蛙

　　村中の蛙読経蓮如の忌　　　稲葉朱灯

このところ暖かくなったせいか、夜になると蛙の鳴き声が賑やか
になってきた。田植えの前後が一番騒がしくて、気になって眠れ
ないほどである。

夜、車で帰宅途中両脇の田んぼから、それはそれはみごとな
合唱を聞くことができた。窓をあけなくてもすごい音量で鳴く
様子は想像以上の迫力がある。

あたかも蓮如忌がいとなまれている季節なので、まるで村中の
蛙が総出でお経をあげているように思った。その真剣な営みに
人間にはおよばない力を感じた。


11/05/31 VOL, 170

母の日

　母の日の児が描く母の顔丸し　　　　稲葉朱灯

ことしも母の日がめぐってきた。もう自分には関係のない日になってしまったが、女性にとっては幾つになっても我が子から「元気でね」といたわられれば顔がほころぶのが微笑ましい。

近くの郵便局のギャラリーで、園児の描いた「母の日」に感謝する絵を見てきたが実に楽しいのが多かった。やはりこどもにとってお母さんはとても大きな存在なのだ。

どの絵もいきいきとしていて、せいいっぱい用紙を使い切った作品が多かった。みんな顔を大きく丸く描いているのが共通していたように思う。これは自分の母を美しく描きたいとの思いがこもっているのだろう。


　
11/05/10 Vol．169