白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

AlphaGo自己対戦 第4局

2017年09月25日 21時49分54秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
三星火災杯は日本勢残念でしたね。
井山九段は中盤で何かポカの類があったでしょうか?
山下九段も序盤で苦しくしてしまった気がしますね。
今回は両者ともに不完全燃焼だったのではないでしょうか。

さて、本日はAlphaGoの自己対戦棋譜をご紹介します。



1図(実戦)
黒1の肩ツキ一本から、黒3と妙な位置に開きました。
そして、白4のカカリに応じず黒の伸び・・・。
正直、何を目指しているのか全く分かりません。
黒1、5の石と3の石の連携も悪いように見えますし・・・。

Master対棋士60番碁では人外の強さを感じましたが、打ち筋は人間なりに推測・理解できるものも多かったのです。
一連の着手にはちゃんとストーリー性を感じました。
しかし、AlphaGo同士の50局には、私には支離滅裂としか思えない打ち筋が多いのです。





2図(変化図1)
例えば同じ肩ツキにしても、後をこのように打ってみましょう。
すると、不完全ながら全体を赤のラインがつながります。
また、将来的に青のラインも引ければ、全体がつながって大模様になるでしょう。
この打ち方は黒が甘いと感じる棋士は多いでしょうが、流れとしては自然です。





3図(変化図2)
右辺を重視するとすれば、このような展開を思い浮かべます。
これも全体のラインがイメージしやすいので、善悪はともかく違和感はありません。
しかし、AlphaGoの打ち方からはこうしたイメージができないのです。





4図(実戦)
しかし、AlphaGoは黒1、3という手を見ており、こうなった時は確かに黒△が丁度良い位置にあります。
こういうところなど、人間があまり重視しない部分で長所のある打ち方なのでしょう。
どうも人間の碁とは全く異質なものを感じますね。

Masterの碁は、上手く吸収できれば棋力アップにつながると思います。
しかし、AlphaGo自己対戦棋譜は劇薬ですね。
うかつに手を出すと自分の碁を破壊しかねないので、取り扱い注意です。