社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

6月1日(金)

2012年06月03日 18時44分30秒 | 2012年

  6時起床。すぐに大浴場で汗を流し、身支度を整えてチェックアウトの準備を整えてから朝食へ。バイキングだったので、思わず食べ過ぎてしまった。

  7時過ぎにチェックアウトし、大島港07:20発のフェリーで気仙沼へ戻る。

  大島港から、トヨタレンタカーのお店まで、20分ほど歩く。昨日見て回った地域とは反対側(港より南側)を歩いたのだが、こちらもまた甚大な被害を受けていた。

  レンタカーを借り、北を目指す。まずは、陸前高田へ。ここの風景は、おそらく一生忘れることが出来ない。気仙沼や後から訪れる大船渡には津波被害を免れた地域があり、今はきちんと街として機能しているのだが、ここは街そのものが津波によって消滅してしまっている。カーナビがなければ、そこが陸前高田の市街地であると気付くことすらできない。あまりに何もかもが流されてしまっていて、どこが道なのかもわからず、かつて駅のあった場所には瓦礫が積み上げられている。かろうじて残っている建物も、柱という柱に赤いバツ印が付けられている。道を通る車はトラックばかりで、地元の住民の姿は一切見られない。車から降りてあたりを見回すと、何だか全く別の世界に来ているような感覚で、寒気がしてくる。ひとつの街をこんな姿に変えてしまう津波の恐ろしさを、まざまざと見せつけられた。


陸前高田市役所


このすぐ先に、陸前高田駅があったはず。

  北上を続け、大船渡へ。あくまで陸前高田と比べればの話だが、ここは復興が進んでいるように見受けられた。道を走る普通乗用車も多いし、プレハブ商店街も賑わっている。もちろんまだまだ復興への道のりは長いのだろうが、先ほどの光景が衝撃的過ぎたため、少し安心させられた。


大船渡線の完全復旧への道のりは、まだまだ長そうだ。

  来た道を引き返し、気仙沼まで戻る。復興商店街と同様、プレハブ小屋で作られた「復幸マルシェ」に立ち寄り、少し休憩。ソフトクリームを食べながら、しばらく人々の様子を眺める。観光客の姿も所々に見られるが、地元の方々も多く、順調に街の日常に溶け込んでいることが伺えた。震災以降、どこの商店も地域事業者の減少によって地元民の利用が減少しているそうだが、やはり重要なのは私のような観光客ではなく、地元の人々がどれだけ訪れるかだろうと思う。

  再度、南町紫市場を訪問。今度は、「揚げたてコロッケ屋」で、その名の通り揚げたてのコロッケパンを頂く。昨日の「あさひ鮨」の向かいにあって、昨日から気になっていたお店なのだ。ちょうど目の前で揚げあがったところだっただけあって、本当に熱々でおいしい。値段が安く、採算を取るには一体何個売らなきゃいけないんだろうと心配にもなるが、人気も高いようなので、これからも頑張って欲しい。

  続いて、港からすぐ近くにある「復興屋台村」へ。飲食店や地域の地場産品を扱うお土産屋などが集まる、これまでの商店街やマルシェより観光客向けの施設である。その中から、「まるずわいがに」という珍しい蟹を扱ってる「かに物語」というお店に入り、新作メニューだという「蟹ピラフ」と定番の「ビスク」を注文。まるずわい蟹というのは、アフリカの海に生息する蟹だそうだ。知名度はあまりないが、味が濃くて身に弾力があり、美味しい。蟹の殻で出汁をとったというビスクも、濃厚で癖になりそうな味だ。このお店ではもちろん、このお店を経営する株式会社カネダイからも通販でこの蟹が買えるらしいので、蟹好きな母のために今度一度注文してみようかと思う。

  レンタカーを返却し、駅へ戻る。レンタカーの店舗は海岸からキロ単位で離れているのだが、それでも津波の浸水被害で車が全てやられてしまい、約2ヶ月の間営業出来なかったらしい。私を駅まで送ってくださった店員さんも、自宅の被害状況を見に自転車を走らせている時に目の前から来る津波に遭遇し、急いで引き返すという体験をされたそうだ。今は何事もなかったかのように見える地域でも、当時は大きな被害を受けていたということである。

  少し時間があったので、駅前のホテルの喫茶店で休憩。勧められるがままにケーキセットを注文。もう旅も終盤だ。

  気仙沼駅14:26発の快速スーパードラゴン号に乗り、一ノ関へ戻る。車内では完全に爆睡し、気付いたら一ノ関に着いて扉が開くところだった。

  新幹線の切符を1時間半後発のものに変更し、一ノ関駅周辺を散策する。これぞ田舎のターミナル駅という感じののどかさが良い。

  駅前にある食事処「松竹」に入り、名物のソースかつ丼を食べる。ソースかつ丼といえば福井のイメージが強いが、一ノ関も有名らしい。入るなりいきなり、元気な女将さんから「水とお茶、どっちがい~い?」と聞かれ、その後も訛り全開で色々と話しかけてくれたが、半分ぐらい何を言っているのかわからなかった。しかし、笑顔が印象的な愛らしい女将さんである。肝心のソースかつ丼は、福井がサクサクであるのに対して、こちらはしっとり系。しかも、キャベツが入っている。ソースは薄味のものが多めに入っていて、ソースご飯にキャベツとカツが乗っているという感じだろうか。ちょっと好き嫌いが分かれそうな感じもするが、私にとっては大当たり。これは、一ノ関名物というだけのことはある。お店や女将さんの雰囲気も含めて、「名物」の名にふさわしい。

  一ノ関駅17:06発のはやて110号に乗り、大宮へ。乗車後すぐに定番のアイスクリームに舌鼓を打った以外は、ただただぼーっと窓からの景色を眺めていた。

  大宮駅から京浜東北線に乗り、19時半過ぎに実家へ戻る。この2日間、被災地を回ってみて感じたのは、津波被害が想像をはるかに超えて壮絶だということと、それにも関わらず復興に向けて歯を食いしばっている人たちがたくさんいるということである。彼らの心の中には悲しみだけでなく、確かに希望がある。ありきたりの表現になってしまうが、本当に、心から、頑張って欲しいと思う。そして、私もまた、この経験をもとに災害対策について真剣に検討すると同時に、被災地のために何が出来るかを考え、出来ることを実行に移していこうと思う。

  深夜、友人の家へお邪魔し、ご飯を食べながらおしゃべりをして、3時過ぎに帰宅。

 


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