白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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名人戦第2局・封じ手予想

2017年09月12日 20時39分55秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は名人戦第2局が行われています。
詳しい解説は幽玄の間でご覧頂けますが、ここでは私が注目した場面をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
序盤、白△にはビックリ!
これは次に黒Aなら白Bと隅に根拠を得ようという手で、数十年前はよく打たれていました。
しかし、近年では滅多に見かけません。
その理由は、黒AではなくBと抵抗され・・・。





2図(実戦)
このように進むと、隅の黒4子は取れたものの、それ以上に黒の外勢が素晴らしいとみられるからです。
ということで、普通の棋士には1図白△は候補にすら入らないでしょうが、井山挑戦者は違いました。
その理由として、まず白△が絶好のカケになっており、右下黒勢力の働きを制限していることが1つ挙げられます。
もう1つは・・・。





3図(実戦)
シチョウ当たりから左辺を白△まで連打、こちらでも利益が上げられるということがあります。
右下の姿は黒が素晴らしくても、総合すれば白も互角以上に打てるとみているのでしょう。
全局を見て打つことは碁の基本であり、当然棋士は皆心がけています。
しかし、その中でも井山挑戦者のレベルはずば抜けているように感じますね。





4図(実戦)
その後、高尾名人も意外な構想を披露して大きな振り替わりが起こりました。
白は左上一帯に巨大な確定地を、黒は左下から右上にかけて、巨大な黒模様で対抗する流れになっています。
そして、井山挑戦者が白△の切りから黒陣に突入を図った場面で封じ手となりました。

私の封じ手予想は、素直に要石を助ける黒1の引きです。
他にも候補手がありますが、当たる確率は5割ぐらいとみています。

どう打つにせよ、明日は派手な戦いが繰り広げられることは間違いありません。
白が生きるか死ぬかの勝負になってもおかしくないでしょう。
明日もぜひご覧ください!