霊の「関東……もとい、長州ウォーキング」

「関東歩き旅」の続編で、「長州歩き旅」を始めました

二回目の肥中街道二日目(御坊→西市)

2013年07月13日 | 肥中街道

2013年7月20日(土)

前回ここを歩いたのが4月27日だったから、それからだいぶ日が経ってしまったが、ようやく時間が取れたので、今日は新山口駅から防長バスに乗って、前回のゴールである(旧美東町)御坊まで行き、ここからゆるゆると歩き始めた。

街道はほぼ県道240号を西進するが、ところどころ県道を逸れては又交わる旧道を探しながら歩くのもまた楽しい(タイトル写真)。写真のようなこんなに狭い道でも、カーブミラーが黄色く塗られているところを見ると、以前はこの狭い道が県道240号であったことが分かるのだ。
御坊からすぐ先の旧道沿いに「追拳公会堂」と書かれた集会所があったので、通りがかりのおばあさんに『この地名は何て読むんです?』と聞いてみたら、『おこぼしじゃぁ、他所の人にゃぁ読めんじゃろうのぉ~、ハハッ』と軽くあしらわれてしまった。
勝手に察するに、読み辛い地名であることから他所から来る人に聞かれ慣れているのか、はたまた、この地名に甚く誇りを持っているのかのどちらかだろう。追拳だから普通に読めば「おうこぶし」くらいだろうが、いつのまにか「おこぼし」になってしまった訳だナ。地名って、面白い!

下郷小学校、岩永郵便局前を通りすぎて、山露交差点で国道435号に突き当たる。これを左折して直ぐの三叉路で今度は右折すると再び県道240号になり、やがて右手に広大な県畜産試験場が見えてくる。そのすぐ手前の目立たない小さな三叉路は、右から来る赤間関街道との合流点で、従って、ここから美祢市内までは肥中街道と赤間関街道(中道筋)は同じ道筋となる。
梶岡牧場入口を過ぎて、ごくたまにしか車も通らない長閑な県道をそのまま西進すると、前方に美祢市河原集落が見えてくる(写真下)。


県道を右に逸れて河原集落に入り、専正寺の直ぐ先左手に、「諸隊の宿陣跡」と書かれた案内板が目に入る(写真下)。幕末に、長府の功山寺で挙兵した高杉晋作率いる奇兵隊が、赤間関街道を東進して萩を目指す途中、ここに滞陣したのだナ。

そして、翌年にこの先にある絵堂の地で、萩政府軍との決戦となった「大田・絵堂の戦い」が勃発し、この戦いに奇兵隊軍が圧勝したことから長州の藩論が一気に倒幕に向かうこととなる訳だ。全部合わせても僅か数百人と言われた奇兵隊諸隊が、この時点で日本の歴史を大きく変えたことに想いをはせると、なかなか感慨深いものがある。

その先の小さな峠を超えた途端に、宇部興産伊佐セメント工場の広大な敷地が目に飛び込んでくる。それまで、山々の豊かな緑づくしだった光景から、いきなり石灰岩の採石場(・・・と思う)の一面真っ白な景色に変わるのは、目に痛い程だ。
工場の敷地が切れた辺りの左側に旧道があり、青嶺高校の北側で国道316号を横切り、更に美祢線も横切る。赤間関街道はここで南下して美祢市内の大嶺地区に入るのだが、肥中街道はそのまま直進して再度県道240号に合流し、来福台団地の南側と美祢ダム池との間を進む。
常森集落を抜けて小さな峠を下ると、県道38号に突き当たり、これを右折して旧美祢線大嶺駅方向へ向かう。大嶺郵便局手前の奥分に小さな交差点があり(写真下)、これを豊田方面に左折して上り坂を登って行く。


直ぐに「山頭火の道」なる標識が見えてくるので、県道から逸れて右手の旧道を登って行く。坂のほぼ頂上近くに小さな平原集落があり、三叉路にある旧酒場跡の向かいに、山頭火の句碑が経っている(写真下)。

往時には旅籠があったであろう跡地に、「よい宿で、どちらも山で、前は酒屋で」と、いかにも山頭火らしい句がでぇ~んと威張っているように見えるのが、何とも微笑ましい。

ここの三叉路を右に折れて又少し坂を登って行き、溜池を右手に見て過ぎると桃ノ木集落に出る。急な小川沿いの坂に寄せ合うように家が繋がる桃ノ木集落を抜けると、桃木小学校の側へ出て、ここで国道435号と合流する。
ここから暫くは国道を往くしかないが、小さな峠を越えるとすぐに豊田前麻生の町並みが見えてくる。下り坂の途中から左手に旧道が残っていて、今はほとんど人通りも無い静かな通りを往く。
麻生郵便局近くのバス停は「御注連」という名前だったが、これは一体何と読むのだろう?。「注連」は「しめ」と読むのが普通だから、「ごしめ」「おしめ」「みしめ」のどれかではないかと思う。誰か知っていたら、教えてくらはぁ~ぃ!

その先、豊田前郵便局のある麻生銀座(?)を過ぎるとまた少し上り坂になり、峠を超えた先の下り途中に、右手にまた旧道が見えてくる(写真下)。どうやらここで美祢市から下関市に入るようで、この旧道の入り口には写真のようにしっかりと車止めがされている。ということは、車が通らない訳だから安心して歩くことができるってぇ訳だぁな。


この旧道が終わった辺りで国道435号を横切り、国道左手の川沿いの旧道を暫く往く。この当たりが殿敷地区で、中世周防の国の豪族であった豊田氏の向山館があった所らしい。殿敷なる地名は「殿様の屋敷」から来ていると思われるが、こんな片田舎であっても、館の内には蹴鞠を楽しんだ庭があり、諏訪神社を奉り、水車まであったそうで、広大な敷地での殿様の暮らしを忍んでみる。

で、ようやく本日のゴールである西市へ到着した(写真下)。


西市からは、バスに乗って山陽本線小月駅まで行きJRで帰宅したが、久し振りのウォーキングだったこともあって、少々疲れた・・・みたいだぁ。

三日目へ続く



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4 コメント

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御注連 みしめ (ひだか)
2014-05-09 14:55:01
貴ブログを参考にさせていただいて肥中街道を歩いています。
御坊から西市までは、2日に分けて歩きました。
数年前まで30分も歩けなかったのが、フとした弾みで歩くのが面白くなり、これから”歩く旅”などにもチャレンジしたいと思うようになりました。ネットで肥中街道を見つけ、この春から歩き始めました。
4月1日に道場前から御坊まで歩きました。4万3千歩24Kmですね。4万歩超えは初です。標高500mの大峠越えを含めてなので、我ながらスゴイと思いました。4月3日に和歌山に行き、4日から熊野古道、中辺路 滝尻-継桜-本宮大社 計40Km余りを2日で歩きました。どうも膝を痛めたようで、しばらく休憩することにしました。
5月2日御坊から歩き始めましたが調子悪く、青嶺高校のところで中断、美祢駅からJRで帰りました(下関)。4日に美祢駅へ行き、青嶺高校から再挑戦。西市まで歩きました。明日10日、西市-滝部を歩く予定です。
ところで、麻生の御注連ですが「みしめ」のようです。麻生郵便局の前の三ツ杉川にかかる橋に「みしめはし」と書かれていました。
ところで、肥中街道のルートですが、貴兄は何から知られたのでしょうか?
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やはり「みしめ」でしたか ()
2014-05-09 23:26:52
ひだかさん、こんばんは。コメントをありがとうございます。

「数年前まで30分もあるけなかった」と言うのは、私がウォーキングを始める前と全く同じ状況です。
田舎に住んでいると、すぐそこにいくのにも車を使ってしまいますが、関東での単身赴任中は車が無かったので歩くしかなかったのが、却って幸いしたみたいです。そういう意味では、田舎の人よりも都会人の方が、よく歩く分だけ健康的なのでしょうね。

熊野古道辺りを、二日で40km余りを踏破ですか。私にはとてもまだ無理な程の素晴らしい健脚ですが、どうぞ無理のないようにマイペースで楽しんでください。

大抵、橋の欄干も見ながら歩くのですが、ここの川は小さかったと思うので、ちょいと見落としてしまったようです。わざわざ教えていただきまして、ありがとうございました。

肥中街道のルートは、山口県立図書館で閲覧した書籍を頼りにしています。県教育委員会が探索して編纂した貴重な書籍で、今では販売品としては入手できませんので、図書館に行った際に閲覧しています。
他にも、赤間関街道や山城街道など、山口県人でさえあまり知らないマイナーな街道の版もあります。機会があれば是非ご一読を。
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ありがとうございます (ひだか)
2014-05-11 10:01:43
県立図書館の件ありがとうございます。資料拝見しに行こうと思います。
ところで「山頭火の道」から「桃の木小学校」までのところで道を間違えました。
句碑のところで右折して桃の木に向かうべきところ、そのまま真っ直ぐ降りて、たまたまバスが通るのを見て、その方向に歩きました。それがバイパスで435号に出て遠回りしました。次の機会にキチンと歩きたいと思います。
ところで句の”前は酒屋で”の通り向かいに酒屋があります。小さな古い建物で既に廃業されているかも?と思いましたが調べてみると、世界進出に挑戦されています。スゴイです。私は下戸ですが一度飲んでみようと思います。
大嶺酒造株式会社 http://www.ohmine.jp/

昨日、西市から滝部まで歩きました。面白い話を聞きました。3日目のページに後日投稿させていただきます。
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あらら・・・ ()
2014-05-11 23:19:02
道を間違えて違うコースを辿ってしまうのも、またそれなりに楽しいものですよね。よし、もう一度来ようという気になりますから。
大嶺酒造の情報ありがとうございました。素晴らしいお酒を作っているようで、私の自宅の近くでも入手できそうなので、一度チャレンジしてみます。
全国的に有名な「獺祭」だけではなく、山口にはこんな酒造場もあるのですね。自宅と同じ自治会内にある金光酒造の「山頭火」特撰大吟醸原酒も、獺祭に負けず劣らずの銘品ですけど・・・。
滝部まで既に歩かれたということは、あと一日でゴールできそうですね。「面白い話し」の投稿を楽しみにしています。
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