をする事。 なんだそれ?

3.糖尿病患者は、遠出をする時は、飴玉を持参する事。 おいおい...

4.メールには、「これは転送禁止」と入れておくべし。 そうかな?

5.フィリピンの従業員を試すな。いらぬ恥をかく。 なるほど...

6.1000円を得る為に、タクシー代位は残しておけ。 ハハ... いえてる。




この日記「忘れ手紙」、後日編があります。


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コメント (2)
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