
第51回 JAFS松原ぞうすいの会 レポート
~少数民ラカインの村の夢~
ゲスト :


(東京農工大学大学院博士課程 農林共生社会科学専攻)
日 時 2010年3月13日(土) 12:00~14:00
会 場 松原総合福祉会館
ぞうすいは? カレー味のバングラ風トエエモンさん来阪記念ぞうすい
上の写真、「トエエモンさん、スマイル~」といってカメラを向けると、「恥ずかし~」
と言いながら、微笑んでくれました。本当に、知的なんだけどシャイでフレンドリー。
参加者たちの人気者になりました。
皆さん隙を見てはトエエモンさんに何やかや話しかけていました。
話しかけられすぎて、質問攻めで、今日はお疲れさま!
トエエモン氏は現在、東京農工大学大学院博士課程で学んでいる留学生です。
出身地は釈迦族につながる少数民族ラカイン族が暮らすバングラデシュ南東部の貧し
い農村。たびたび襲ってくるサイクロンに見舞われる厳しい自然条件の中、存続の危
機に立たされているラカインの村です。
これまでの村は自然依存の一毛作農法。
灌漑井戸を建設することで二毛作に移行できるように、また村の生活改善など母国、
故郷の発展のために農業経営の研究に日夜取り組んでいる青年です。
彼のレポートは、一つ前の予習の記事や詳しくはや関東ブログにも紹介されています。

今日は「ぞうすいの会」なので、ぞうすいの最後の味チェックはトエエモンさんにお願い。
予想外の展開に、スーツ姿でもお鍋とお玉を手にサービス精神満点のトエエモンさん。
これで、バングラ風(ラカイン風?)のぞうすいになったかな。
詳しいレシピは、また後日記事アップします。
本格的にスパイスを使ったこだわりものです。

バングラデシュはこの地図のど真ん中です。


①プロジェクトの対象とするパネールチョラ村 緑の水田。
小川から水を引いています。 ②雨期で泥水で溢れた川です。

③乾期で何もない田です。
トエエモンさんは、300メートルの深さの井戸を2基作ることで、この乾期の田にも緑の作
物が出来ないかと考えています。
40軒ほどの農家から聞き取り調査をしました。
詳細な農家からの聞き取り調査のデータを紹介。彼らの現在の状況を分析した上で、
水利施設ができたあかつきには、パネールチョラ集落の対象の45のラカイン農家だけ
でなく、周辺の水田農家、野菜農家、ビンロウ栽培農家にも使ってもらえればと考えて
います。
二毛作によって経済的な向上が期待できます。
参加者からはさまざまな質問がでました。
井戸の水質や水量が確保されるのか、300メートルの深さを彫る技術や機械の件など。
とくに、村の共同体としてのあり方への質問がいくつもでました。水の管理組織の責任
者を固定化しないで循環型でいきたいとトエエモンさんは語ります。
参加者からは、村人の自治への意識、連帯意識、水の管理には組織化が必要、日本の
農協の例・・・。
水を守ることは、村人の共同体としての関わりが必要と皆が感じていました。
施設のハード面だけではなく、人々の意識に由来するソフト面の環境整備も需要。
教育の重要性を語る参加者もいました。
農村の全体像を見るなら、教育づくり、村づくりなど課題はきりがありません。
トエエモンさんは「私の人生が数百年あれば・・・」と応えておられました。
さまざまな課題が予想されます。
トエエモンさんはレポートの中で、農村の役割として以下をあげました。
・灌漑設備の管理
・水路維持に関する労働
・給水
・水利代回収
・金銭的管理

ところで、村人への聞き取り調査では「農村組織ができたら参加する」
と応えた農家は90%もありました。
水利の管理だけでなく、農業に必要な物の共同購入などの協同ができたらいいなあ
と農家の人たちも望んでいるのかもしれません。
農家の人たちがトエエモンさんのプロジェクトに協力・参加できますように。
トエエモンさんは
「僕は農家の友人になりたい。リーダーとかにはなりたくない。コストと
ベネフィットを比較し、できるだけベネフィットが大になるように村人と
一緒に歩んでいきたい。」と語ります。
そして、統計的に、いつか夢が実現した後には、その後の村の姿も統計をとって追って
見届けたいと思っておられることでしょう。
本日の参加費からの材料費を引いた収益その他で、わずかですが、JAFS松原から
トエエモンさんの井戸プロジェクトに寄付させていただきました。

トエエモンさん、参加者の皆さん、ありがとうございました!

