白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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「やさしく語る 布石の原則」 質問回答その1

2017年09月11日 23時59分59秒 | 著書
皆様こんばんは。
新刊「やさしく語る 布石の原則」は、ありがたいことに売れ行き好調とのことです。
精魂込めて作り上げているだけに、沢山の方にご覧頂けるととても嬉しいですね。

ところで、棋士は何かの折に揮毫、いわゆる言葉付きのサインを求められることがあります。
私は当初は色々な2文字をその場の思い付き? で書いていましたが、ある時期から「創造」という言葉が気に入り、一貫して書き続けています。
まあ、棋士としての座右の銘というところですね。
処女作「やさしく語る 碁の本質」にサインを求められた際にも、当然のごとくこれでした。

しかし、2作目が出ることは想定していなかったので、新刊へのサインには悩みました。
正直、「創造」はむしろ新刊にこそピッタリの言葉のような気も・・・。
かと言って、同じ言葉では両方ご購入頂いた方に申し訳ありません。
色々考えた結果・・・。



こうなりました。
私は基本を大切にした指導を心がけていますし、本の内容ともピッタリではないかと思います。
ただ、字のレベルについてはご容赦ください。
基本的にはいつでもサインしますので、どこかで私を見付けられた際は、遠慮なくお声がけください。

さて、本日は新刊について読者の方から頂いた質問へ解答します。



1図
213ページ7図黒2で、本図黒1はどうかというご質問がありました。
ピッタリの封鎖を避けることができ、確かにこの方が勝ります。
ですが、白4が絶好の曲げで、これも白良しなのです。
黒△が腐っている上に、黒はダメ詰まりで中央進出が非常に不自由です。

本では紙面の関係でカットしましたが、この後の進行も考えてみましょう。
黒Aと飛び出したいのですが、白B、黒C、白Dと切られて困ります。
黒は絞られるか中央が止まってしまうかですが、どちらもいけません。
そこで・・・。





2図
黒1の方に飛ぶのが石の形ですが、今度は白2が手筋となります。
ダメ詰まりの黒は抵抗が難しく、結局白6までと完封されてしまいます。
これも明らかに白良しです。





3図
黒1と空き三角に打てば簡単には封鎖されませんが、こういう情けない手を打たされるようではいけません。
この手に対してあくまで白Aから封鎖を目指す手もありますが、白Bぐらいでも十分でしょう。
白Cの押さえが先手であり、白は左右で十分な姿を得ています。
2子の取り合いは、外側に厚みが向いた白有利なのです。
黒△と1線に石があるのもつらい限りですね。


このような形で、読者の皆様からのご質問にも答えていく予定です。
「碁の本質」の方への質問も受け付けています。