はいくでハイク

個人的な俳句日記です。

初音

2009-03-28 21:17:51 | Weblog



 時折に届く初音のありどころ   稲葉朱灯

例年より10日ほど早く桜の開花が予想されているが、このところまた異常な寒気がきて時ならぬ雪が積り、さくらの蕾もきっと戸惑っているにちがいない。

気象が変なら人の世も異常だ。世紀の不況が人間をあわてさせ、ミサイルの発射を予告してオドシをかける国まで現れて、不吉な予感が強くなってきた。

特にこの国の政治はどこかおかしい。世界中が大きな転換期に突入しているという現実を実感していない。それにくらべると自然界はまだマシのほうかも知れない。ウグイスの笹鳴きが遠くに聞こえてほほえましい。


09/03/28 Vol. 129



啓蟄

2009-03-11 21:32:09 | Weblog

 

 啓蟄や海にも眠り醒めしもの    稲葉朱灯

今年は3月5日が啓蟄であった。二十四節気の一つで冬眠していたもろもろの生きものが穴を出てくるころとされる。

一般には陸地において自然が移り変わっていく節目の一つとして定められたもので、この日を境に陽気が定まり、いよいよ春になったという実感が整ってくる。

その頃訪れた越前海岸は穏やかに凪いでいて、まさに”水温む”という感じだった。陸に啓蟄があるのなら海にも啓蟄があるのではないか・・と勝手に想像した。


09/03/10  Vol. 128