2013年8月11日（日）
小豆島のＭさんから朝のメール：
おはようございます！
高松の港で知り合いが「こんなに暑いけど、トンボが飛びよるから、もう秋なんやな」と言ってました。自然ってすばらしいですね。
東京の街中でも、昨日は緑道あたりでちらほらトンボを見かけた。
さてこそ立秋、古くはトンボを「秋津」と呼んだのも、それが秋の先触れだからか。
夏はツバメ秋はトンボの招くなり（一句できちゃったよ！）
日本国の異名「秋津島」、日本書紀では国見をした神武天皇が「あきつの臀呫（となめ）の如し」と感嘆したことに依るという。臀呫（となめ）は交尾のことだってさ、そういう形なんですか・・・？
ふと起きた疑問。
田舎のトンボは、特に田んぼの上に密集乱舞する。
トンボは水中に産卵し、幼虫のヤゴは水生昆虫（それも至って獰猛な肉食昆虫）なんだから不思議もないが、田んぼは秋になれば水を抜いてしまうよね。すると、田んぼに産み落とされた卵は全員アウトなんじゃないだろうか。
田舎の家の門前の田んぼ、昨年いったん放棄されたが、作る人が見つかったらしく今年はまた水と緑を湛えている。
今週はトンボの群れに会えるから、この件、訊いてみよう。
***
朝刊一面は、「帝王切開 倍増19％ ～ WHO目安超す 背景に訴訟問題」
注釈無用だろうが、思い出すことがある。
1994年から3年間、アメリカ人の帝王切開好きをたっぷり見聞きした。
帰国の翌年、第三子が生まれることになり、最初は家から近い大きめの病院を受診した。担当のＱ先生は偶然にも医大の同窓で卒業年次も近かったが、この女医さんが家内に帝王切開を勧めたのだ。
家内は上ふたりの出産後、下肢に静脈瘤ができてやや難渋していた。それを見たＱ先生、「下肢にこれだけの静脈瘤があるということは、子宮にも静脈瘤が出来ている可能性が高く、自然分娩ではそれが破裂して大出血を起こす危険がある。これを回避するため、帝王切開がよろしい」とキッパリ断言なさったのである。
そういうものかと思いつつ、念のため上ふたりをとってくれた御茶ノ水の病院へ電話した。担当医のＫ先生はベテランで、間もなく定年とのことだったがぎりぎり間に合った。「静脈瘤で帝王切開を勧められて」と話すと、一瞬沈黙あり、それから苦笑しつつおっしゃるに、
自分は30年以上も産科医をやってきたが、静脈瘤で大出血を起こした例なんて、見たことも聞いたこともない、想像の中で危険を増幅しているんじゃないだろうか、若い先生方は帝王切開に頼りすぎですよ・・・
またウチへいらっしゃいというお勧めに従い、Ｓ病院で三度目の出産となった。いろいろと話題の多い経過だったが「大出血」に見舞われることもなく、無事にでっかい三男が生まれた。
以来15年、今は代替わりしてＱ先生が後輩の指導を担う年回りである。
大丈夫かな・・・？
ちなみに僕は帝王切開で生まれた。
帝王切開という技術と練達の医師がなかったら、母も僕もこの世になかったかもしれない。
***
朝のラジオ、日曜日は「著者に聞きたい本のツボ」、今朝は豊田正義『妻と飛んだ特攻兵』
今この時代になって、こういう事実が掘り出されることがあるのだ。
1945年夏、場所は満州。
8月9日に進撃を開始したソ連軍は、8月15日を過ぎても戦闘行動を止めなかった。対する関東軍は、戦争を始めた時とはうって変わって大本営の指令に従順に戦闘を放棄し、民間人は無防備でとり残されソ連軍の虐殺・暴行に曝された。（千島方面では状況が違ったことを、浅田次郎が『終わらざる夏』に書いている。）
ソ連軍の戦車が「ウサギのように」邦人婦女子をひき潰していく様子を、偵察機が空から目撃する。既に戦闘の義務もなければ法的根拠ももたない「元」特攻兵が、「元」敵の進撃をいくらかでも食い止める手立てを考えるが、もともと特攻以外の戦闘方法を想定していないこの部隊には爆弾すらなかった。あるのは飛行機と人だけだ。
8月19日、11機が飛び立っていく。
その一機が、女性を載せていた。谷藤徹夫少尉（22歳）と、夫を追ってきた新妻の朝子（24歳）である。
トンボが、飛んだ。
↓ Amazon
http://www.amazon.co.jp/%E5%A6%BB%E3%81%A8%E9%A3%9B%E3%82%93%E3%81%A0%E7%89%B9%E6%94%BB%E5%85%B5-8%E3%83%BB19-%E6%BA%80%E5%B7%9E%E3%80%81%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%89%B9%E6%94%BB-%E8%B1%8A%E7%94%B0-%E6%AD%A3%E7%BE%A9/dp/4041104823/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1376175813&sr=8-1&keywords=%E5%A6%BB%E3%81%A8%E9%A3%9B%E3%82%93%E3%81%A0%E7%89%B9%E6%94%BB%E5%85%B5
小豆島のＭさんから朝のメール：
おはようございます！
高松の港で知り合いが「こんなに暑いけど、トンボが飛びよるから、もう秋なんやな」と言ってました。自然ってすばらしいですね。
東京の街中でも、昨日は緑道あたりでちらほらトンボを見かけた。
さてこそ立秋、古くはトンボを「秋津」と呼んだのも、それが秋の先触れだからか。
夏はツバメ秋はトンボの招くなり（一句できちゃったよ！）
日本国の異名「秋津島」、日本書紀では国見をした神武天皇が「あきつの臀呫（となめ）の如し」と感嘆したことに依るという。臀呫（となめ）は交尾のことだってさ、そういう形なんですか・・・？
ふと起きた疑問。
田舎のトンボは、特に田んぼの上に密集乱舞する。
トンボは水中に産卵し、幼虫のヤゴは水生昆虫（それも至って獰猛な肉食昆虫）なんだから不思議もないが、田んぼは秋になれば水を抜いてしまうよね。すると、田んぼに産み落とされた卵は全員アウトなんじゃないだろうか。
田舎の家の門前の田んぼ、昨年いったん放棄されたが、作る人が見つかったらしく今年はまた水と緑を湛えている。
今週はトンボの群れに会えるから、この件、訊いてみよう。
***
朝刊一面は、「帝王切開 倍増19％ ～ WHO目安超す 背景に訴訟問題」
注釈無用だろうが、思い出すことがある。
1994年から3年間、アメリカ人の帝王切開好きをたっぷり見聞きした。
帰国の翌年、第三子が生まれることになり、最初は家から近い大きめの病院を受診した。担当のＱ先生は偶然にも医大の同窓で卒業年次も近かったが、この女医さんが家内に帝王切開を勧めたのだ。
家内は上ふたりの出産後、下肢に静脈瘤ができてやや難渋していた。それを見たＱ先生、「下肢にこれだけの静脈瘤があるということは、子宮にも静脈瘤が出来ている可能性が高く、自然分娩ではそれが破裂して大出血を起こす危険がある。これを回避するため、帝王切開がよろしい」とキッパリ断言なさったのである。
そういうものかと思いつつ、念のため上ふたりをとってくれた御茶ノ水の病院へ電話した。担当医のＫ先生はベテランで、間もなく定年とのことだったがぎりぎり間に合った。「静脈瘤で帝王切開を勧められて」と話すと、一瞬沈黙あり、それから苦笑しつつおっしゃるに、
自分は30年以上も産科医をやってきたが、静脈瘤で大出血を起こした例なんて、見たことも聞いたこともない、想像の中で危険を増幅しているんじゃないだろうか、若い先生方は帝王切開に頼りすぎですよ・・・
またウチへいらっしゃいというお勧めに従い、Ｓ病院で三度目の出産となった。いろいろと話題の多い経過だったが「大出血」に見舞われることもなく、無事にでっかい三男が生まれた。
以来15年、今は代替わりしてＱ先生が後輩の指導を担う年回りである。
大丈夫かな・・・？
ちなみに僕は帝王切開で生まれた。
帝王切開という技術と練達の医師がなかったら、母も僕もこの世になかったかもしれない。
***
朝のラジオ、日曜日は「著者に聞きたい本のツボ」、今朝は豊田正義『妻と飛んだ特攻兵』
今この時代になって、こういう事実が掘り出されることがあるのだ。
1945年夏、場所は満州。
8月9日に進撃を開始したソ連軍は、8月15日を過ぎても戦闘行動を止めなかった。対する関東軍は、戦争を始めた時とはうって変わって大本営の指令に従順に戦闘を放棄し、民間人は無防備でとり残されソ連軍の虐殺・暴行に曝された。（千島方面では状況が違ったことを、浅田次郎が『終わらざる夏』に書いている。）
ソ連軍の戦車が「ウサギのように」邦人婦女子をひき潰していく様子を、偵察機が空から目撃する。既に戦闘の義務もなければ法的根拠ももたない「元」特攻兵が、「元」敵の進撃をいくらかでも食い止める手立てを考えるが、もともと特攻以外の戦闘方法を想定していないこの部隊には爆弾すらなかった。あるのは飛行機と人だけだ。
8月19日、11機が飛び立っていく。
その一機が、女性を載せていた。谷藤徹夫少尉（22歳）と、夫を追ってきた新妻の朝子（24歳）である。
トンボが、飛んだ。
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