「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

第14回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラスを振り返って(その2)

2018-03-17 10:19:57 | 日記

諸角さんの投稿その2です。

 

昨年12月ヴィオラマスタークラス実行委員会事務局代表の高野るみさんから今年のヴィオラマスタークラスのスケジュール表をメールで頂戴して、ある緊張感を覚えました。最初に高野るみさんからレッスン等を除く特別プログラムや演奏会の日程をまとめた簡潔な1枚ものの全日程表に、1月5日バルトーク勉強会(1)、1月12日バルトーク勉強会(2)とありました。その後レッスン等を含めた詳細なスケジュール表が送られてきで、1月5日Bartok1、Bartok2、1月7日Bartok3、Bartok4、1月10日Bartok5、Bartok6という修正された予定が入っておりました。今井信子さんは、2018年小樽ヴィオラマスタークラスにおいて、バルトーク:44の二重奏曲に対する挑戦をとことんやる積りだなと思いました。何が行わるのかはっきりと頭に描けなったのですが、取りあえず全てをビデオで録画することを決めました。

 

 

 

バルトークというと彼のヴィオラ協奏曲は、ヴィオラ奏者にとって必須というか最も大切な作品の一つです。小樽ヴィオラマスタークラスのレッスンでこの作品に挑戦する受講生は多いです。受講生が先ず最初に弾いた後直ぐに講師の今井信子さんが投げかける質問は、「バルトークがこの作品を書いた時の心境をご存知ですか? 病院で死ぬ間際に、人生よさよなら、お金もなく、子供も傍にいない、いつも故郷ハンガリーに帰りたいそういう気持ちでした。」だから、彼の故郷の民族音楽を理解することは非常に大事なのです。バルトークのヴィオラ協奏曲は、2012第2回東京国際ヴィオラコンクールで本選の課題曲でした。

 

 

 

 2017年9月19日大阪フェニックスホールで開催された「今井信子presents ザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテット ~ヴィオラ・フェスタ~」及び同じプログラムで2017年9月24日紀尾井ホールで開催された「今井信子・夢」シリーズ第5回ヴィオラ・クァルテットにおいて、中国ヴィオラ界のリーダー的存在のニアン・リウ、第1回東京国際ヴィオラコンクール第3位及び聴衆賞受賞者のファイト・ヘルテンシュタイン、第2回東京国際ヴィオラコンクール優勝者のウェンティン・カンと全曲ではありませんがバルトークの44の二重奏曲が披露されました。同年7月28日フェニックスホールPrime Interviewで、今井信子さんは下記のように述べています。

 

 

 

 「この曲は本来、教育を目的に、2本のヴァイオリンのために書かれています。様々な場面でハンガリーの農民が歌う、土着の旋律を基に、ほぼファースト・ポジションで弾けるほど、テクニックは平易。でも、音楽上は、バルトークの真髄と言って良いほど、素晴らしい曲です。実は昨年5月、この曲を集中的に勉強しようと、ウェンティンと2人で、ブダペストへフィールドワークに出かけました。バルトークと私たちの“間にいる”ような存在の地元のヴァイオリニスト、ミハーリ・シポスさんに会い、バルトーク本人が録った農民の歌の録音を聴き、勉強しました。そして、マドリッドに戻り、この6月まで数回に分けて、全44曲にわたって、成果を披露したんです。それがとても刺激的で、今回もぜひ、皆で手分けして弾きたいと…。バルトークによる録音や私たちの話を、

 

 聴衆の皆さんに聴いていただいた上で、演奏したいと考えています。」

 

 (注1):ウェンティン・カンさんは第2回東京国際ヴィオラコンクールの優勝者でマドリッドのソフィア王妃高等音楽院で今井信子さんのアシスタントを務めています。

 

 (注2):伊東信宏(大阪音楽大学教授・音楽学)が「今井信子・夢」シリーズ第5回ヴィオラ・クァルテットのプログラム・ノート「バルトーク:44の二重奏曲より」でバルトークの本作品作曲の経緯を解説しております。伊東教授はバルトーク44の二重奏曲の成立に関する論文を発表されております。

 

 

 

 1月5日、7日及び10日の夜7時45分から約2時間、バルトーク:44の二重奏曲の勉強兼練習が行われました。若い受講生等演奏者は録音された農民の歌う民族音楽を聴いて、全員の合奏と二重奏、時には動きながら相手を替えて二重奏、三重奏、四重奏、及び六重奏の演奏とあわただしい練習風景をひたすら夢中に録画しました。最初はどうなるのかなと思いながら録画しておりましが、前半は今井信子さんとこの作品を演奏したことのあるファイト・ヘルテンシュタインさん(第1回東京国際ヴィオラコンクール第3位及び聴衆賞受賞者)、後半は今井信子さんと一緒にブタペストへフィールドワークに出かけ今井信子さんとこの作品を実際に演奏したウェンティン・カンさん(第2回東京国際ヴィオラコンクール優勝者)の指導を受けて、また小樽ヴィオラマスタークラスの元受講生で現在音楽教育の道を歩んでいる神原玲奈さんのリーダー的な存在もあり、さすが優秀な受講生ですね、最後は素晴らしいアンサンブルとなりました。この挑戦を通して、若い受講生は皆バルトークの作品の真髄を体得したのではないでしょうか。そして音楽を自分の音で演奏するとはどういうことなのか学んだのではないかと思います。

 

 

 

 1月8日小樽市民センター・マリンホールで開催されたニューイヤーコンサートでバルトーク:44の二重奏曲 BB 104 (sz.98) vol1(22曲)、及び1月14日同ホールで開催されたプレファイナルコンサートでバルトーク:44の二重奏曲 BB 104 (sz.98) vol.2(23曲)が披露されました。

 

 (注:)「トランシルヴァニアの踊り」は、ニューイヤーコンサートの最初とプレファイナルコンサートの最後に演奏されました。

 

 

 

バルトーク:44の二重奏曲は、両コンサートにおいて最後に演奏されました。演奏終了後、会場から本当に温かく感動的な拍手がわき上がりました。

 

 

 

 最後に、昨年小樽及び東京で開催された「フォーシーズンズコンサート」のプログラム・ノートを寄稿した河相美帆さんが、今回もプログラム・ノートで作品の解説をされています。その中で「バルトーク《44の二重奏曲》全曲演奏によせて」を読むと、彼女の卓越した洞察力と文学的表現力に感動します。添付資料で彼女の解説をご一読いただきたいと思います。河相美帆さんは2013年から15年までゆらぎの里ヴィオラマスタークラスに受講生として参加しました。現在はフランクフルト音楽大学修士課程に在籍しております。

 

 

 

ついでながら、上野学園石橋メモリアルホールにて開催されるVIOLA SPACE 2018:第4回東京国際ヴィオラコンクールの5月31日ガラ・コンサートⅠ「子供の情景」で演奏される最初の作品が「バルトーク:44の二重奏曲より」です。アントワン・タメスティ、ファイト・ヘルテンシュタイン、原ハーゼルシュタイナー麻理子によって演奏されます。ファイト・ヘルテンシュタインさんと原ハーゼルシュタイナー麻理子さんはゆらぎの里ヴィオラマウタークラスの受講生でした。

 

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