第69回 JAFS松原ぞうすいの回 レポートその4
中国の風景、都市の「顔」と「心」
日時;2015年1月24日(日)12:00~14:00
餃子作りは10:30から
場所;松原社会福祉会館(大阪府松原市)
ゲスト;陳 力 氏
陳力先生のプロフィール;中国重慶出身、1983年来日。
大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程 博士
現在阪南大学客員教授。都市文化史論(アジア)、中国語会話1を担当。
研究テーマは中国都市の歴史、中国古代の文書です。
趣味は写真撮影、旅行。料理をするのが大好き!
また中国都市の木造建築、家具に興味があり、休日は木工することが多いです。
中国の風景 都市の心と顔
陳力先生のお話の中から、上海のお話を中心に、一部を紹介します。
文化は他文化との出会いで生まれ変わっていくもの
中国の文化も、伝統文化ではありません
中国の文化というと皆さんは「伝統」との印象が強いと思います。
しかし「中国文化は伝統の文化」とは思わないでください。
文化は他からの流入してくる異文化をたえず吸収して若く新しく生まれ
変わっていくものです。「伝統」と思われているものですら同じことで
す。伝統というより、革命的といった方がいいです。
エビチリソースは伝統料理ではありません
例えば、皆さんが中国の伝統料理と思っているものですら、そうではあ
りません。餃子の一番古い遺物は新疆ウイグルのトルファンで発見され
ました。つまり餃子のもとは中央アジア由来のもので、それがシルクロ
ードをつうじて形を変化させながら、中国へ,ロシアへ、ギリシアへと
伝わっていたのだと思われます。
チンジャオロースも伝統料理ではありません。ながらく牛肉を食べるこ
とが禁じられていた時代もあったし、もともとピーマンという食材自体
が中国にはなかったのですから。
そして、人気のエビチリソースも1950年代に香港で生まれたものです。
文化は100%の自文化などないのです。
そして、良い悪いもないのです。
人の顔が変わるように、都市の顔も変わっていく
こちらはナニワ金融道のときの竹内力さん、ヤクザのように怖いですね。
これは101回目のプロポーズの時の竹内力さん。別人のようです。(笑)
人の顔も変わっていきます。蒋介石さんの若い頃も文学青年のようなお
だやかな顔です。一方こちらは国共内戦時代の厳しい顔です。同じ人の
顔でもこんなに変化します。
町の顔も変わります。町の顔は市民によって変わります。市民の発言に
よっても変わります。投票によっても変わります。
上海の下町の変化をみつめた10年間
都市の魅力は「顔」と「心」に
私は上海の下町が好きで、10年以上にわたって毎年のように何度も訪れ
てその変化を肌で感じ、人々と語りあい、写真を撮って来ました。知り
合いになった人もたくさんいます。
ここは上海の下町、古い町です。その魅力を伝えたいと思います。
「上海の高層ビルはニューヨークよりも多いのに、どうして先生はこん
な古い汚い町の写真を紹介するのですか」と、中国からの留学生が立腹
して言いに来たことがあります。
でも都市の魅力って何でしょうか?
「都市の顔と心」というときに、都市の「顔」は景観などですが、都市
の「心」は文化です。ビルはどこでも同じようにビルですが、人々の生
活や文化は様々で、その町独特のものがあります。下町を歩いてこそわ
かることもあります。それは魅力です。その魅力について私は伝えたい
と思います。
上海の町の変化についてお話しましょう。
10年前、若い女性がスラム街で元気に歩いているのが印象的でした。
こんな風に外で歯磨きしています。
ここ上海は財閥の故郷です。定年退職した年配の人が、上海生まれの上
海育ちの人です。それ以外の人は出稼ぎの若い人たちで、彼らであふれ
た町です。
この壁に書かれた番号は何だか分りますか?
これは携帯電話の番号を壁にかいてあるのです。何故だと思いますか。
実はニセモノの身分証明書を作る商売のようです。何やらあやしい雰囲
気ですね。
年配の女性がキャスターに乗せて樽を家の中から運び出して、どこかに
運んでいます。この樽は蓋に美しい彫刻があるのでヨーロッパ人に骨董
品として人気があるのです。しかし、実はこれは便器なのです。
家の中で用をすまして、たまったら家の外へ運び出して集積所に運んで
いるのです。
そこから運ばれて、肥料や化学薬品として利用されています。
家のなかに全く水回りの設備がありませんでした。上下水道ともども。
ここには社会福祉というのはほとんど行き渡ることはなかったのです。
家の前の道の上で、歯を磨くし、洗濯もするし、路上は生活場所の一部
でした。洗濯物を干しても下着ドロボーはいませんし。床屋がいたり、
食事もします。
揚州チャーハン、DUCKの血の春雨など、一皿5元(70円)くらいで
した。ここではかつて雲南省から出稼ぎのお姉さんが海賊版DVD売っ
ていました。
子どもが増えると街には明るさと優しさが
数年後には変化がありました。ネットがあるからもうDVDは売れないと、
出稼ぎのお姉さんはもう売っていませんでした。
代わりに、1元でダウンロードできるという、PCを使った新手の商売が
見られました。以前よりもこの下町に活気が出てきました。
資本がためられた感じです。建築労働者たちがいっぱい食事しています。
観光客も増えました。落書きが消えて、警察のパトロールも増えました。
北京オリンのピックの頃です。ずいぶん安全な町になりました。
毎年上海に行っていますが、子どもが増えているのを感じます。
ひとり者だった出稼ぎ労働者たちがお金をため、結婚もして、子どもを呼
び寄せています。かつて殺伐とした厳しい表情だったのが、お父さんの目
つきもかわいい子供をみると優しくなります。子どもたちの姿が増えるだ
けで、都市の様子が変わります。人々の表情にやさしさが見えます。
ペットが増えたり、子ども用品が売っていたり。
その町に子どもの姿があるかどうかは大きな変化で希望です。
子どもが増えると、都市が再生していきます。
落書きが消え、安全な、入っても怖いと感じない町になりました。
お水は10年前でも蛇口の水は消毒液の匂いがきつかったです。
日本のプールの水の匂いを想像してください。蛇口は家の外にあって、屋
内にはありませんでした。一家に1つずつメーター管理のために鍵をかけ
ていました。それも、昨年上海に行ったときには消えていました。
水の大切さを皆に知って欲しいです
私は講義で自分の町を作ってみましょうといって20分くらいで学生に絵を
描いてもらうことがあります。都市は自分の経験からイメージされます。
留学生たちの絵には川や湖がない場合が多いですが、日本の学生が描く絵
には海、川、池、島などが見られます。水が豊かにある自然環境があるか
らでしょう。都市というもののイメージも自分の経験から持たれるもので
すね。
私は小さいときに砂漠のなかで住んでいました。生まれは重慶ですが、内
モンゴル育ちです。水はありません。石油を掘る機械で水を掘っていまし
たが、塩辛いです。沸かすと綿のようにモヤモヤした塩の結晶がでます。
それをしばらくおいて沈めて飲むのです。が、ノドが痛いです。
水がないのでお風呂も入りません。
入らないのではなく、入れないのです。(ここ、大事!)
冗談ですが、モンゴルで入浴は人生で3回だけ、生まれたときと、結婚する
ときと、死ぬときだけといいます。水事情は大切です。
水の為に人々はケンカをします。
飲み水だけでなく、羊や農地のために水が必要なのでケンカします。
100人~200人レベルの大人のケンカを見たことがありますか?
信じられないでしょう。水をめぐってですよ。水の大切さを知って欲しい
です。
私は「ぞうすいの会」の話を聞いて、「ぞうすい」が「雑炊」と「増水
(贈水)」を掛けている言葉だと知りました。
世界での水の重要性を知り、井戸などを贈り、安全な水の提供をしてい
る団体だと知りました。その名前と目的に魅力を感じました。
こうやって地域の人たちと交流できる貴重な機会も嬉しく思います。
わたしも今日の会に、皆さんと参加できて感謝しています。
有難うございました。
(文責;当ブログ管理人 田中愛子)
最初に、陳先生は「あなたはどこの都市が好きですか?」と質問されまし
た。「松原ぞうすいの会」の参加者たちは順番に口々に答えていったので
すが、松原とか大阪とか、近隣の近畿の都市など、地元都市の名を答える
人が多かったことに陳先生は驚かれていました。
都市を創り上げていくにのは人であり、その変化も人によるものです。
もう一度自分たちの住む都市のあり方について、振り返ってみることも大
切だと教えられました。素晴らしい写真の数々をここで紹介できないのが
残念です。水餃子作りと文化や都市についてのお話、楽しくてためになる
ひとときでした。
陳力先生、貴重な時間をさいてのご協力、どうも有難うございました。
餃子のついでに遊び心でつくる豚の足??!!こんな形はじめて!
第69回松原ぞうすいの会レポート その3
中国の風景、都市の「顔」と「心」
日時;2015年1月24日(日)12:00~14:00
餃子作りは10:30から お話は12:00から
場所;松原社会福祉会館(大阪府松原市)
ゲスト;陳 力 氏
(阪南大学客員教授)
陳先生が餃子作りのついでに教えてくれました。
笑えるし、何といっても可愛らしすぎる「豚の足」
ビールのあてに、こんな形の餃子が出てきたら
飲む前から思わず頬がゆるんで笑みが出ますね。
★材 料;餃子と全く同じです。ついでですから。
★作り方;餃子の皮を、薄めに大きく広げる。
上に、薄めにタネを広げる。
ここから、どうすれば「豚の足」になるのか?
半分に折って、さらに半分におります。
そのイチョウ型の脇を後ろに折り込み、
てっぺんの円の中心だったところに
縦に切り込みを入れれば、「ブヒ足」のチョキに。
スジを上から包丁で何本か入れれば、完成!
キュートな「豚の足」は焼いて食べました。
第69回松原ぞうすいの会レポート その2
中国の風景、都市の「顔」と「心」
日時;2015年1月24日(日)12:00~14:00
餃子作りは10:30から お話は12:00から
場所;松原社会福祉会館(大阪府松原市)
ゲスト;陳 力 氏
(阪南大学客員教授)
陳力先生のトマト卵スープ麺。水餃子のついでに作っちゃう!
「ついでに、スープと麺もつくりましょう」
水餃子のゆで汁を利用して、ささっと麺料理も作ってしまう!
陳先生、手際がいいっ!
水餃子レシピ
今回は餃子のゆで汁でゆでた麺にスープをかけていただく。
★材料 4人分
卵・・・3個 トマト・・・2個 ネギ・・・1~2本
塩、水、サラダ油 ・・・適量 ゆで麺・・・4人分
なにせ20人分ですから。
★作り方
1.ネギは数センチに切る。トマトはくし型に切り、さらに横に半分に。
2.フライパンに少し大目の油を入れて熱し、かき混ぜた卵を流しいれて
ふわふわの半熟にする。そこにトマトとネギを加える。材料がかぶるくらい
水を入れて塩で味付けしてできあがり。
ジャーッ!!この音が中華ですね。
本当に塩だけの味付け。あっさり、さっぱり、シンプル味。
トマトと卵がこんなに合うなんて。
初めての味という方も多いのでは?どうぞ、召し上がれ!
第69回松原ぞうすいの会レポート その1
中国の風景、都市の「顔」と「心」
日時;2015年1月24日(日)12:00~14:00
餃子作りは10:30から お話は12:00から
場所;松原社会福祉会館(大阪府松原市)
ゲスト;陳 力 氏
(阪南大学客員教授)
陳力先生と一緒に作った本格手作り水餃子料理のレシピ
ついでにささっと手早くつくるトマト卵スープ麺!
★ビックリするぐらい簡単!!!でもおいしい!!
皮はもっちもちです。ぜひ作ってみてください。
本日用意された材料です。実にシンプルです。なんと味付けは塩と生姜のみ!
本来の味を楽しむ、本格料理です。
水餃子レシピ
★材料 30個くらい
餃子の皮・・・・薄力粉 300g 水150ccくらい
餃子中身・・・・豚肉ミンチ200g 白菜200g
干しえび 少々 生姜 少々
気付いていただけたでしょうか?
実は陳先生の一言。
「男料理なので、計量はしません。だいたい勘です!」
ちゃんと説明聞いてスタートです!
初めてでも、すぐに仲良く料理に参加です。
誰でもいつでも、気軽に来てね。
★作り方
1.薄力粉をボールに入れ、水を少しづつ入れて耳たぶの固さに
なるまで練る。ボールにひとまとめにして入れ、ラップをしておく。
2.白菜はみじん切りにして塩をしておく。
ネギもみじん切り、生姜と干しエビはさらに細かいみじん切りに。
3.白菜を固く絞り、すべての材料とよく混ぜる。
よく混ぜたものまな板の上に出し、粘り気が出るまで包丁で叩いていく。
今日は包丁がいっぱいあるので、陳先生二刀流です。
コツ;包丁で叩くと、肉と野菜の繊維が絡み合って、
粘りが出てきます。
私たち日本での家庭料理では、この作業はしませんね。
4.皮はまな板の上で棒状にして包丁で一口サイズに切っていく。
コツ;棒状の皮を、くるくる回しながら切っていくと、
押したときに均一に丸くなる。
切ったものを少し丸くしてから、のし棒で丸く広げる。
コツ;手のひら(親指の下のふくらみ)で押すとこんな感じ。
コツ;丸く広げるときは左手で伸ばしながら、回していく。
これは試作のときに留学生が成功したときの笑顔
ほら、きれいなまん丸です。
5.皮に適量の具を入れて包んでいく。
コツ;中央でまず押さえて閉じる。
両手の人差し指をうまく使って、右からダーツ2つ、
左からダーツ2つ!自立して倒れなければ成功です。
この形が陳力先生流です。
美しい!
慣れれば、日本の一般的な一方通行ダーツよりも手早いです。
右、成功例。左、陳先生がわざわざ作ってくれた失敗例(笑)
参加者がどんどん増えてきました。
賑やかなこと!
会場に来たらいきなり餃子包みの作業へ。無心です。
小さい子たちもがんばりました。
お家でまたお母さんやお父さんと一緒に作ろうね。
6.沸騰したお湯の中で5分程度ゆでて、皿に出してできあがり。
ゆで汁も麺スープとして今回は利用します。
7.醤油、酢、(ゴマ油)などのたれで熱いうちに食べる。
陳先生自身は、中国の黒酢をいつもは使っておられます。
陳力先生との、楽しくおしゃべりしながらの餃子作りでした。
細かい技や中国料理についてのお話も聞きながらの作業。
本当にサービス精神、おもてなしの心にあふれた先生のおかげで
参加者の心に残る美味しく楽しいひとときとなりました。
陳力先生、どうもありがとうございました。
熱々を試しあれ!
これは留学生のタンさんが描いてくれた餃子のギョウちゃん。
かわいい~
陳先生の手作り餃子のマスコットキャラクターということにしましょ。
次回ブログに「トマトと卵のスープ麺」「豚の足の形したかわいい餃子」のレシピも。
本題の「中国の都市文化」についてのお話もレポートも、そのうちに。
楽しみにしておいてくださいね。(続く)