「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス2019(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る -その6 最終回(諸角憲治)

2019-03-21 15:53:10 | 日記

諸角さんの「ヴィオラマスターズクラス2019」の詳細なレポートは、今回が最終回です。

諸角さんありがとうございました。

今井信子小樽ヴィオラマスタークラウスに学んだたくさんの優秀な若手ヴィオラ奏者の成長は、最近富に顕著です。2018年、ヘス・イ Hae-sue Lee (韓国、2017年~2019年)が2018年プリムローズ国際ヴィオラコンクールで1位並びに聴衆賞を受賞しました。同じく2018年、セジュン・キムSejune Kim(韓国、2010年~2011年)及びジユ・シェン Ziyu Shen(中国、2015年~2017年、2019年)が共に2018年東京国際ヴィオラコンクール第2位を受賞しました。 

 私は、小樽ヴィオラマスタークラスから生まれた驚くべき成長のサプライズは受講生だけではないことにふと気がつきました。高野るみさんのサプライズは、今井信子ファン、ヴィオラファンという一介の主婦が、小樽ヴィオラマスタークラス実行委員会代表として、今や音楽事務所を独りで運営できる程の凄腕の女社長になったと言っても過言ではありません。先般北海道新聞「ひと」の欄で「世界的ビオラ奏者の講習会を毎年開催」という見出しで紹介された高野るみさんは次のようにに語っています。「今井信子さんと交流を深める中で信頼され、自然豊かな小樽で若手を育てたいと講習会の開催を打診されると、二つ返事で引き受けた。協賛金集めや日程調整、バスの手配、決算など運営をほぼ1人で担い、今年も講習会の合間に開く音楽界の準備など裏方作業に追われている。講習会の開催前は、海外の受講生と英語のメールでやりとりし、楽譜をネット経由で送る。15年前は英語もパソコンも初心者だったが、今井さんは絶対にできないと言わない人。つられて成長してきた。」 

もう一つの小樽ヴィオラマスタークラスから生まれた驚くべき成長のサプライズは、小早川麻美子さんです。ヴィオラ奏者にとって、演奏する作品の数が少ないというのは大問題です。今井信子さんは若手ヴィオリストの育成に加えてヴィオラ作品の発掘に取り組まれています。今井信子さんの依頼で、ヴィオラ奏者であり編曲者の小早川麻美子さんは、小樽ヴィオラマスタークラス2013年にスメタナ:交響詩「わが祖国」からモルダウ(ヴィオラ四重奏版)やマスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から間奏曲(ヴィオラ四重奏版)等を編曲、その後モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K364(弦楽四重奏曲版)の編曲を手掛け、最近はプロフィールにあるように、ヴィオラスペース2015にバッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番 ヴィオラ合奏版(小樽ヴィオラマスタークラスによる委嘱作品)を寄稿、その模様がNHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」でも紹介され、待望のヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」(ヴィオラ合奏版)全曲の世界初演が、小樽ヴィオラマスタークラス2016及び小樽ヴィオラマスタークラスin台湾2016にて行われました。今年最後の小樽ヴィオラマスタークラス2019では、モーツァルトの最高傑作のオペラの一つ「ドン・ジョヴァンニ」をヴィオラを中心とする器楽アンサンブルに編曲という偉業を達成しました。

  「小樽ヴィオラマスタークラス2019」を振り返って、最後に心に残ったことを付け加えたいと思います。 

 (1) 百戦錬磨のピアニスト草冬香は凄い。

 数年前ヴィオリストの大島亮さんが、若いピアニストが初めて小樽ヴィオラマスタークラスのピアノ伴奏者として参加した際に、彼等にどのようにピアノ伴奏をするか百戦錬磨の草さんから学んだら良いと言っていたのを聞いた時から、百戦錬磨の草さんという表現が私の頭の中に定着しています。それはさておき、草冬香さんが、インフルエンザに罹ってしまい大変なことになりました。彼女は、10日に小樽ヴィオラマスタークラスを支援してくださった地元の小樽・朝里まちづくりの会の皆様のために感謝を込めて開催される朝里クラッセサロンコンサートで、ヴィオラ・アシスタントのファイト・ヘルテンシュタインさん(ドイツ・デトモルト大学教授)、東京フィルハモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者須田祥子さん及び札幌交響楽団首席ヴィオラ奏者廣狩亮さんのピアノ伴奏という大きな仕事が待っていたのです。この大役はやらねばと覚悟を決めた草冬香さんは、マスクをしてこの大役を完璧に乗り切ったのです。その迫力には、さすがのインフルエンザウィルスも退散したようです。恐るべし、百戦錬磨のピアニスト草冬香!

 

 (2) ザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテット登場

 2017年に今井信子さんがヴィオラだけのクァルテット、「ザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテット」を結成。メンバーは、東京国際ヴィオラコンクールの入賞者ファイト・ヘルテンシュタイン(2009年第1回第3位、大衆賞)とウェンティン・カン(2012年第2回第1位)、そして上海音楽院教授のニアン・リウという次世代を担うヴィオリストたち。新しい夢、より高い目標に向かってやり遂げる覚悟を決めて躊躇なく行動する今井信子さんの新しい挑戦が始まった。新たに若いヴィオラ奏者の育成、ヴィオラ作品の発掘に取り組むのであろう。小樽ヴィオラマスタークラス2019では、下記のコンサートで緊張感溢れる演奏を披露しました。

 ・1月11日スペシャルブーケコンサート

 ラヴェル:ソナチネ第2楽章及びシューベルト:君はわが想い

 ・12日ニューイヤーコンサート in 札幌

ピアソラ:リベルタンゴ/オブリビオン/フーガとミステリオ(三浦一馬編)

バンドネオン奏者三浦一馬と共演

・13日「小樽ゆき物語/ランチタイムコンサート 台湾の仲間たちを迎えて~」杉山洋一:ヴィオラ四重奏のための「子供の情景」より 

(3) バルトークのヴィオラ協奏曲が今後のどのような道をだどるか憂う

1月5日山本一輝君のレッスンの作品はバルトークのヴィオラ協奏曲でした。彼が弾き終わった後に、このことを言うべきかどうかと前置きして、ヴィオリストにとって必須の曲であるバルトークの協奏曲は旧版あり、新版あり、混ぜて弾く生徒おり、自分流の版を出す者もあり、そうなるバルトークのヴィオラ協奏曲は危険だから弾かないということになりかねない、バルトークのヴィオラ協奏曲が生き残るかどうかヴィオリストにとって大変な現状を語った。彼のような若い演奏家にこの問題をしっかり受け継いで欲しい、この問題に共に向き合いたいという思いを語られたようだ。その後そのような問題意識で彼女の彼に対するレッスンは進行した。今井信子さんは、この問題を2007年に春秋社から出版された(2013年増補版出版)「今井信子 憧れ ヴィオラとともに」の第8章「ヴィオラという楽器」の中のバルトークのヴィオラ協奏曲のところで議論されている。 

 今年の小樽ヴィオラマスタークラスを振り返ると、最後ということで本当に感動の連続でしたが一方ハラハラドキドキの連続でもありました。“No Risk, No Glory”、すなわち決めた大きな夢に向かって躊躇することなくやり切る覚悟で突き進むとはこういうことなのでしょう。 

そして今井信子さんは次の夢、より高い目標に向かって新し挑戦を始めているような気がします。決めたらやり遂げる覚悟はできていることでしょう。

 

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第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス2019(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る -その5(諸角憲治)

2019-03-18 10:10:58 | 日記

第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る-その1- の投稿で、「最後の小樽ヴィオラマスタークラスは、昨年までの成功に満足することなく、次なる夢、より高い目標に挑戦する今井信子さんのエネルギーは増すばかりで、とてつもない内容の企画となりました。」と書いたが、そのとてつもない内容とは、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」をヴィオラを中心とした器楽アンサンブルとマイムパフォーマンスで表現しようという企画、いわゆるグランドフィナーレ「ドン・ジョヴァンニ」のことです。「ドン・ジョヴァンニ」はモーツァルトのオペラブッファの最高傑作のひとつで、プラハで大ヒットした「フィガロの結婚」の後、プラハのエステート劇場の依頼を受けて「フィガロの結婚」同様ダ・ポンテの台本で作曲され、1787年モーツァルトの指揮で初演されました。

 当日私はビデオカメラでゲネプロと本番を収録しました。舞台中央で演奏する演奏家が場面が変わるごとに入れ替る。舞台後方に自分の出番を待つ演奏家が椅子に座って待機する。場面によって、舞台の左右に演奏家が登場して演奏する。舞台では2人のマイムパフォーマーすなわち男性パフォーマー(ドン・ジョヴァンニ)と女性パフォーマー(ドンナ・エルヴィーラ、ツェルリーナ、ドンナ・アンナ、)が舞台ところ狭しと動きまわり、オペラのストーリーを表現します。

 今井信子さんは、小樽ヴィオラマスタークラスで、歌曲の最高傑作と言われるシューベルトの歌曲集「冬の旅」ヴィオラによる全曲演奏(声楽同様ピアノ伴奏で詩の朗読付き)、バロック・スペシャリスト大槻晃士のバッハ塾開講(5年目となる今年も2回のバッハ塾が開かれました)、バルトークの民族音楽(44の二重奏曲)、ヴィヴァルディとピアソラのフォーシーズンズコンサート等に挑戦してやり遂げてきましたが、いよいよ最後はオペラというとてつもない高い目標というかなかなか思いつかないというか、思いついてもしり込みしてしまいそうな目標に照準をあてました。その結果小早川麻美子さんの編曲によるヴィオラを中心とする器楽アンサンブルとマイムパフォ-マンスとなったようです。この1年間の編曲作業で、小早川麻美子さんの目はほとんど潰れかけたに違いないと思います。編曲が完成したのが1月に入ってからで、その後も直し入れたというから、演奏家も14日の本番まで大変だったことであろう。今井信子さんと協議しながら企画・運営に奔走する小樽ヴィオラマスタークラス実行委員会代表高野るみさんが「もうこれ以上無理よ!」と弱音をはいたこともあったとか。しかしながら、決めたら躊躇することなくやりき切る覚悟の今井信子さんのわいわいがやがやお祭り騒ぎに載せられて全員動き出して、結局14日小樽市民センター・マリンホールで開催されたグランドフィナーレ「ドン・ジョヴァンニ」は会場の聴衆の熱狂的な拍手を浴びて無事終了しました。

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第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス2019(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る -その4(諸角憲治)

2019-03-14 17:19:46 | 日記

小樽・朝里クラッセホテル2階ナパイアにて2つのコンサートが開催されました。ひとつは10日朝里クラッセ・サロンコンサートで、会場には長い間小樽ヴィオラマスタークラスを支援された地元の「小樽・朝里まちづくりの会」の方々が多勢つめかけました。このコンサートの目的は、今まで心温まる支援してくださった地元の「小樽・朝里のまちづくりの会」の皆様に、今まで受講生として小樽ヴィオラマスタークラスに参加し、現在下記のように活躍されている演奏家の演奏を披露させていただくことだと思われます。受講生の感動的な演奏に、会場を埋め尽くした地元朝里街づくりの会の方々が皆熱い拍手をおくっていました。地元小樽・朝里まちづくりの会の皆様の思い出に残る大変素晴らしいコンサートだったと思惟ます。

 米国に拠点を置く小笹文音さんは、2017年の受講生で同年第9回大阪国際室内楽コンクールで優勝、2019年第61回グラミー賞最優秀室内楽演奏部門にノミネートされたアイズリクァルテットのヴィオラ奏者です。河相美帆さんは2013年から2015年に受講生として参加、現在フランクフルト音楽大学修士課程に在籍し、2017年から2019年まで小樽ヴィオラマスタークラスの演奏会プログラムの作品を紹介をするプログラムノートを執筆されました。ファイト・ヘルテンシュタインさんは2015年~2019年受講生・ヴィオラ・アシスタントとして参加、第1回東京国際コンクール第3位入賞及び大衆賞を受賞、現在ドイツ・デトモルト音楽大学教授です。牧野葵美さんは2009年に初めて受講生として参加し、現在イギリスのBBCフィルハーモニックのヴィオラ副首席奏者で、2010年第2回東京国際ヴィオラコンクールで日本人初の第3位入賞者です。東京フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者須田祥子さん及び札幌交響楽団首席ヴィオラ奏者廣狩亮さんは共に2004年第1回受講生です。

 翌11日スペシャルブーケコンサートは、小樽ヴィオラマスタークラスに参加した演奏家の方々の演奏を披露して、地元の皆様に気軽に楽しんでいただこうという無料コンサートです。無料ですが、プログラムはザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテット(今井信子、ウェンティン・カン、ファイト・ヘルテンシュタイン及びニアン・リウ)によるラヴェル:ソナチネ第2楽章及びシューベルト:君はわが想いの演奏でスタートし、ヴィオラ受講生経験者で新日本フィルハーモニー交響楽団の首席奏者井上典子(2013年~14年、2018年)及びフィンランド交響楽団に在籍する杉田恵理(2008年)がソロ演奏を披露、加えて現在活躍されている小樽ヴィオラマスタークラスのゲストヴァイオリン奏者後藤和子さん及び島田真千子さん、チェロ奏者奥泉貴圭さんによるアンサンブルの熱演という、何とも豪華なコンサートでした。

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第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス2019(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る -その3(諸角憲治)

2019-03-09 14:10:35 | 日記

1月6日小樽市民センターマリンホールで開催されたニューイヤーコンサーにおいて、若い受講生の演奏は, 新春にふさわしい昇り竜のような勢いがあって感動しました。当日のプログラムの最初に登場したイギリスからの受講生ティモシー リダウトのシューマン:詩人の恋 作品48の演奏には本当に魅了されました。彼の演奏終了後の会場は感激の拍手が鳴り止まない程でした。

プログラムは別紙の通りですが、4人の若い受講生が入れ替わりで5つのデュオを演奏するショスタコヴィチ:5つの小品(小早川麻美子編)や、8人の若い受講生によるプログラム最後のピアソラ:タンゴの歴史より売春宿1900、カフェ1930/エスクアロ(小早川麻美子編)の躍動感豊かな演奏に会場から惜しみない拍手がおくられました。一方若い受講生とアシシタント及びゲストヴィオリストによるアンサンブル、ノックス:スペインのフォリアに基づくマラン・マレ変奏曲は味わい深い、好感の持てる演奏でした。 

 最後まで、今までにない新しい企画に挑戦する意欲が衰えない今井信子さんは、小樽ヴィオラマスタークラスのニューイヤーコンサートを小樽市民センター・マリンホールだけでなく、1月12日に初めて札幌コンサートホール・キタラ(小ホール)で開催しました。

 前半は下記のように様々な形のアンサンブル演奏の競演で聴衆を魅了しました。

・J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番ト長調BWV1048(小早川麻美子編)・・・バッハ博士こと大槻晃士(指揮・ヴィオラ・ダ・スパッラ)、奥泉貴圭(ゲストチェリスト)と若いヴィオラ受講生・聴講生の熱演

・マオー:シンフォニアハ短調作品2-4(大槻晃士編)・・・若いヴィオラ受講生とゲストヴァイオリニスト、ゲストチェリストの競演

・クルークハルト:葦の歌 作品28より第1曲、第2曲、第5曲・・・今井信子と島田真千子(ゲストヴァイオリニスト)&草冬香(ピアニスト)の濃密なアンサンブル

R.シュトラウス:四つの歌より 明日へ!(ポール・ウィアンコ編)及びピアソラ:ブエノスアイレスの春(小早川麻美子編)・・・歴代ヴィオラ受講生(2004年~2018年)と草冬香(ミアニスト)、ポール・ウィアンコ(チェリスト)の熱演

ピアソアラ:リベルタンゴ/オブリビオン/フーガトミステリオ(三浦一馬編):今井信子の新しい挑戦として2017年に結成されたザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテット(今井信子、ウェンティン・カン、ファイト・ヘルテンシュタイン及びニアン・リウ)&バンドネオン奏者三浦一馬の圧巻的な演奏

 後半は、今井信子、ヴィオラ受講生、ヴィオラ・アシスタント、ヴィオラ・ゲスト、ゲスト・チェリスト、専属ピアニストに、アシスタント・ピアニスト及び編曲者でヴィオリストの小早川麻美子も加わって、全員でプロコフィエフ:ロメオとジュリエット作品64(ワジム・ボリソフスキー、小早川麻美子編)の緊張感と迫力溢れる演奏で幕を閉じました。

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第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス2019(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る -その2(諸角憲治)

2019-03-06 10:17:22 | 日記

2019年最後の小樽ヴィオラ・マスタクラスにたくさんの受講生経験者等が続々とやってくるとあって、今までより多い6つのコンサートが企画されたようです。6つのコンサートにはそれぞれ格別の意義があり、小樽ヴィオラマスタークラスにかかわった人たちに対する今井信子さんの心細かな気遣いや温かい思いやりの気持ちが、それぞれのコンサートに込められていると感じています。 

 1月13日小樽市民センター・マリンホールにて開催されたViola Space Taiwanによる「小樽ゆき物語/ランチタイムコンサート 台湾の仲間たちを迎えて~」は大変感動的で、会場の聴衆を魅了しました。

 台湾・高雄在住の富澤直子さんが高雄で主催するViola Space Taiwanは、昨年10年目を迎えたそうです。Viola Space Taiwan主催者富澤直子さんと小樽ヴィオラマスタークラス実行委員会代表高野るみさんが連携して、2016年第8回Viola Space Taiwanにおいて小樽ヴィオラマスタークラスが現地で開催されました。今井信子さん、大島亮さん、ヴァイト・ヘルテンシュタインさんによる台湾の若い演奏家のための公開レッスン、リハーサル、大槻晃士さんのバッハ塾、そして高雄の音楽堂で大盛況だった2日間にわたる合同コンサート等小樽ヴィオラマスタークラスとViola Space Taiwanの交流が深まりました。ベルマン及びのビデオカメラマンの私は、ピアニストの草冬香さん、チェリストの奥泉貴圭さん、編曲者・ヴィオリストの小早川麻美子さん、3名の聴講生(鹿島淑子、佐野友美、堀寿人)と一緒にこの台湾ツアーに参加しました。地元のViola Space Taiwan支援者の皆様の活動はきめ細かく全てスムースに運営されました。また、支援者の皆様から熱烈な歓迎を受けて、ランチ、ディナーでは美味しい台湾料理を満喫したことも忘れられない思い出になりました。今井信子さんは、小樽ヴィオラマスタークラスを温かく迎えてくださったViola Space Taiwanの皆様に応えて今回台湾の仲間を迎えてランチタイムコンサートを企画されたのでしょう。

 実は、富澤直子さんは2010年のウェイティン・クオ(2010年、2019年)以来、エンチ・チェン(2012年、2014年~2017年、2019年)、スシェン・ツァイ(2012年)、ティンル・ライ(2013年、2019年)、チンハン・リン(2013年~2017年、2019年)、ミンユ・シュ(2017年~2019年)等台湾の優秀な受講生を小樽ヴィオラマスタークラスに参加させています。 

 【演奏プログラム】

最後の彭靖作曲:ヴィオラ四重奏のための組曲「こどものころ」(2018年第10回Viola Space Taiwan委嘱新作で日本初演)の合奏には、台湾からの演奏家に、ザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテット(今井信子、ウェンティン・カン、ファイト・ヘルテンシュタイン及びニアン・リウ)が加わりました。そして長い間小樽ヴィオラマスタークラに聴講生として参加して高野るみ小樽ヴィオラマスタークラス実行委員会代表をサポートしてきたヴィオラ奏者4名(鹿島淑子、佐野友美、櫻井環、堀寿人)が小樽市民センター・マリンホールの檜舞台で演奏する機を会得たことに、共に聴講生として長いお付き合いをさせていただいている私は、今井信子さんの心温まる思いやりを強く感じて胸が熱くなりました。 合奏のメンバー構成をよくよく見ると、富澤直子さんはじめ台湾からの演奏家、中国のヴィオラ奏者(ザ・イマイ・ヴィオラ・クァルテットのニアン・リウ、ウェンティン・カン及び2016年台湾ツアーに参加した受講生ジユ・シェン)、日本のヴィオラ奏者(今井信子、大島亮、鹿島淑子、佐野友美、櫻井環、堀寿人)で構成されていて、何とも絶妙な組み合わせだなと思いました。彼等の演奏によって、この作品に寄せる作曲者の思いが奏でる音に乗って届けられたようで、聴衆の中には感動のあまり涙を流す人たちもいました。台湾の仲間たちを迎えて開催された「小樽ゆき物語/ランチタイムコンサート」は、小樽ヴィオラマスタークラスとViola Space Taiwanの交流の結晶に違いないと確信しました。(次回に続く)

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「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内

「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内   ―小樽ゆらぎの里での今井信子さんの音楽活動を応援する会の発足― 2014年6月23日   私たちが敬愛する今井信子さんが小樽「ゆらぎの里」朝里川温泉で始めたヴィオラマスターコースは、今年の正月で10周年を迎えました。此の間多くの教え子がここから育ち、年々今井先生に憧れ慕う俊秀のアーティストも多くこの地を訪れるようになり、先生を囲み、手伝い、研鑽し、コラボレートする世界にも類のない活動の拠点として高まっています。 この度、私たちは、今井信子さんのライフワークの一つでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、それぞれの立場でできる支援を行うとともに、それぞれのネットワークを通してこの活動を知ってもらい、多くのクラシックファンに珠玉のコンサートに触れていただくお手伝いをしようと、「天道虫の会」を立ち上げました。 皆さまには、「天道虫の会」の活動にご理解いただき、それぞれにできるご支援・ご協力いただければ幸いです。この会へ参加いただける方は発起人までご連絡ください。会員には、会のシンボルとなる竹製てんとう虫のバッチをお渡しします。 発起人メンバー 高野るみ、諸角憲治、砂岡茂明、樋口義洋、青木真也、須藤正實 <天道虫の会の由来>  天道虫は、太陽=天道(今井信子さん)に向かって飛ぶ習性があるという由来から名付けました <ホームページ> http://blog.goo.ne.jp/igainet  会の活動、小樽での音楽活動、今井さんの演奏活動など適宜掲載します。