社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

11月19日(土)

2016年12月04日 21時54分08秒 | 2016年

 5時半起床。温泉で汗を流してから、再び部屋で布団に入って読書。外では雨がしとしとと降っている。

 8時から朝食。朴葉味噌が美味しくて、ご飯が進む。

 10時にチェックアウト。宿に荷物を預け、傘を借りて散策に出る。湯谷温泉は、周囲に何もない。本当に、何もない。しかし、それがこの場所の魅力である。ただただ自然の中に身を置き、目の前の景色を眺める。ただ、それだけ。

 雨で体が冷えてきたところで、田舎茶屋「まつや」に入る。名物だという味噌田楽と五平餅、珈琲を注文する。味噌田楽も五平餅も、当然ながら味の決め手は味噌である。特に五平餅の味噌ともち米の相性は抜群で、熱々で食べると本当に幸せな気持ちになる。

 宿へ戻り、傘を返して荷物を受け取る。今回も、このお宿(はず別館)は最高だった。必ずまた来ます。おそらく、そう遠くない時期に。おそらく、今度は妻と一緒に。

 湯谷温泉駅では、乗る予定の列車が反対方面の列車の遅れの影響で少し遅れて運行しているとのことで(単線なので、こういうことはよく起きるのだろう)、少し待たされる。しかし、情緒溢れる無人駅で列車を待つ時間は、それ自体貴重なものである。

 11時49分発(実際には少し遅れたが)の特急ワイドビュー伊那路2号に乗り、豊橋へ。

 豊橋駅で、12時47分発の東海道新幹線ひかり518号に乗り換え、都内へ戻る。途中の車内で、スジャータのアイスクリームを頂く。やっぱり、安定の美味しさ。

 品川駅に到着後、一旦新橋へ向かい、ウインズ(JRAの場外馬券売場)で今日(東スポ2歳ステークス⇒トラスト)と明日(マイルチャンピオンシップ⇒スノードラゴン)の馬券を買ってから、蒲田へ戻る(ちなみに、どちらの馬券も外れ)。

 15時半前に帰宅。妻へのお土産は、帰りに豊橋駅で購入した「藤田屋」の大あんまきと、昨日購入した「矢場とん」の味噌だれ。

 夕食は、梅屋敷駅を超えたところにあるステーキ屋「KENNEDY」で。お肉が半額というキャンペーンにひかれてしまった。美味しいが、じゃあこの倍の正規料金を出しても食べたいかと聞かれると、それはちょっと難しい。

 この2日間の旅行中に、白川道さんの遺作となった『神様が降りてくる』を読んだ。『病葉流れて』シリーズで彼の大ファンになった私は、そのシリーズを読み終えた後、ずっとこの本を読みたくて読みたくて仕方なかったのだが、どこか一気に読めるタイミングを待って、ずっと寝かせていた。そして遂に、その時間を確保することができた。今回、日帰りもできる距離でわざわざ1泊したのも、湯谷温泉に泊まりたかったというのも多分にあるが、この本を一気に読みたいから、という理由だった。そして、期待通り、素晴らしい作品だった。この人が生きていたら、是非一度直接お会いして、お話してみたかったものだ。


11月18日(金)

2016年12月04日 21時12分39秒 | 2016年

 6時起床。今日は有休を取って、名古屋へ行く。お付き合いのある企業さんが出展する名古屋の展示会へ顔を出してから、観光をする。こういう場合、普通は出張として届け出をして、交通費も会社から頂くものなのだが、それだと業務中という扱いになって自由に動き回ることが憚られるため、私は休みを取るという形を選んだ。

 品川駅7時54分発の東海道新幹線のぞみ301号に乗り、名古屋へ。品川駅で駅弁(宮崎牛と博多やまや辛子明太子弁当)を買い、朝食にする。旅行に出かけると、朝から豪華なものが食べたくなる。

 名古屋からは地下鉄に10分ほど乗り、吹上駅で降りる。展示会の会場に向かう途中に公園があり、木々が綺麗に紅葉していた。冬が好きな私にとって、紅葉はただ美しいものではなく、好きな季節の訪れを感じさせてくれる印でもある。

 今回訪れたのは、吹上ホール(名古屋市中小企業振興会館)で行われている「次世代ものづくり基盤技術産業展」(TECH Biz EXPO)。愛知という地域柄、自動車産業や航空機産業を中心に、様々な最新技術の展示・商談が行われている。出展企業は約200社、来場者は3日間で約18,000人という規模である。私のお付き合いさせている企業さんは、「CFRP」と呼ばれる樹脂素材の製造・加工分野で出展をされていた。この素材は強度と軽さを兼ね備えていて、自動車や航空機の部品に欠かせない。そして、この企業さんはその製造・加工において大きな強みを持っている。今年、この展示会に私の組織からの推薦枠が設けられることになった際に、迷わず私がお声掛けをしたのがこの企業さんだった。先方のご担当者も「是非に」と即決してくださって出展が決まり、今日に至る。実際に出展した感想を伺ったところ、期待以上に商談や引き合いの話が出てきているとのことだった。やはり、すごい企業さんだ。

 1時間ほど会場を見て回って、お仕事(正式には仕事ではないのだが…)は終了。会場の近くからバスに乗り、矢場町にある「矢場とん」の本店で昼食を頂く。注文は、定番のロースとんかつ定食を注文する。普通のロースかつが運ばれてきたので「あれ?」と思ったら、味噌だれは目の前でかけてもらえるシステムだった。その味噌だれの香りだけで、食欲が湧いてくる。実は、これが人生初の本場のみそかつだったのだが、柔らかくてあっさりめのお肉と甘辛い味噌だれの相性がぴったりで、濃いめの味なのにどんどん箸が進んだ。これは、期待以上である。思わず、帰りにお土産でみそだれを購入してしまった。また、追加料金で注文した豚汁のレベルの高さについても、ここに書き残しておきたい。

 地下鉄に乗り、熱田神宮へ参拝する。七五三の時期だからだろうか、平日だというのに境内は賑わっていた。しかし、参道はとても広く、緑も深いので、寺社仏閣独特の雰囲気もひしひしと感じられる。ここではかなり歩き回ったのだが、それにも関わらず、体がすっと軽くなったような気がする。

 神宮前からバスに乗り、名古屋競馬場へ。どのくらいの距離なのかなーという軽い気持ちで調べてみたら、神宮前からバス1本で行けるとは。これも神の思し召しだろうか。ここに来るのは2度目だし、今日は特にお目当てのレースや馬がいるわけではないので、純粋に競馬場の雰囲気を感じることができる。それにしても、遠征で、しかも地方競馬の競馬場を複数回訪れるようになるとは、私も段々まずいことになってきたのだろうか。

 コースに出ると、ちょうど第6レースが始まるところだった。そのレースをかぶりつきで見て、そのあとの7レースに1,500円ほどを投資して案の定外れ、競馬場を後にする。ここでがっつりやってしまうと、今後のやりくりが厳しくなってしまう。それでなくても、秋は毎週のように大きなレースが続くのだ。ちなみに、外れた第7レースは三連単を中心に買っており、かなり惜しい結果だった。

 あおなみ線に乗り、一旦名古屋へ戻る。

 前回も訪れた喫茶店「リヨン」で、モーニング(もう夕方になろうとしているが)の小倉トーストを食べながら、少し休憩。プレスで焼いたトーストの美味しさは、ちょっと癖になりそうだ。

 名鉄の名古屋駅へ。乗車予定の列車が来るまで、駅の構内をうろちょろする。何らかの荷物的なものをホームに運ぶための滑り台のような装置があって、しばらく観察。これは一体どういう時に使うものなのだろう。

 名鉄名古屋駅15時18分発の快速特急豊橋行きに乗車。せっかくなので、展望席の特別車両に乗る。希望通りの古い車両に乗ることができ、前方や左右の景色を眺めながら、幸せな50分間を過ごす。

 豊橋駅周辺を少し散策し、いかにも地方都市という雰囲気のひなびた団地商店街の中にある喫茶店「grotta」に入る。木と煉瓦に囲まれた空間、壁一面のレコード、無造作に積み重なった本の山、流れるワルツ音楽、上品で優しいマスター。店内の雰囲気がびっくりするくらい良くて、ブレンドコーヒーもとても美味しく感じられる。豊橋でこんなに良い喫茶店に出会えるとは。家の近くにこんなお店があったら、私のコーヒー消費量は格段に上がるだろう。

 「grotta」を出る頃には、だいぶ空が暗くなっていた。その反面、道路は華やかになっている。もうクリスマスシーズンだ。

 豊橋で有名だという串焼き屋「むさし」で、早めの夕食。朝が牛、昼が豚ときたので、夜は焼き鳥を食べることにした。お通しのキャベツ、冷やしトマトに始まり、おまかせの5本串、名物だという3種の皮焼き、白レバーと、ぎんなん、最後にうずらの卵かけご飯。豊橋市がうずらの卵の生産量日本一だということを、どれだけの方が知っているだろうか。しかも、なんと全国シェア7割と、ぶっちぎりなのだ。当然、私もそんなことは全く知らなかった

 豊橋駅18時20分発の特急ワイドビュー伊那路3号に乗り、湯谷温泉へ。車内はがらがら。わずかな人を乗せた電車が、真っ暗な山の中を走っていく。

 湯谷温泉駅の目の前にある旅館「はず別館」に宿泊する。忌野清志郎さんが愛した宿として有名なところらしい。実は、ここに泊まるのは今回が2回目。前回は数か月前、この地域で法事に出席するために、いわば必要に迫られて宿泊した。その時の宿の雰囲気や温泉が素晴らしかったのが忘れられず、今回もまたここに泊まらせて頂くことにした。前回同様お抹茶を頂きながらチェックインを済ませ、部屋に案内して頂く。古い旅館だが、それゆえに部屋に趣きがあって、リラックスできる。お風呂も、渓流沿いの露天風呂と檜の内風呂があって、湯谷温泉のお湯を大満喫することができる。

 入浴を済ませ、豊橋駅の藤田屋で購入した名物「大あんまき」を食べながら、布団に横になって読書をする。前回もこの「大あんまき」を食べたのだが、今回はカスタード入りのものを選んだら、大当たりだった。しっとりとした生地にあんことカスタードがたくさん入っていて、生地も含めてそれぞれの甘さがよくわかる。そして、この部屋でゴロゴロしながら本を読んでいると、何だか昭和の文豪にでもなったかのような錯覚に陥る。就寝は23時過ぎ。