Jazz-Rambler

Jazzの世界をぶらぶら歩き回る日記

新宿末廣亭★四月上席昼の部~夜の部

2011-04-09 16:50:05 | 落語

新宿末廣亭★四月上席昼の部~夜の部

2011年4月9日(土)
■新宿末廣亭
■四月上席昼の部~夜の部
■Report
久しぶりの寄席でしたぁ。
震災後どんな話題をネタにしているのかなぁと思って覗いてみました。
昼~夜まで通しでがんばって聴きました。
話の中に出てくる内容をメモして家に帰ってネットで検索するとそのネタお演題がヒットします。へぇぇ~なぁるほど~こんあ話なのかぁと関心します。結構新作物もヒットします。面白かったのは小ゑんさんの「カーネルサンダース人形の話(レプリカント)。わらいましたねぇ。あと名前は知っていましたが歌る多さんは今日が初めて。結構迫力があって印象的でした。昼の部主任は歌之介さん。トリとあってしっかり古典を・・・といっても前回聴いた「竹の水仙」。いいんです歌之介三のこれは迫真さがあります。
夜の部。私の大好きなさん喬さん。演目はとてもスタンダードな「替り目」ですが本当に味がありますねぇ。あとで調べて初めてわかったのですが結構初めて聴く演目がいっぱいあって勉強になりました。漫才のロケット団も新しいネタもあり笑っちゃいましたぁ。
久しぶりに落語を満喫。こんな世相だからこそ笑いは大切なのだぁ。落語家のみなさんありがとう。

■Set-List

昼の部(12:00~16:30)
1-01.落語/前座:三遊亭ありがとう
1-02.落語/三遊亭歌扇【桃太郎】
1-03.漫才/大空遊平・かほり
1-04.落語/古今亭菊志ん【元犬(もといぬ) 別名「白狗」】
1-05.落語/入船亭扇治
1-06.俗曲/東京ガールズ
1-07.落語/桂扇生【看板のピン(かんばんのぴん)】
1-08.落語/初音家左橋【長屋の花見】
1-09.太神楽/翁家和楽社中
1-10.落語/林家正蔵【ハンカチ】
1-11.落語/柳家小ゑん【レプリカント】
1-12.物まね/江戸家猫八・子猫
1-13.落語/桂文楽【六尺棒】
1-14.落語/三遊亭歌る多【悋気(りんき)の火の玉】
1-15.奇術/ダーク広和
1-16.落語/三遊亭円丈【シンデレラ伝説】
1-17.落語/三遊亭歌武蔵
1-18.曲独楽/三増紋之助
1-19.落語/三遊亭歌之介【竹の水仙】

夜の部(17:00~21:00)
2-01.落語/前座:柳家  【饅頭こわい】
2-02.落語/柳家さん弥【子ほめ】
2-03.つがる三味線/太田屋元九郎
2-04.落語/柳家禽太夫【一分茶番(権助芝居)】
2-05.落語/古今亭菊輔
2-06.漫才/ホームラン
2-07.落語/柳家はん治【ぼやき酒屋】
2-08.落語/柳亭市馬【粗忽の釘】
2-09.紙切り/林家正楽
2-10.落語/鈴々舎馬櫻【ぞろぞろ】
2-11.落語/柳家小袁治【堪忍袋】
2-12.落語/柳家一九【金明竹(きんめいちく)】
2-13.漫才/ロケット団
2-14.落語/柳家小さん【長短】
2-15.落語/柳家さん喬【替り目】
2-16.太神楽/仙三郎社中
2-17.落語/柳家小満ん【妾馬(めかうま)or 八五郎 出世】


♪元犬(もといぬ) 別名「白狗」
蔵前八幡の境内に1匹の純白の野良犬が参詣客に大変可愛がられていた。
 参拝客の一人から「しろヤ、おまえのような純白な犬は人間に近いという。次の世には人間になるのだぞ」と言われ続けていた。しろも考えて、人間に御利益があるのなら、この俺にだって叶うはずと、三・七、21日の裸足参り。満願の日風が吹いてくると、体中の毛が抜けて人間になった。ただ、素っ裸で立っていると、三間町の桂庵(けいあん=職業紹介所)武蔵屋、吉兵衛さんに出会い、話をして羽織を着せて貰い店まで連れていって貰う。

 部屋に上がれと言えば、汚い足で上がろうとし、雑巾で足を拭いてからと言えば、口にくわえて振り回すし、女房を紹介すれば、「知ってます。こないだ台所に来たら、水をぶっかけられた」。女房と相談して、とぼけた人が良いという、千住のご隠居に紹介することに。さらしを切って下帯にと出せば、首に巻いてじゃれるし、着物も着込んで出掛けようとすれば、履き物を四つ足に履いてしまう。

 千住に着いて、「地方から来たから、言葉が分からない」と弁解し、待たせている彼を呼ぶと、「寝ちゃている?それはいけません。玄関の敷居に顎を乗せて?」。部屋内に通すと、「この人はきれい好きだ。だってグルグル回って、畳の匂いをかいでいる」。吉兵衛さんが帰って、彼に「生まれは?」「蔵前の掃き溜めの裏で生まれた」「え!・・そうか、卑下をして言うとは偉い」。「両親は?」「両親て何ですか」。「男親は?」「あー、オスですか」「オイオイ」「鼻ずらの色が似ているからムクと違うかと思います」「女親は?」「メスは毛並みが良いと、横浜から連れられて、外国に行っちゃいました」「ご兄弟は?」「三匹です。一匹は踏みつぶされてしまいました。もう一匹は咬む癖があるので、警察に持って行かれました。」「お前さんの歳は?」「三つです」「そうか、二十三位だろうナ」「名前は?」「しろ、です」「白・・と有るだろう」「いえ、只のしろです」「そうか、只四郎か、イイ名前だ」「お前がいると、夜も気強い」「夜は寝ません。泥棒が来たら、向こうずねを食らいついてやります」「気に入った。居て貰おう。ところで、のどが渇いたから、お茶に・u桙オよう。・u凾タ「今朝ほど人間になりました」 。
お後がよろしいようで。


柳家小ゑん(理系落語家)
(1953年9月15日 - )は、東京都目黒区出身の落語家。落語協会所属。本名、富田
実(とみた みのる)。出囃子は『ぎっちょんちょん』。
1975年1月 - 武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電子通信工学科中退後、5代目柳家小さんに入門

天文ファンとしても知られており、『天文ガイド』に『星空川柳』を連載しているほか、各地のプラネタリウムにて「星空寄席」を行ったり、星空の解説を行っている[1]。また小惑星の「小ゑん」は柳家小ゑんにちなんで名付けられた。江戸の言葉遊び「雑俳」にも造詣が深い。

演目「レプリカント」.
【あらすじ】 酔った勢いでケンタッキーチキンのカーネルサンダース人形を持って来てしまった男。彼 は酔うと、看板や店の備品を盗む癖があった。今なら帰せば騒ぎにな
らないと、翌日


♪六尺棒(ろくしゃくぼう)
 堅気の商人の若旦那が、女遊びで連泊して、酔った勢いで夜中に家に帰ってきた。戸が閉まっているので表から叩いていると、親父が起きて「どなたですか」と問う。息子だと名乗るが、息子の友達ですか、息子には勘当したと伝えてくれと突っ撥ねる。息子が、心を入れ替えると謝り、跡取りはどうすると迫るが、言い訳は聞き飽きた、養子を取るから心配するなと相手にしない。
 養子に乗っ取られるくらいなら炭俵に火を点けてやると騒ぐので、あいつならやりかねないと、手元の六尺棒を持って外に出て追いかけるが、息子を見失い、家に戻ると戸が閉まっている。息子が先に入ってしまったのだ。
 親父が外から戸を叩くと、息子が中から「どなたですか」と問う。おまえの親父だと怒鳴るが、親父の友達ですか、親父には勘当したと伝えてくれと、さっきのまねをする。
「このやろう、そこまで真似るなら、
六尺棒持って追っかけて来い」

♪悋気(りんき)の火の玉
 花川戸に橘屋さんという鼻緒問屋があった。ご主人が堅い人で女遊びをしたことが無いという。ある時、寄合の後無理に誘われ吉原で遊んだ。こんな楽しいことが有ったのかと、今度は自分から通い始めた。でも、そこは商人、何か金がかからなくて遊べる工夫はないかと考え、親許身請けして根岸の里に妾宅を構える。
 旦那様は最初本宅に20日、妾宅に10日お休みになった。本妻にこの事が分かり冷たくされ、何を言っても「フン!」と邪険にされるので、本宅に10日妾宅に20日と、逆になってしまう。そのうち帰らない月まで出てきた。
 本妻は悋気に耐えきれず、あの女が居るからだと、藁人形に5寸釘で”カチーン”と杉の木に打ち付けた。それを聞いた根岸のお妾さんは「5寸釘で私を呪い殺すだと、それならこちらは6寸釘で」と、藁人形をカチ~ンと打ち付けた。それを聞いた本宅では許さない、「生意気だね!7寸釘を買っておいで」。7寸釘でカチ~ンと呪った。それを聞いたご妾宅では「悔しいね!」と8寸釘でカチ~ン。それを聞いた本宅では・・・。きりのないことで、 「人を祈らば穴二つ」の例え通り、ご本妻の一心が通じたものか、お妾さんがころっと亡くなった。同じ日にお妾さんの祈りが通じたものか本妻さんも亡くなった。こうなるとつまらないのは旦那さんで、葬儀を二つ出した。
 初七日も済んだ頃、橘屋さんの蔵の脇から陰火が根岸に向かって飛んでいった。と、根岸から陰火がふあふあ~と飛んで、大音寺前で火の玉どうしが「カチーン」とぶつかる大騒動になった。
 この一件がご主人の耳に入り、ご住持にお願いしたがお経ぐらいでは受け付けず、ご主人が一緒に行くことになる。「二人の火の玉に優しく語り聞かせ、心落ち着いたところで、有り難いお経を上げれば静まるだろう」と、大音寺前へ。
 夜も更けると、根岸のご妾宅から陰火がふあふあ~と二人の前に飛んできた。話を語り聞かせて居ると、ご主人、たばこが飲みたくなるが火が無いので、お妾さんの火の玉を近くに呼んで、たばこを 付けて一服味わう。その内、本宅から上がった陰火が唸りを上げてものすごく、飛んできた。呼び止めるとぴたりと止まった。話し始めたが、また火が欲しくなり「こちらにおいで」とキセルを出すと、火の玉が”ツー”っとそれて、
「私のじゃ、美味くないでしょ、フン!」。


♪三遊亭円丈【シンデレラ伝説】
http://<wbr></wbr>www.nic<wbr></wbr>ovideo.<wbr></wbr>jp/watc<wbr></wbr>h/sm122<wbr></wbr>23896


♪替り目(かわりめ)
 外でたらふく飲んで帰った亭主が、もう一杯飲ませろと女房と交渉しているが、なかなか「うん」と言わない。擦った揉んだの結果、やっと飲むことになったのだが、肴が何にもない。漬物もないので、生野菜をを口に入れ、後から糠を食って、最後に頭に塩を乗せると言い出す始末。最後には女房が屋台のおでんを買いに行くことになり、具は、焼き豆腐、がんもどき、はんぺんなどと決めた。
 いざ、買いに行く段になると、女房が鏡台の前に座って化粧を直し始めたので、そんな必要はない、さっさと行かねえとたたき出すぞと怒鳴った。
 でも、考えてみりゃ、あいつは、世間でも器量良しだと言われてるし、あんな美人が俺の女房に来るなんて、本当にありがたいことだ。いつも怒ってばかりで、陰じゃすまねえと思っているんだが、こんなことは、本人の前じゃ絶対に言えねえ。と呟いていたら、
「あれ、まだ行かねえのかよ、おい」

♪一分茶番(権助芝居)
町内で茶番(素人芝居)を催すことになったが、
伊勢屋の若だんなが役不足の不満から出てこないので、
もう幕が開く寸前だというのに、役者が一人足りない。

困った世話人の喜兵衛、
たまたま店の使用人で飯炊きの権助が、
国では芝居の花形だったと常々豪語しているのを思い出し、
この際しかたがないと口をかけると、
これが大変な代物。
・・・・・・・・・・・


♪ ぼやき酒屋(桂三枝:創作)
主人: いらっしゃいまし。ささ、どうぞこちらへ
客: おー、大将、こんばんは(かなり酔った態で入ってくる) はっはァ、今日は寒いねー。
主人: お寒ゥございますねー。早速ですけど、お飲み物は何になさいます?
客: そうね、焼酎のお湯割りとね (店内の品書きを見ながら) あ、厚揚げをもらおうかな。
できた? 早いねどうも、へっへっへ、おれね、焼酎のお湯割りだいすきなんだ。(グラスを受け取り、少し飲む)
(タンと舌打)うまいねー。 こういうの飲むと風邪がぬけるね。ウーン、こないだ久しぶりにさァ、8度5分熱が出てさァ、うちのかみさんが心配してね、『あぁた、これ頭に乗っけておやすみなさい』ってんでね、あの四角
くて冷たいの、あれ、なんてえの? アイスノン?あ、そうそうそうそう。それタオルで巻いておでこン乗っけてねウー、そしたらね、何か明け方近くなって、何か顔中が生臭いんだよ。おかしいなぁと思ってこのタオルをほどいてみたら、これがね、なんとね、冷凍のイカのパック。・・おかげで顔中日本海。ねぇ、かみさんに文句付けたら、かみさん腹ァかかえて笑ってて『あら、ごめんなさい、あなた、暗くてわからなかった』・・・・
うそですよ。うちのかみさんはね、器量もいいし、気だてもいいけど掃除が下手。もぅ家中散らかりっぱなしなんだから。何にも知らない人がうち尋ねてくると『あー、ここはドンキホーテですか』ってえぐらい汚い。
(一口飲み)そのかみさんがめずらしく冷蔵庫を掃除してね、で、晩ご飯にあさりの佃煮が出てきたの。
で、おれがそれを食べてたら『あなた おいしい?』ってから、『あーなかなか旨いね』ってそう言ったら、
『あらそうゥ、まだ食べられるンだ』・・・・ やな台詞でしょ? おかしいなって思って、びんの脇ぃ見たら賞味期限が昭和63年て書いてあんの。  うちは冷蔵庫を10年前に買い換えてますよ。ということはこの佃煮は冷蔵庫二代に渡ってご奉公してんの。やだこんな佃煮の世界遺産みたいなのねェ。
 アー、来た来た厚揚げ厚揚げ、(と、厚揚げの皿を受け取り) おれね、厚揚げ好きなんだよォ。ほらほら、上にかつぶしが乗ってるでしょ。これね、上から醤油ゥをチュゥー・・・
主人: お客さん、お客さん。お客さん、それね、おソースですよ
客: えー? ソース? いやおれね、初めての店だから何がなんだか分かんないンだよ
主人: うちはね、頭の上が黄色いのがソースで、赤いのが醤油なんですよ。おなかんとこに書いてあるでしょ
客: 書いてあるっていってもね、ボトルが向こう向いてて「ス」の字しか見えなかったの!
主人: お客さん、「ス」が見えたらソースじゃないですか
客: そうとは限りませんよォ。もしかしたら「醤油デス」って書いてあるかもしれないんだから・・ね、いいのいいの、もうこれかけちゃう
主人: お客さん、食べられませんよ。新しいのとお取替えしますから
客: あーはっはっは、うまいこと言ってね、勘定倍にしようってんじゃないの
主人: んなことォありませんよ、それぐらいサービスさせてもらいますから
客: ほんとに? あーそう? じゃね、急いで一人前作ってね。そのあいだにオレこれ食べちゃうから
主人: ちょいと、いけませんよ、お客さん
客: いいよ、これくらいサービスしてよ、ねー、もーね、近頃年のせいか堅いもんがかめなくなっちゃってさー、こないだもキャラメル食べてたらガリッて音がすんだよ、ね。そしたら奥歯の金が取れちゃったの。
おれ歯医者と相性が悪いんだよ、今通ってる歯医者、近眼(チカメ)でね、あー、だめよ近眼の歯医者は、型とってね、中消毒して金かぶせる時にね、オレの口ンとこ顔ォ近づけてこんな形してんだよ。ねー。
こいつがそそっかしいから、オレの前歯にコーンと当てちゃったの。で、はずみでもってオレごくんて飲み込んでね、『先生、金飲み込んじゃいました』ってそういったら『あーそうですか、出たら持って来てください』
・・・・・三日後に出ました。それがこれ (と、口に指をかけ、広げて歯を見せる)
主人: あ、汚ねえ。汚いねお客さん
客: 汚かないよォ。自分の体から出てんだから、な、もう近頃なんにでも腹ァ立つねェ。
歌い手だってそうですよ、訳のわかんないのが多いでしょ? コブクロとか ゆずとか ケツメイシとか イナゴライダーとかねぇ。
えゝ? 昔の歌ァよかったなー。もう歌詞きいただけでね主人公がどんな人だかすぐ判るよ。
♪あたしばかよねー  おばかさんよねー
あーこいつはばかなんだなって すぐわかるでしょ
♪15、16、17と あたしの人生くらかったー
あー、ひょっとして貧乏?ってすぐわかる・・・・今の歌ァだめよ。ねー。 こないだアレ聞いた。あの、は、は、は、は、浜、浜崎あゆみ
主人: あぁ、あゆですか?
客: そうそうそうそう、近頃ふけちゃって鮒みたいな顔立ちだったけどね。あいつの歌で「モーメンツ」ってのがあって、それ聞いて驚いたよ?一番の歌詞がねェ、「心が焦げ付いて焼ける匂いがした」 じゃ、テフロンに変えたらどうだって話でしょ。ねー。ほんとよー・・・もっと驚いたのは、あのあの平井健ね
主人: あたし好きなんですよ 「のっぽの古時計」
客: そうそうそうそう、やせて、髭はやしてねェ、あいつのヒット曲にね、「瞳をとじて」てのがあんの、おれこれ聞いてビックリしたね。『瞳をとじて』・・閉じるのはマブタでしょ? ねェ?ひとみはとじませんよォ。
でまた、この一番の歌詞がすごいね、「朝めざめるたびに、君のぬけがらが横にいる」・・・・・
毎朝惚れた女に脱皮されてたら気味が悪い。蝉じゃないんだからねー。そこいくってえと昔の歌ァよかったね。
おれ好きなのはねェ、「月の法善寺横町」 
主人: あー、ありましたね、あれ、あたしも好きでしたよ
客: ねーあれいいよねェ文句が
♪包丁一本   歌うと目の前に包丁がスーと浮かんでくるでしょ? それをどうするのかナ
♪さらしに巻いて  それからどうなるの?
♪旅にでるのォもォ  なんのために?
♪板場の修業  昔の歌はね、こっちの疑問に答えてくれた。
今だめ、ほんと、なに聞いても腹が立つよ大将だってそうでしょう? いろんな客ゥ相手にしてるからストレスがたまるでしょう
主人: ンははっ、溜まらないと言ったら嘘んなりますけどねェ。
客: 言われっぱなしはダメよォ。たまには表ェ出て言いたい放題言って、ストレス発散するのが体には一番いいんだから
主人: ンははっ、こらァいいことォ伺いました。ところでお客さん、ご商売はなにをなさってるんですか?
客: おれェ? おれ居酒屋のあるじやってんだよ・・・・


♪金明竹(きんめいちく
 与太郎が表を丸く掃除しようとするし、水のまき方が悪いと叱られ、今度は二階の掃除を言い付けられたが、二階の座敷へ水をまくのでまた叱られる。
 今度は店番をしていると、雨が降ってきた。雨宿りの見ず知らずの人にイイ傘を貸すので叱られ、傘を借りに来た人への断り方を教えられる。
 鼠が出たので猫を借りに来たお隣の大宮さんに、「貸し猫はあったが、骨はバラバラ、皮は破れて使い道がないので、縄で縛って裏に放り込んである」。また叱られて、続けて猫の断り方を教えて貰った。
 そこに目利きをして欲しいから、旦那さんは居ないかと使いが来た。「旦那はサカリが来て、とんと家に寄りつかなくなった。たまに帰って来たら、海老の尻尾でも食べたとみえて、ピイピイと垂れ流すので、マタタビをなめさせて寝かしてある」。ビックリして使いは帰ったが、「馬鹿ッ、猫じゃない。恥ずかしいので大和屋さんに行って来ます」と出掛けて行った。

 中橋の加賀屋佐吉から使いが来て、与太郎に、「わてナ、加賀屋佐吉から参じました。
 《はじめ丁寧に》先度(せんど)、仲買いの弥市(やいち)が取り次ぎました道具七品のうち、祐乗(ゆうじょう)光乗(こうじょう)宗乗(そうじょう)三作の三所物(みところもん)。ならびに備前長船(びぜんおさふね)の則光(のりみつ)、四分一(しぶいち)ごしらえ横谷宗#(王へん+民。よこやそうみん)小柄(こづか)付きの脇差ナ、あの柄前(つかまえ)は旦那はんが古たがやと言やはったが、あれ埋れ木(うもれぎ)やそうで、木ぃ~が違(ちご)うておりますさかいにナ、念のため、ちょっとお断り申します。
 《だんだんと早口に》次はのんこの茶碗、黄檗山金明竹(おうばくさんきんめいちく)ずんどの花活(はないけ)、古池や蛙とびこむ水の音と申します・・・ありゃ、風羅坊正筆(ふうらぼうしょうひつ)の掛け物、沢庵木庵隠元禅師(たくあん・もくあん・いんげんぜんじ)張りまぜの小屏風(こびょうぶ)、あの屏風はなァもし、わての旦那の檀那寺が兵庫におましてナ、ヘイ、
 《ひどく早口で》その兵庫の坊主の好みます屏風じゃによって、表具にやり、兵庫の坊主の屏風になりますとナ、かよう、お言伝え願いまぁ。」
 早口の関西弁で、まくし立てるので、与太郎にはさっぱりわからない。与太郎が解らないからと、もう一度同じ口上を言わせた。おもしろい乞食が来たとおかみさんに店に来て貰い、二人で聞いたが解らない。「これに小言を言っていたので、良く聞き取れなかった」と、いやがる使いにもう一度同じ口上を言わせたが、早口に言って逃げるように立ち去った。

 そこに旦那が帰ってきた。奥様は与太郎がうつったような言い方になり、思い出しながら言うには、「中橋の加賀屋佐吉さんの仲買の弥一さんとおっしゃる人が、気が違ったから・・・お断りに参られたと・・・。それで、遊女を買ったんです。それが孝女で、掃除が好きで・・・それで、千艘(ぞ)や万艘とか言って遊んでて、それで寸胴切りにしちゃった。タクアンにインゲンマメばかり食べてて、のんこのシャー・・・それで、あの・・・備前の国に親船で行こうと思ったら、兵庫に着いてしまったんです。兵庫にはお寺があって、そこに坊さんがいるんですが、そのぉ・・・後ろに屏風が立ってて、屏風の後ろに坊さんがいるんです。これって何でしょう」。
 「子供がナゾ掛けしているようで、分かんないな~。」、「思い出しました。それで、古池へ飛びこんだんです」 。
 「古池に飛び込んだ? なんだいそりゃ。あの人には、道具七品の手金を預けてあるんだが、買ってかなぁ~?」
 「いいえ、買わず(蛙)でございます」。


★新宿末廣亭
東京都新宿区新宿3-6-12
http://<wbr></wbr>www.sue<wbr></wbr>hirotei<wbr></wbr>.com/