社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

5月31日(木)

2012年06月03日 17時40分03秒 | 2012年

  5時起床。身支度を整え、6時前に家を出る。本郷台から乗るこの時間の京浜東北線は、さすがにガラガラだ。しかも、東京までずっと空いていた。

  東京駅07:16発のはやて101号に乗り、一ノ関へ。東北新幹線は仙台以北空いてくるイメージがあるのだが、この列車ではむしろ仙台から人が増え、しかも一ノ関で多くの人が降りた。おそらく、平泉へ行く人が多いのだろう。

  一ノ関からは、大船渡線の快速スーパードラゴン号に乗り、気仙沼を目指す。名前からしてどんな列車なのかと思いきや、普通のキハ100系で少し拍子抜けした。一ノ関から気仙沼までは約1時間20分。ひたすら山間部の田園地帯を走る。これといった絶景こそないものの、心落ち着く風景が広がっていた。なお、大船渡線は震災以降完全復旧には至っておらず、気仙沼より先は未だに不通となっている。

  気仙沼駅前の観光案内所でレンタサイクルを借り、気仙沼港を目指す。駅周辺には特に被災を感じさせるようなものはなく、復興が順調に進んでいるように思われるが、港近くのある地点を境に、景色が一変する。1階がぺしゃんこに潰れた建物、2階までが空洞化したビル、ぐにゃぐにゃに折れ曲がった歌碑、沈んだままの乗船用桟橋。さらに先へ進むと、土台だけが残ってかろうじて建物が建っていたことが伺える広大な土地に、廃車の山、廃墟と化した住宅、そして海から数百メートルも内陸へ流された大型船。その地域一帯の建物はほとんど全てが流されてしまったため、はるか遠くまで見渡すことが出来てしまう。これまで何度も各種報道で目にしてきた光景だが、いざ目の当たりにすると本当に圧倒される。背筋が凍るとは、こういうことをいうのだろう。

  昼食は、気仙沼の復興の象徴のひとつとして有名な「南町紫市場」へ。この商店街も津波で壊滅的な打撃を受け、震災直後は大半の商店主が店を畳む決意をしていたのだが、独立行政法人中小企業基盤整備機構などの支援を受けて、プレハブ商店街として再建された。具体的には、中小機構がプレハブを建設して市に貸与し、市が各商店主に無償で転貸しており、少額の管理費が掛かりはするものの、無理なく商売を再開させることが出来たそうだ。ちなみに、内装や設備は自費で負担するそうだが、そこにも多くの補助があったらしい。

  いくつかの飲食店の中から「あさひ鮨」を選び、「復興スペシャル」を注文。気仙沼名物のふかひれが入っているのが特徴だ。カウンターに座り、大将とおしゃべりをして、先に書いた商店街復興の背景を伺った。その復興に際しては、商店街でNPO法人を立ち上げたそうで、大将がその理事長だった。運良く、再建の中心人物から話を聞くことが出来たわけである。もちろん、お寿司も美味しかった。これからも、更なる復興に向けて頑張って欲しい。

  再度プレハブ商店街を散策し、マッサージ屋「元気」に立ち寄る。最近は首と肩の凝りがひどいので、せっかくだからこの商店街でマッサージを受けようと思ったのである。客は私1人だったので、30分のマッサージとその後のサービスで頂いたケーキを食べる時間、マッサージ師さんからいろいろと震災当時の話を伺った。彼女は当時、海から数百メートルのところの川沿いにある船員保養所で働いていて、地震のあとしばらく建物の外で他の人々と話をしていたが、遠くから波がやってくるのを見てすぐに建物の3階へ上がり、難を逃れたらしい。しかし、建物は壊滅的な被害を受けて事業継続の見込みが立たず、現在のマッサージ師の仕事に就いたとのことだった。その他にも、津波で沿岸部の重油タンクが流されて湾内に流れ込み、湾全体が炎に包まれたという話や、被災前の町の様子を写真で見せてくれたりした。

  レンタサイクルを返却し、タクシーで船乗り場に移動。15:20発の大島行フェリーに乗る。湾内の沿岸部は森のように木々が生い茂っているのだが、所々で海辺の木が変色していた。先ほどの話のとおり、本当に海が燃えたんだということがひしひしと伝わってくる。

港は未だにこういう状態。


大島に到着。

  港まで車で迎えに来て頂き、「休暇村気仙沼大島」にチェックイン。夕食の時間まで2時間ほどあったので、周辺の散策に出かける。この大島も津波で大きな被害を受けたようで、近隣の砂浜には廃車や瓦礫の山が出来ていた。しかし、自然に溢れた物静かな島は、歩いているだけで心が癒されるような気がする。

  夕食は、刺身の舟盛を中心としたコース料理。刺身はもちろん、ふかひれ釜飯が美味しかった。

  夕食後は、ゆっくりと入浴。あまり広くはないが、やはりゆっくりと湯船に浸かると体が軽くなる。その後はテレビを見ながらゆっくりと過ごし、翌日も早いので23時前には就寝。

 


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