白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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攻めの方向

2017年09月18日 22時08分07秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は中央大学囲碁部時代の後輩の結婚式に出席しました。
幸せな二人を見るのは良いものですね。
こういう時は毎回多くの仲間が集まるので、それも大きな楽しみです。
つい飲み過ぎてしまうのが問題点ですが・・・。

さて、今回のテーマは攻めの方向です。
昨日打った7子局を題材にしてみます。



1図(実戦)
白△と打ち込まれた場面です。
ここでどうすれば良いのか、「やさしく語る 碁の本質」、「やさしく語る 布石の原則」でお伝えした考え方によって判断してみましょう。

まず、白△は弱い石です。
弱い石なので攻めたいところですが、この場合根拠を奪う攻め方の出番ですね。
A周辺とB周辺が候補になりますが・・・。





2図(失敗)
黒1と隅の確保を優先させる方が多いですが、白2と滑られて失敗です。
眼を確保しながら黒陣に入り込まれてしまいますし、右上も後に白Aの嫌がらせに困るケースが多いですね。
もちろん、黒が悪手を打ったとまでは言えませんが、碁が紛れる原因にはなるでしょう。





3図(正解)
打ち込まれた時にまず確認することは石の強弱であり、これは絶対に忘れてはいけません。
しかし、下方の黒は石数が多くて見るからに強いですし、右上黒△の小ゲイマ締まりもしっかりとした構えなので、どちらも問題ありませんね。
となれば、次に確認するべきは勢力圏です。
すると、右上隅は黒の勢力圏ですが、それよりも右下一帯の方が明らかに大きな勢力圏であることが分かります。
という訳で、そちらを大切にする黒1が正解です。





4図(正解・その後)
その後は黒8までの進行が一例です。
右上の黒には不安がありませんし、右下の勢力圏が着々と強化・拡大されていることが感じられるでしょう。

攻める気持ちを持つことは、有段者はもちろんですが級位者にも大切です。
しかし、上手の石をただ闇雲に追いかけて失敗することもありがちですね。
そうならないためには、どう攻めれば得をできるのか、イメージしてから打つことが大切です。