霊の「関東……もとい、長州ウォーキング」

「関東歩き旅」の続編で、「長州歩き旅」を始めました

赤間関街道北浦道筋(長門市⇒長門粟野)

2011年01月08日 | 赤間関街道

2011年1月8日(土)

関東赴任時代に新年の歩き初めと言えば、あちこちの七福神巡りと相場が決まっていた(これとか、これとか、これとか、これ)のだが、生憎と長州にはそのような気の利いた場所も無く(あるのかも知れないがオイラは知らない)、赤間関街道の残る一筋である「北浦道筋」を歩いてみることにした。
「北浦道筋」は、その名の通り「北浦」つまり国道191号にほぼ沿った街道だが、時代によっては一部の地域で複数の経路もあるようで、萩と赤間関(下関)との間の政治的戦略的な街道と言うよりは、沿道の海産物を始めとする物資運搬ルートとしての性格の方が濃いものであったらしい。
萩市内から長門市(正明市)までは昨年既に歩いているので、JR山陰線の長門市駅前から西へ向けてスタートした。
吉亀旅館前の十字路を南下するのが既に歩いた北道筋だが、今日はここを西進する。未だに運休中でレールが錆び付いたJR美祢線踏切を渡り、深川川を渡ってすぐに左へそれる旧道を往く。

上の原集落を過ぎて国道に合流すると右手に深川湾が見えてくるが、ここが只の浜海水浴場だ。写真のように右手前方には青海島も見えて、とても眺めのいいところなのだが、オイラのように瀬戸内側に住む者にとっては見慣れない看板が、目に入る。
写真のように「許すな密航!!守ろう山口長門海岸」と書いてあり、この北浦地区ではお馴染みの看板だ。このような看板を立てざるをえないほど密航者がいるということなのだろうか、厳しい現実がオイラのようなノー天気な部外者にはなかなかピンとこないのが、お恥ずかしい。


只の浜を過ぎると次第に山道の登り坂になり、椎の木峠に向かう。坂の途中で左側に旧道らしき道が見えたので辿ってみたが、三隅コンクリートの敷地手前で猪避け柵によって行き止まりになり、仕方なく引き返した。
その途中で「鹿威し」ならぬ「猪脅し」に出会った。写真はちょうど竹の筒が持ち上がった瞬間で、この後、竹の先が直ぐ下の四角いブリキ箱にブチ当たり、更に円筒形のブリキ箱に共鳴して『キョプン』とかいう感じの異様な音を奏でるのだ。近くのお百姓さんが手作りしたものと思われるが、見た目とは裏腹に、風流を感じるのは何故だろうかネ。


椎の木峠を越えて旧大津郡日置町へ出ると、街道は北寄りの古市筋(ほぼ国道沿い)と南寄りの新市筋とに分かれる。国道沿いは車が多くて余り歩きたくないので、今回は新市筋を辿ることにした。
新市は、殆どが田園地帯で見晴らしもいい………が、交差点に異様な球体が出現したのには吃驚した。長閑な田園風景にはとてもそぐわないこの球体は、一体だれが何のために造ったのか?
特に説明板も見あたらず、謎の球体としか言いようがないのだが、ひょっとして、どの方向からでも見れるカーブミラーのつもりなのだろうか。しかし、車を運転していてこんなものが突然視界に入ると、何だコリャァ、と見上げている内に事故ってしまいそうでもあるが…。


やがて旧大津郡油谷町に入り、古市からの道と合流した先に古社の八幡人丸神社がある。由緒によれば、もともと当地域の鎮守であった八幡宮を旧柿本神社と合祀して、名を八幡人丸神社と改めたらしい。
旧柿本神社は、その名の通り柿本人麻呂を祀っていて、人麻呂が石見の国から九州へ旅した折、この地の風光明媚さに感激して詠んだ歌が大きな石碑として境内にある。
また、古歌や故事に因んだ色々な植物が「古典樹」として沢山植えてあり、その説明板も丁寧に添えてあるので、ちょっとした古典樹植物園の体をなしている。


人丸駅を過ぎ、菱海中学校前で国道に合流するが、伊上交差点の先から街道は左に逸れる。この辺りはかなり旧道の趣を残していて、旧家の町並みがそこかしこに見える。
伊上小学校の先で再度国道に合流するが、ここにある西光寺には、「椎の木巨樹群」と呼ばれる13本の椎の木の巨樹が群生していて、鬱蒼とした境内の雰囲気を醸し出している。


左に伊上駅を見て更に往くと、「いがみ海浜公園・ビーチ350」なる綺麗な海岸も見えてくるが、シーズンオフのせいか、全く人影は見当たらない。右手前方に小さな島が見えてくる当たりで旧豊浦郡豊北町へ入り、そのすぐ先が今日の終着点の長門粟野駅だ。


ここから帰宅するのに、長門市駅へ出て美祢線バス代行で厚狭へ出るか、それとも、山陰線で幡生へ出て山陽本線に乗るか、どちらが早いのかとケータイの乗換案内で調べると、ここでの待ち時間の関係で幡生へ出る方が早いことが分かった。但し、料金は二百数十円こちらの方が高いのだが、ま致し方ない。
長門市から長門粟野までは国道の距離ならば23km位だが、街道沿いでは27km位で、久しぶりに6時間の歩行となり、41,566歩を数えたのだ。両足に、心地良い疲労感を覚えて帰路についた。



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