雛人形

　雛の向きすこし斜めに飾りあり　　　朱灯

女の子のいる家庭では雛人形を飾っているところを見かけることが多い。旧家はともかく普通の家庭では昔と違ってささやかなタイプが主流だという。

雛の季節が終るとようやく野山に草木が目立ちはじめ一気に春が来るが、まだ当分は三寒四温を繰り返す。そして男の子の節句がめぐってくる。

客間ではない居間に簡単な人形を置いただけの飾りだが、そこはかとなく季節を感じさせてくれ、いかにも情緒がある。それもやや斜めに置いてあるのがいい。


08/02/28　　Ｖｏｌ.　99

立 春

　風花に眉美しく濡れて来し　　　　朱灯

このところ北陸は連日、雪の降り癖がついてほとほと困っている。とはいっても積るほどではないので生活に支障はなく、　むしろ楽しんでいるということかも知れない。

ところがたまたま建国記念日は快晴で気温が10度をこえて、まるで３月中旬のような陽気になった。こんなことに嬉しさを感じるのもこの地方に住む者が素朴なせいかも知れない。

さて、わが家はかの白山連邦が一望できる位置にあるが、この日は御前ケ峰や三の峰などとても見事に展望できた。チラチラと風花が舞って、その雪片を眉につけた人が通り過ぎた。


08/02/12　　Ｖｏｌ.　98