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10月20日(金)

2017年10月29日 23時39分39秒 | 2017年

  5時半起床。今日は休日出勤の振替休日を取って、日帰りで長野方面へ鉄道旅に出かける。

  6時過ぎに家を出る。平日とはいえ、さすがにこの時間だと蒲田駅も閑散としている。普段の喧騒からは想像も出来ない静かさだ。

  新宿駅07時30分発の特急あずさ3号に乗り、小淵沢へ。所要時間は約2時間。車内は結構混雑していて、半分くらいはビジネスマンである。朝食は、新宿駅で購入した「牡蠣と炙り煮あなご弁当」を車内で頂く。期待以上に美味しい。メインは牡蠣かと思っていたが、あなごが良い仕事をしている。

  定刻どおり、小淵沢駅へ到着。次の予定まで少し余裕があるので、一旦改札を出て駅の展望広場へ。高さはそれほどでもないが、周囲の町が結構よく見える。また、遠くの山が朝靄に包まれている様子が幻想的だった。

  今日のメインの目的は、今年の7月にデビューしたばかりの小海線のリゾート列車「HIGH RAIL 1375」に乗ることである。

この列車が運転する小海線は、高原地帯や八ヶ岳の眺望、日照時間や寒暖差による豊かな実り、美しい星空を眺めるなど沿線に多くの魅力を有しております。「空」に近い自然環境、JR線でも標高が高く「空」に近い線区の特徴から「天空にいちばん近い列車」をコンセプトとしました。(JR東日本HPより)

  少しだけ補足をすると、小海線の野辺山駅は日本全国のJR線の駅の中で最も高い標高(1345.67m)に位置しており、この駅と隣の清里駅の間にJR線標高最高地点(1375m)がある。列車名の数字は、この標高最高地点の高さから来ている。実際、路線の勾配はかなり急で、何も知らずに乗っていても「随分登ってるなー」と実感出来るほどだ。

  出発の15分ほど前に、列車が入線してくる。沿線から眺められる八ヶ岳をはじめとした山々や星空をイメージして作られた車両で、キハ100、110系を改造したものだ。内装もいかにもリゾート列車といった感じで、中でも特筆すべきは私の乗った1号車にあるシングルシートとペアシートである。特にシングルシートは1人席に2席分のスペースが割かれているので、広々としている。座席が窓に対して45度の角度に向かって設置されているのも、景色を眺めるのに最適だ。また、2号車には天井がプラネタリウムになっているギャラリーもある。これは面白い。これまで乗ったリゾート列車の中でも1番かもしれない。

  10時30分に出発。小淵沢を出てすぐに、かなりの勾配を上り始める。まさに、"High Rail"。景色も素晴らしい。また、野辺山駅の手前では、JR鉄道最高地点の標柱を見ることが出来た。1375m地点だ。

  JR線の中で最も標高が高い駅、野辺山駅で5分ほど停車時間があったので、車外に出る。びっくりするくらい何もない駅だが、それがいい。

  野辺山駅を出てからは、まったりモード。景色を眺めたりパンフレットに目を通したり、シングルシートは本当に広々としていて、リラックス出来る。また、途中でアテンダントさんが回ってきて、記念写真を撮ってくれた。少し恥ずかしさもあるが、こういうサービスは嬉しい。

この地域といえば、高原キャベツ。

  車内販売コーナーへ行ってみる。限定グッズが所狭しと並んでいて片っ端から買いたい衝動に駆られたが、ぐっと堪えて、りんごジュースとお豆入りの抹茶ケーキを購入。うん、美味しい。小腹を満たすにはちょうど良い。

  今回乗った快速HIGHRAIL1号は、途中で長時間停車するということがない。それが唯一の不満なところだろうか。沿線に何もないのかもしれないが、どこかで少し長めの休憩時間をとって、駅周辺を自由に散策できると嬉しい。ちなみに、反対方面への2号では野辺山駅で15分間の停車時間があるし、夜に走る星空号では同じく野辺山駅で約1時間の星空観察会に参加することが出来る。是非、1号もそのような遊び時間を設けてもらえると嬉しい。

  乗車からちょうど2時間。12時31分に終点の小諸駅に到着。素晴らしい時間を過ごすことが出来た。今回、2日前にシングルシートが取れたのは本当に幸運だった。2日前の時点で残り座席が1席しか空いていなかったのだが、その1席がシングルシートだった。この席は7席しかないから、狙っていてもそう簡単に取れるものではない。急に思い立って、ダメ元で切符を取りに行って本当に良かった。

  小諸駅で下車し、帰りに軽井沢まで乗るしなの鉄道のリゾート列車「ろくもん号」のチケットを受け取ってから、駅を出る。小諸周辺は、私の大好きな「これぞ地方都市の駅」といった雰囲気だ。何となく、会津若松駅の雰囲気に似ている。

  駅から10分ほど歩いて、温泉宿「中棚荘」へ。ここで、日帰り入浴をさせて頂く。島崎藤村ゆかりの宿で、彼の作品の中にもこの宿が出て来る。また、彼が明治29年に発表した詩「初恋」にちなんで、内湯にりんごを浮かべる「初恋りんご風呂」が名物になっているそうだ。今はちょうどそのお風呂の時期が始まったところである。

  お昼時の時間だったので、お風呂は完全に貸切。室内に入った瞬間に、木の良い香りがする。建物全体が木造で、特に柱や梁などの立派さが印象的だ。脱衣所も畳敷きで、居心地が良い。たくさんの林檎が浮く内湯に、木漏れ日の射す露天風呂。内湯は温かくて体がポカポカになるし、露天風呂は冷たい風が心地よくて長く入っていられる。いつの間にか、肌もツルツルになっている。上がったあとは、しばらく畳でゴロゴロする。危うく、そのまま本格的に眠ってしまうところだった。

お風呂を出たところで飲泉も出来る。入っている時には気付かなかったが、結構濃い温泉だ。

  駅前まで戻り、「遠州家」で昼食。鯉のあらいと鯉こくが入った「鯉定食」を注文する。大学時代に初めて鯉のあらいを食べた時に、鯉の美味しさにはまった。生でも臭みはないし、食感もしっかりあって美味しい。鯉こく(鯉の味噌汁風煮込み)は初めて食べたが、身の柔らかさと脂の旨みがよく感じられて、全体的に甘めの味噌汁に仕上がっていた。これは相性抜群だ。お風呂上りだったこともあって、味が身体に染み渡っていく感じだった。

  駅周辺を少し散策する。かなり古い街並みで、良い具合に寂れている感じがある。しかし、個々のお店には活気があるものもあるし、面白いところも多い。何だかんだで、このあたりで生活に必要なものは何でも揃いそうだ。

  駅舎を背にして左手には、市民広場(停車場ガーデン)が広がっている。ここだけやけにお洒落な雰囲気だ。庭園はかなりしっかり手入れがされていて、たくさんの種類の植物が植えられていた。

  小諸駅に入り、電車を眺める。115系電車が並んでいて、中には横須賀色(青色)もあった。首都圏では見られなくなった古い車両が現役で活躍している姿にほっこりする。

  乗車予定の「ろくもん号」が入線してくる。しなの鉄道が力を入れている観光列車で、真田一族の家紋である「六文銭」から命名され、車両も真田幸村が用いた「赤備え」をイメージしたデザインになっている。通常は、長野・軽井沢間を2時間から2時間半ほどで走っている。今回私は小諸・軽井沢間のわずか30分ほどの乗車だけだが、フルで乗車すれば周辺地域のお店が提供するコース料理や懐石料理を車内で食べられるプランもあって、人気を博している。

  小諸での停車時間が15分ほどあり、多くの乗客は駅周辺の散策に出掛けているので、その間に車内を探索。この列車は、内装へのこだわりがすごい。座席や机はそれが電車内のものとは思えないし、私が乗車した1号車には中央部分に木のプールが設置されていたりもする。食事付で乗車する方々が利用する2号車、3号車は更に凝っていて、ソファとカウンター席のあるラウンジ風(2号車)や和風個室(3号車)など、かなり豪華な造りになっている。どうせ乗るなら、長野から軽井沢まで全区間で乗って、ゆっくりと食事を楽しみながら景色を眺めるのがいいだろう。

私が乗車した1号車。

2号車。お洒落なバーのような雰囲気だ。

3号車は個室。反対側の景色は見づらいが、特別感はダントツである。

  小諸から終点の軽井沢までは、約30分。電車はゆっくりと田園地帯を走る。途中、本来なら浅間山が綺麗に見られる場所を通ったが、今日は生憎の天気で雲がかかっていた。そして、30分はやはりあっという間だ。せっかくこんなに素晴らしい列車に乗るんだから、次は全区間を楽しみたい。

本来は、ここから浅間山がよく見えるらしい。

  軽井沢で新幹線に乗り換え。16時11分発のはくたか582号に乗り、東京へ戻る。

  東京駅で仕事終わりの妻と待ち合わせて蒲田へ戻り、「吉岡家」で夕食。妻は石狩鍋定食、私は天ぷら定食に肉豆腐をつけてもらった。ここの天ぷらはカラッと揚げてあるし、野菜の種類も多いので好きだ。

  19時過ぎに帰宅。1日に2本のリゾート列車に乗れるという、夢のような1日だった。最近はこの手の列車がどんどん新しく出てきているから、この調子でどんどん開拓していきたい。


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