「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

ヴィオラスペース2024

2024-06-08 11:46:19 | 日記

ヴィオラスペースでお馴染みの諸角憲治さんが、他のサイトに紀尾井ホールの模様を詳細にレポートされていますので、諸角さんのご了解を得てこのブログに掲載させて戴きます。(「ヴィオラスペース2024雑感」と題し2回に分けての投稿です。)

【「ヴィオラスペース2024雑感 その1」】

 今年のヴィオラスペース2024は、昨年までの10年間ヴィオラスペースの魅力を大いに進化、発展させたアントワン・タメスティ氏を引き継いで、佐々木亮氏がプログラミング ディレクターとしてヴィオラスペース2024「The American Dream(アメリカン・ドリーム)」を立ち上げました。1992年に今井信子さんが提唱されてスタートしたヴィオラスの祭典、ヴィオラスペースも今年32年目を迎えたこのタイミングで、佐々木亮氏による新たな展開を予感させるヴィオラスペースになったようで大変嬉しく思います。

 佐々木亮氏は、2008年からNHK交響楽団の首席ヴィオラ奏者を務められ、ヴィオラスペースにおいても、主力演奏者の一人としてヴィオラスペースの発展に大いに貢献されました。彼は、プログラムノートで、「アメリカで過ごした11年間は、自分の音楽家としての人生を決めた重要な時代です。最も大きな出来事は、ヴィオラと出会い、これは自分が一生弾いていく楽器だなと感じた」と述べています。紀尾井ホールで開催されたヴィオラスペース2024「The American Dream(アメリカン・ドリーム)」東京公演:5月28日コンサートⅠ「アメリカで生まれ音楽」及び29日コンサートⅡ「プリムローズ生誕120年記念」は、アメリカでの音楽生活の豊富な体験をベースにした、彼のそのような思いが込められた大変味わい深いプログラムゆえに、私にとって改めヴィオラの色々な音色に魅了される大変貴重な機会となりました。

 今年はプレコンサートで、若い演奏者、クァルテット・フェリーチェ(ヴァイオリン:五月女恵、清水耀平、ヴィオラ:川邉宗一郎、チェロ:蕨野真美)が、活躍の場をもとめて渡米したヨーロッパの偉大な音楽家の代表的存在であろうドヴォルザークのアンサンブルの作品の爽やかな演奏を披露しました:28日ドヴォルザーク:弦楽五重奏曲第3番第1楽章(佐々木亮、クァルテッド・フェリーチェ)及び29日ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲「アメリカ」(クァルテット・フェリーチェ)。クァルテット・フェリーチェは、昨年テレビマンユニオン制作の若いクァルテットの発掘と育成を目的とした「プロジェクトQ・第24章若いクァルテットシューベルトに挑戦する」に参加した弦楽四重奏団です。

 さて、28日開演に先立ち、今井信子さんにより昨年逝去された作曲家西村朗氏を追悼する「ヴィオラ独奏のための「鳥の歌」による幻想曲」が演奏されました。西村朗氏は、ヴィオラスペース委嘱作品などたくさんのヴィオラ作品を作曲され、東京国際ヴィオラコンクールの審査員を務めるなど長年ヴィオラスぺースに言葉に尽くせぬ貢献をされました。



 28日コンサートⅠ「アメリカで生まれ音楽」として、現代アメリカの作曲家、ポール・チハラとジョン・ハービソンの作品が紹介されました。プログラム前半、最初のチハラ:「4つのヴィオラのためのコンチェルト・ピッコロ」(鈴木学、鈴木康浩、佐々木亮、柳瀬省太)は、第4楽章で、山田耕作の「赤とんぼ」のメロディーが印象的でした。彼は幼少期日系アメリカ人収容所にいたことがあるそうです。

 バービソンのヴィオラ協奏曲(日本初演)は、後半のプログラム最後の作品で、佐々木亮ヴィオラ、山下一史指揮、桐朋学園オーケストラによるスケールの大きいコンチェルトだっったとおもいます。また、第5回東京国際ヴィオラコンクール第3位受賞のサオ・スレーズ・ラリヴィエールによる前半3曲目、アメリカの作曲家エリオット・カーター:「ヴィオラのためのフィグエントⅣ」は、彼らしい圧巻の演奏でした。

 一方、ヨーロッパからアメリカに渡って名曲を残した作曲家の作品を紹介するという構想も素晴らしかったです。前半2曲目ブロッホ:ヘブライ組曲は、村上淳一郎(ヴィオラ)、有吉亮治(ピアノ)によるデュオ演奏で、この作品の魅力を楽しみました。

 前半4曲目ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品96「新世界より」第2楽章(佐々木絵里編曲)は、柳瀬省太、佐々木亮、鈴木康浩、鈴木学による美しくも深い絶妙のハーモニーに感動させられました。

 前半最後は、第5回東京国際ヴィオラコンクール優勝者、ハヤン・パクが、ヴュータン:アメリカの思い出「ヤンキードゥートゥル」作品17で、コンクール優勝後益々飛躍的に成長した彼女の演奏に、大いに納得いたしました。

 プログラム後半最初の作品は、今井信子によるマルティヌー:ラプソディーコンチェルト。81歳でも未だ変わらぬ堂々とした緊張感溢れる演奏に感動しました。

 

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