フィリピンでは、デング熱・dengue feverの感染者数が年々増加する傾向にあります。
今年も、雨季に入って感染者数が増え、昨日のニュースでは、デング熱感染者数は、昨年同時期に比べて14%増加の8万745人となっています。
デング熱は、デングウイルス・dengue virusによる感染症で、「ネッタイシマカ・Aedes aegypti」や「ヒトスジシマカ・Aedes albopictus」などの蚊によって媒介されます。(ただしヒトスジシマカにとって、ヒトは主な吸血対象ではなく、デング熱の媒介はまれだそうです。)
現在のところワクチンはなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防策です。
ネッタイシマカ・Aedes aegypti
以下、在比日本大使館からのメールマガジンによる予防法です。↓
(1)デング熱には予防ワクチンも治療薬もなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防法とされております。なお、感染には蚊が必ず媒介し、人から人への直接感染はありません。
(2)デング熱のウイルスを運ぶネッタイシマカは、ちょっとした水溜まりや空き缶、古タイヤなどに溜まった水で十分繁殖します。
また、卵は乾燥に強く水無しで何ヶ月も生き延び、水が十分与えられると孵化してボウフラになります。ボウフラになってから10日から2週間ほどで羽化しますので、繁殖場所になりそうなプールや池、花瓶、植木鉢の水受けなどは1週間に1回水を換えるか消毒することに心がけてください。
(3)ネッタイシマカは、日中吸血行動を取りますので、昼間の蚊には特に注意するようにしてください。
【参考】マラリアを媒介するハマダラカは夜間吸血行動を取ります。
(4)流行期を含め、長袖シャツ・長ズボンを着用して肌の露出をできるだけ少なくし、必要に応じて虫除け剤を使用すると効果的です。
(5)室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤等の使用は予防に役立ちます。
(6)規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつけることも大切です。
私の周囲でも、ここ10年余りの間に、数名の日本人の友人や知り合いがデング熱を発症し、数日間入院したことがありました。フィリピン人の友人や介護者の中には、甥や兄弟など身内をデング熱で亡くした人もいました。
私自身も、家の中でシマ模様の蚊を発見し、すぐに防虫スプレーをかけ、蚊取り線香を炊いたことがありました。発症までの潜伏期間が数日間あるので、その後数日間を不安に過ごしたことを覚えています。
この「デング熱」、日本でも太平洋戦争中に、戦地から持ち帰られたウイルスが日本にも生息する「ヒトスジシマカ」によって媒介され、西日本で流行し20万人が発病したことがあるそうです。
その後、日本国内での流行はありませんが、海外からの輸入症例、海外で感染してデング熱を発症する症例が、毎年100例前後報告されています。