白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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石の方向

2017年09月23日 21時25分29秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
数日前、スマホが水没しました。
スマホを取り落とすことは日常茶飯事ですが、とうとう落ちてはいけない所に落ちてしまいました・・・。
元々買い替え予定だったとは言え、データが取り出せなくなるのは痛いですね。
とりあえず新しい機種を購入したので、本日からは普通に連絡が取れます。
最近私にメールなどを送って返事がなかったという方は、お手数ですが再送して頂けると助かります。

さて、本日は石の方向についてのお話です。



1図(テーマ図)
9子局、白△と押した場面です。
次に白Aと2目の頭をハネられるのが怖いので、黒は受けているのが本手です。
しかし、大丈夫と読んだようで手抜きをしました。

さて、それでは次に黒はどこに向かうべきでしょうか?
黒BとCの2択で考えてみてください。





2図(失敗)
実戦は黒1でしたが、これは不正解です。
白2と割られ、左右の黒△が弱い石になってしまいました。
この後は白Aから大きく攻められ、右下隅が白地になるなど、黒は様々な不利益を被ることになりました。





3図(正解)
白△の勢力があり、そこに近付いている黒△は弱い石です。
そこで、両者を握手させる黒1が正解になります。
この手によって黒石全体が強くなり、同時に右下一帯が大きな勢力圏になりました。

さらに、黒1は白全体の出口を塞ぐ攻めの手にもなっているのです。
将来黒Aの切断や、黒B、白A、黒Cと全体を閉じ込める攻めにもつながります。
一石二鳥にも三鳥にもなる好手なのです。


このような2択問題では正解しやすいのですが、実戦ではあらぬ方向に打ってしまう方が多いのです。
石の強弱を第一に考えていれば、むしろ方向を間違える方が難しいぐらいなのですが・・・。

置き碁ではこのような石の方向を問われる場面が毎回現れますし、正解・失敗の差もはっきりしています。
対局を振り返って反省する際は、こういうところを意識すると良いでしょう。