「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

今井先生の傘寿記念演奏会ーその2

2023-08-23 10:46:40 | 日記

今井先生のプロジェクトにずっと関わってこられた諸角憲治さんが

他の掲示板に記念演奏会の模様を投稿されています。

諸角さんのご了解を得ましたので、転載します。

 

「今井信子スペシャル・傘寿記念演奏会」(諸角憲治)

8月18日(金)、サントリーホールで開催された「今井信子スペシャル~傘寿記念演奏会~」は、今井信子さんのお祝いに駆けつけて来られた天皇皇后両陛下と愛子さまご臨席の下、舞台で起こった全ての出来事にただただ感動しました。

先ずは、今井信子さんらしいサプライズがありました。プログラム最初の曲、タバコヴァ:古い様式による組曲をNobuko Imai Special オーケストラが演奏を開始すると、舞台向かって左奥で今井さんが大太鼓をドンドンとたたいている姿を拝見してびっくり。会場内の通路を山田和樹さんが黒い覆面をかぶってチンチン音を鳴らして歩き回っている。今井信子さんが、ヴィオラを弾きながら舞台中央に登場というサプライズで開演しました。

80歳になられても、まだまだ今井さんらしい新しいあるいは挑戦的なアイデアに頷きました。武満徹が今井さんの為に作曲されたフランス革命200周年記念行事の「A String Around Autumn」、及び「鳥が道に降りてきた」に敬意を表して、武満徹というと歌曲作品も素晴らしいのですが、今回は敢えてそのような歌曲作品を、山田和樹のピアノ伴奏で演奏するという趣向で今井さんのヴィオラの音を聴衆はじっくりと楽しむことができました。プログラム後半最初の作品リダウト:「はなのすきなうし」は、今井純子さんの素敵な朗読で、幸せな何かが感じられるストーリーに合わせて、その幸せを我々に届けてくれるヴィオラの響き、時には今井さんのユーモア溢れるヴィオラの演奏に、会場内は魅了されました。お二人の和気あいあいの素敵な舞台でした。

ヒンデミットヴィオラ・ソナタOp.11-4は美しい旋律でヴィオラの名曲ですが、これはもう長年の盟友伊藤恵さんのピアノで極めて感動的な演奏でした。ヒンデミットのヴィオラ:ソナタの音楽が荘厳な光で輝いておりました。

何と言っても、プログラム前半最後のブランデンブルク協奏曲第3番第1楽章(小早川麻美子)は、感動的で胸が熱くなりました。小樽ヴィオラマスタークラス実行委員会代表だった高野るみさんが国内外の受講生に声をかけて23名(今井さんを加えて24名)のヴィオリスト及び3名のチェリスト(今や世界の偉大なチェリストの一人宮田大も参加していたのです)が集結して、素晴らしい演奏を披露しました。演奏者の皆さん、今井信子さんや小樽の仲間に再開して感激したようです。

最後の作品モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲ホ長調K.364で、出だし突然Nobuko Imai Special オーケストラが、山田和樹指揮でHappy Birthday To Youを演奏して、80歳を迎えた今井信子さんを祝福して、共演のヴァイオリンソリストの竹内鴻史郎さんから花束が贈呈されました。これは、素晴らしいサプライズでしたね。18歳の竹内鴻史郎さんとの共演、オーデションで選ばれた若い演奏者からなるNobuko Imai Special オーケストラの創設は、長い間若い演奏者の育成に尽された今井さんならではの構想だと感服しました。

気が付いてみたらなんと3時間と時の経つのを忘れる程の充実感

溢れるプログラムでした。

これからも健康だけには特別に留意されて、益々ご活躍されることを祈念して今井信子さんに心から乾杯!!

 

諸角憲治さんが当日配布されたパンフレットに「今井信子さんとの

20年間」を寄稿されていますので、紹介します。

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今井先生の傘寿記念演奏会を聴いて

2023-08-20 11:54:14 | 日記

  2023年8月18日、今井先生の傘寿記念演奏会がありました。当日も暑く夕方になっても気温は下がりません。7時からの演奏会に6時半頃にサントリーホールに着きましたが、入口付近は入場者でごった返していました。

  今回は舞台袖の二階席からの観覧でした。定刻7時過ぎに天皇陛下がお見えになりました。皇太子時代から何回かお見えになっていますが、今回は、皇后陛下、愛子様もご一緒です。3時間近くのステージを最後まで鑑賞され、最後は盛大な拍手を送っておられました。

  曲目は、初めて聞く曲や義理の娘さんの朗読など珍しい演出でとてバラエティーに富んでいました。

  小樽ヴィオラマスタークラス参加メンバーとのブランデンブルク協奏曲は、小樽での演奏を思い出しながら聴いていました。演奏会二日前のリハーサルも覗かせて頂きました。この日は、皆さんとても楽しそうに、懐かしそうに演奏していてとても良いお顔をしていました。

  圧巻は、この日のために結成された、モーツアルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」でした。最年少はコントラバスの9歳の男性奏者です。子供用の楽器を大人に混じって一生懸命弾いているのがとても印象的でした。何十年後かには世界を牽引する奏者になっているかもしれません。

  メンバーはオーディションで選ばれた30代までの気鋭の奏者ばかりです。今井先生の「共に音楽をする喜び」そして「音楽への憧れ」に共感しての参加です。真剣に演奏に取り組む姿勢が伝わってきて感激しました。

  舞台袖の二階席は、大編成の演奏品目では若干音のバランスが悪いのですが、指揮者の山田和樹氏の指揮ぶりや奏者の表情も良く拝見でき、もなかなか良かったです。

  この日のどの演奏品目も今井先生の暖かいお人柄が出ており、とても癒された3時間でした。この貴重な時間を天皇ご一家と共有できたのも至上の喜びと勝手に思っております。(座席は、天皇ご一家とステージを挟んで反対側の位置でした。)

  義理の娘さんの朗読による「はなのすきなうし」は、今井先生の優しい伴奏と娘さんの朗読がとても良くマッチしていて家族愛を感じました。また、音楽の素晴らしさに加えて、「図体は大きいが花の香りが好きな牛が闘牛場に連れていかれて闘牛士たちの挑発を受けても戦うことをせず、牧場に返されて花を愛して幸せに余生を送る」というストーリーが、「この世から戦争を無くして欲しい」という強烈なメッセージに聞こえ、露ウ戦争の早期終結を祈りながら聴いていました。

 

天皇ご一家(読売新聞オンラインから)

今井先生のご挨拶(当日配布されたパンフレットから)

今井先生画像集(当日配布されたパンフレットから)

 

 

 

 

 

 

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今井信子先生のスペシャル傘寿記念演奏会

2023-08-18 11:08:42 | 日記

本日(8月18日(金)19時から)サントリーホールで傘寿記念演奏会が開催されます。

雑誌「ぶらあぼ」にインタビュー記事が載っていますので、紹介します。

INTERVIEW 今井信子(ヴィオラ)

  •  投稿日2023年7月28日

音楽の楽しさをみんなで感じてほしい

 今年傘寿を迎えたヴィオラの今井信子。言うまでもなく世界に誇る真の巨匠である。世界中の尊敬を集める彼女の80歳を祝う記念公演は、3月にアムステルダムでも開かれ、海外で活躍中の仲間や弟子たちが馳せ参じている。8月18日には東京で記念演奏会が開催されるが、今井はこのステージを心から楽しみにしている。

「70歳のときはスタンダードでまじめなレパートリーを選びましたが、80歳になると何か気分が違ってきて、楽しい音楽会にしたい! と考えるようになりました(笑)。ヴィオラで何ができるかを示すというより、若い人たちとみんなで一緒に音楽を楽しみたい、誰でもわかるような肩がこらない音楽会にしたい。私のやりたいことをやらせていただく、ちょっと勝手で贅沢なプログラムになりました(笑)」

Nobuko Imai(c)Marco Borggreve

 演目は“勝手”どころか、バラエティに富んで贅沢な、誰もが楽しめてヴィオラの魅力も多面的に伝わる、すてきな曲目が並ぶ。1曲目がドブリンカ・タバコヴァの「古い様式による組曲」(2006)で始まるのも意表を突く。

「最初のタバコヴァの作品は、ちょっと変わっていて可笑しくて楽しくて。ヴィオラは楽器も奏者もまじめで目立たない、という印象があるかもしれませんが、ワッと驚くようなことができればと思います(笑)。意外な始まり方から笑って楽しんでいただければ」

 次の部はヒンデミットのヴィオラ・ソナタ op.11-4、リダウトの「はなのすきなうし」、武満徹の「Songs」、J.S.バッハのブランデンブルク協奏曲第3番。共演者も各曲違う奏者やグループで、今井が人生で深く関わってきた人々と、いま聴かせたい曲目が並んでいる。

「固いイメージのあるヒンデミットですが、このソナタは一番聴きやすい曲だと思います。ヒンデミットにこんな曲があるとは! というくらい、ヴィオラの音の美しさとロマンティックな良さがよく出ています。ピアノは伊藤恵さん。本当に一緒に音楽をやってきてよかったなと思える方で、心許せる相手です。

伊藤恵 (c)武藤章

 リダウト『はなのすきなうし』は、私の弟子のティモシー・リダウトさんの親戚にあたる方の作品で、これもどなたにも楽しんでいただける曲だと思います。朗読は今井純子さん。実は義理の娘なんです(笑)。この曲自体、こどもや孫にお話をきかせるような作品なので、ぜひ家族とやりたいと思い、彼女にお願いしました。共演をお願いしたら最初は驚いていましたが(笑)、引き受けてくれました。家族で演奏できるのがうれしいです。

 次は武満徹さんの歌の曲を、山田和樹さんのピアノとともに弾きます。武満さんは複雑な内容の素晴らしい曲もたくさんありますが、今回はもっと親しめてみんなが口ずさめる、家族で歌えるような曲がいいなと思って。山田さんも私と同様に、自分の思ったことを正直にやりたいタイプ。やはり心許せて一緒に弾きたいと思える方です。

山田和樹 (c)Suzanna Specjal

 ブランデンブルク協奏曲第3番は、小早川麻美子さんの編曲で、2004年から15年間行った『小樽 ヴィオラマスタークラス』出身者との共演です。ヴァイオリンパートもヴィオラが受け持ち、ヴィオラだけで計6パート、4人ずつで24人になります。小樽では町の方々が手厚くサポートしてくださって、夜中までみんなで弾いたり、自由な雰囲気で音楽会をやっていました。雪の中というのがすごく新鮮で、別天地というか、そこに集まった仲間には特別な思いがあって、今回は同窓会のようです」

 演奏会最後のモーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」のソリストは今井とヴァイオリンの竹内鴻史郎。この曲と冒頭のタバコヴァ作品は、山田の指揮と今回のためにオーディションで選抜した奏者によるスペシャルオーケストラとの共演。多くの若手との舞台になる。

竹内鴻史郎

「私はやっぱり若い人と弾きたくて。竹内さんは原田幸一郎さんが紹介してくださいました。まだ高校生ですが、共演者として素晴らしい方です。オーケストラのオーディションには色々な方がいらっしゃいました。時間をかけてお話をきいて、感覚的に何かいいなと思った人を山田さんと選びました。音楽は経歴で作るものではありません。その場で皆で感じて、分かち合うことが大事。若い人も一人ひとり同等です。音楽の楽しさをみんなで感じてほしい、彼らの人生に何かプラスになれば、という精神でやっています」

(c)Marco Borggreve

 今井は全曲出演し、自ら意欲的にステージを作り上げる。そのモチベーションはとにかく「楽しさ」。自分のことはもはや二の次、「みんなで楽しむ」ことを繰り返す。

「ヴィオラの深くて美しい曲はたくさんありますが、そういう曲は皆さん知っているでしょうし、こんな曲があってこういうこともできる、何か新しいことをやりたい、というのが今回の出発点になりました。皆さんに助けられてここまで来て、スペシャルな音楽会ができるだけでも私はすごく幸せですし、お世話になった方々へのお礼の気持ちも込めて、とにかくみんなで楽しめる演奏会にしたいと思っています」

 このインタビューでの今井は、実際は「(笑)」を半分以上のコメントに付ける必要があるほど、明るく和やかな語り口で、巨匠然としたところが一切ない。これも人との関わりが魅力である、ヴィオラという楽器が生み出す特性なのかもしれない。

(c)Marco Borggreve

 今井が2007年に出版した著書『憧れ』には「次の世代を育てることは、ヴィオラ奏者としての務めだと思っている」と記されている。自らが1992年に開設した「ヴィオラスペース」では「マスタークラス」で後進を指導し、「東京国際ヴィオラコンクール」も実現した。今回の記念公演の若手起用も次世代への思いの表れだろうが、彼女は「育てるというよりも、私自身が型にはまりたくないので、いつも新鮮なことを探しているということです」とやはり自らのこととして語る。

 今井は6月の「ヴィオラスペース」で、若手四重奏団の第一線を走るレグルス・クァルテットと共演し、モーツァルト弦楽五重奏曲第3番の緩徐楽章の第1ヴィオラを担当。もとよりソロの多いパートだが、「これが伝説的名奏というものか…」と本能に訴える圧倒的な音楽を実現、ワンフレーズごとに聴衆が呆然と呑まれていった(会場にいた方には大げさな賞賛ではないと同意してもらえるはず)。世界的レジェンドの何たるかを思い知らされたのである。そのときのことを尋ねると「ちょっと仕掛けてみたら、すぐに応えてくれたので、またもっとやってみたわけです(笑)。レグルスの皆さんの感性がすばらしかったので、お互い様ですよ」と事も無げに笑う。期待の若手音楽家と“その場で感じて分かち合う”ことができたときに巨匠がみせる至芸、今こそ体験するべきときだ。

取材・文:林昌英

Information
今井信子スペシャル ~傘寿記念演奏会~
2023.8/18
(金)1900 サントリーホール

出演
今井信子(ヴィオラ)
山田和樹(指揮・ピアノ)
伊藤恵(ピアノ)
竹内鴻史郎(ヴァイオリン)
今井純子(朗読)
小樽 ヴィオラマスタークラス Alumni
Nobuko Imai Special オーケストラ

曲目
ドブリンカ・タバコヴァ:古い様式による組曲(2006)
ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ op.11-4
リダウト:はなのすきなうし
武満徹(森山智宏編):Songs「さようなら」、「恋のかくれんぼ」、「めぐり逢い」
J.S.バッハ(小早川麻美子編):ブランデンブルク協奏曲第3番 BWV1048
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364

 

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「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内

「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内   ―小樽ゆらぎの里での今井信子さんの音楽活動を応援する会の発足― 2014年6月23日   私たちが敬愛する今井信子さんが小樽「ゆらぎの里」朝里川温泉で始めたヴィオラマスターコースは、今年の正月で10周年を迎えました。此の間多くの教え子がここから育ち、年々今井先生に憧れ慕う俊秀のアーティストも多くこの地を訪れるようになり、先生を囲み、手伝い、研鑽し、コラボレートする世界にも類のない活動の拠点として高まっています。 この度、私たちは、今井信子さんのライフワークの一つでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、それぞれの立場でできる支援を行うとともに、それぞれのネットワークを通してこの活動を知ってもらい、多くのクラシックファンに珠玉のコンサートに触れていただくお手伝いをしようと、「天道虫の会」を立ち上げました。 皆さまには、「天道虫の会」の活動にご理解いただき、それぞれにできるご支援・ご協力いただければ幸いです。この会へ参加いただける方は発起人までご連絡ください。会員には、会のシンボルとなる竹製てんとう虫のバッチをお渡しします。 発起人メンバー 高野るみ、諸角憲治、砂岡茂明、樋口義洋、青木真也、須藤正實 <天道虫の会の由来>  天道虫は、太陽=天道(今井信子さん)に向かって飛ぶ習性があるという由来から名付けました <ホームページ> http://blog.goo.ne.jp/igainet  会の活動、小樽での音楽活動、今井さんの演奏活動など適宜掲載します。