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10月1日(日)

2017年10月22日 11時35分29秒 | 2017年

  8時起床。今日は、私の大好きなスノードラゴンが出走するスプリンターズステークス(芝1200m戦)を観に、中山競馬場へ行く。10時前に家を出て電車を乗り継ぎ、今回は武蔵野線の船橋法典駅から歩く。競馬場への専用通路は、スプリンターズステークス一色になっている。

  スプリンターズステークス限定発売の出走馬グッズ(ボールペン)を買おうと思ったら、見事にスノードラゴンのところだけが売り切れになっていた。私のようなファンが多いのか、はたまた製造量が少ないのか。この後色々な場所のグッズ売り場を見て回ったのだが、どこも売り切れだった。場所によっては、昨日のうちに売り切れた売場もあったらしい。

  馬場に出ると、ちょうど午前中のレースが終わったところだった。芝コースでは、音楽隊やチアダンサーによるミニコンサートが行われている。天気は、快晴。気持ちは良いが、重い馬場を得意とするスノードラゴンを応援する人にとっては苦々しい青空である。

  今日はスノードラゴン以外の馬券を買うつもりはないので、まずはゆっくりと昼食をとることにする。前々から気になっていたものの、いつも混雑していて諦めていたお寿司屋「和可奈」へ伺う。ここのお寿司は注文を受けてから職人さんが握るので、時間が掛かる。しかし、味は期待以上だった。ネタはしっかりしているし、巻物にも一工夫が加えられたりして、美味しい。普段から行列が出来ているのも頷ける。これだけ美味しいなら、1レースくらい飛ばしても、並んで食べたいと思うだろう。

  9レースが終わったくらいからパドックに陣取って、スノードラゴンの登場を待つ。パドックにはどんどん人が集まってきて、10レースの終了前後には満杯になった。さすが、秋のG1戦線の初戦である。ここから、G1シリーズが年末まで続くのだ。

  先頭を切ってパドックに出てきたスノードラゴンは、以前にも増して白さが目立っていた。目もクリクリで、ついつい惹き込まれてしまう。周りの人たちも、「やっぱりスノードラゴンはかわいいなー」と色めきだっている。馬券の人気はビリ(16頭中16番人気)だし、もう9歳(人間でいえば40歳)というおじさんだが、可愛さは断トツの1番だろう。また、これだけ多くの人に囲まれているにも関わらず、彼はいつものようにゆっくりと、しかしながら元気よく歩いている。とても9歳とは思えない、若々しい馬体だ。大野騎手が上に跨ってからは凛々しさも増した。私はその姿から目を離すことが出来ず、パドックの周回時間がいつもよりとても短く感じられた。

  馬券は既に、昨日買ってある。3年前のこのレースで勝ったあの時の縁起を担いで、買い方は全く同じにした。

  ゴール前の見やすい場所に体を滑り込ませ、レースの発走を待つ。会場の熱気は素晴らしく、ファンファーレが鳴り始めると大きな拍手に包まれた。この興奮は何ものにも代えがたい。

  まずまずのスタートを決め、中段のやや後ろに陣取ったスノードラゴン。しかし、3コーナーからペースが上がるタイミングで少しずつ周囲から遅れ始める。これだけの良馬場だし、さすがに厳しいか…。と思ったのもつかの間、最後の直線に入って残り200mを切ったあたりで、再内から真っ白の馬体がグングン伸びてくる。「そうだドラゴン!大野持って来い!」。各々の馬を応援する周りの歓声に負けじと叫ぶ私。「来た!本当に来た!」。彼は最後までグングンと伸び、ゴール版を4番手で駆け抜けた。なんだこれ、すごい馬だ。確かに、ギリギリ馬券圏内には入っていない。当然、私の馬券は外れだ。しかし、そんなことはどうもいい。こんな走りを見せてくれるなんて、本当に素晴らしい馬だ。馬券を買っておきながら、正直なところ、こんなに最後まで興奮するレースが見られるとは思っていなかった。気付いたら、自分でも驚くくらい涙を流していた。年齢的にもきついし、馬場が向いていないし、とにかく怪我なく無事に走り切ってくれればそれでいいなんて、君を甘く見ていたよ。ごめんなさい。そして、感動をありがとう。

  私は、今回のレースが彼の引退レースになるのではないかと思っていた。だから、どうしても現地で応援したかった。しかし後日、彼の次走予定が発表された。今のところ、JBCスプリント(11月3日の大井競馬場、ダート1200m戦)に向けて準備を進めているらしい。まだ走らせるんかい!という気持ちの一方で、今日のレースを観てしまったら、そりゃあまだまだいけると考えるよな、とも思う。せっかくここまで頑張ったんだから、もう1度1番最初にゴールする姿を見たい気持ちもある。しかし、40歳を超えたおじさんが、肉体的に全盛期の若者たちに混ざって駆けっこをするのだ。とにかく無事に。それが一番の願いである。そして、出来ればいずれは種牡馬として、その血を次の世代につなげてほしい。それが叶わなくても、穏やかな余生をのんびりと過ごさせてあげたい。そのためにも、まずはしっかりと疲れを取って、良い状態で次走に臨んでほしい。私も、食費をちょっと節約して、来月までに6,000円を用意しなければ。