「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

ヴィオラスペース2018vol.27・第4回東京国際ヴィオラコンクールを振り返って(その3:小樽ヴィオラマスタークラス受講生の挑戦)

2018-07-08 14:42:37 | 日記

 諸角さんの投稿最終回です。

毎年初春寒稽古と称して開催されているゆらぎの里ヴィオラマスタークラス(小樽ヴィオラマスタークラス)は、講師今井信子さん、実行委員会事務局代表高野るみさんの絶妙のコンビで、単なるレッスンだけでなく常に夢のあるプログラムを企画して驚く程に進化に進化を重ねてきたように思いますが、来年1月の第15回をもって満期を迎えることになったとのことです。そのようなこともあり、「第4回東京国際ヴィオラコンクールを振り返って」の最後に、小樽ヴィオラマスタークラスのレッスン及びコンサートで切磋琢磨しながら厳しくもわいわいがやがや楽しく学んだ受講生経験者が、東京国際ヴィオラコンクールにチャレンジしてきた姿をそれとなく描いて見たいと思いました。

 

 

 小樽ヴィオラマスタークラス受講生の中には世界の国際コンクールを目標に参加するヴィオリストも多いようです。東京国際ヴィオラコンクールも、きっと小樽ヴィオラマスタークラスに参加する受講生のターゲットでしょう。 最近では欧米の音楽大学あるいは音楽院で学ぶ受講生が増えているようです。 また、中国、韓国、台湾などアジアの国々から参加する受講生数も増えてきて、今では受講生数全体に占める割合も日本の受講生に匹敵するほどです。

 

 実際、東京国際ヴィオラコンクールに毎回30名強が出場していますが、その内、8名前後が小樽ヴィオラマスタークラス受講生経験者です。小樽ヴィオラマスタークラス受講生が、いかに東京国際ヴィオラコンクールにチャレンジしてきたか添付資料にまとめましたたのでご参照いただきたいと思います。

 

 2012年第2回東京国際ヴィオラコンクールで日本人として初めて3位入賞に輝いた牧野葵美さんは、2009年の第1回コンクールでは第1次審査を通過できませんでした。小樽ヴィオラマスタークラスを支援する仲間の一人が、当時ジュネーブ在住の彼女を訪問した際に、3年後の第2回コンクールに挑戦するために3年間の綿密なスケジュールを立てて物凄い努力をしている彼女の実生活を見たと語っておりました。そういえば、確か第2回東京国際ヴィオラコンクールで優勝したウェンティン・カンさんも第1回コンクールでは第2次審査に進めなかったですね。 その後大きな夢をしっかりと抱いて精進を重ねたのでしょう。第3回東京国際ヴィオラコンクールの優勝者アンドレア・ブルガーさんも第2回のコンクールでは本選に残れず、その後モチベーションを高揚させてチャレンジする自分をつくるために大変な苦労をされたと伺ったことがあります。

  今回第1次審査あるいは第2次審査を通過できなかったあるいは今回参加しなかった小樽ヴィオラマスタークラスの受講生経験者でプロの演奏家を夢みる精鋭たちには、次回2011年の第5回東京国際ヴィオラコンクールに向けてその大きな夢を抱いて、その目標に向かって今から着々と準備するのも価値のある“a part of your life”ではないでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヴィオラスペース2018vol.27・第4回東京国際ヴィオラコンクールを振り返って(その2:貴重な体験をした出場者)

2018-07-03 19:13:08 | 日記

諸角さん投稿その2です。

 

 

第4回東京国際ヴィオラコンクール、26日及び27日両日32名の出場者が第1次審査で熱演、その結果8名が第2次審査に進んだ。その少ない人数に驚いた。過去の第1次審査の結果を見ると、第1回(2009年)出場者32名で10名、第2回(2012年)33名の出場者で12名、第3回(2015年)出場者30名で13名、今回(2018年)出場者32名で8名だから、確かに少人数だ。選ばれた8名は第1次審査で際立って個性ある、表現力に優れた素晴らしい演奏をしたということか。

さて、第2次審査の課題曲には下記の二人の日本人作曲家の作品が選ばれている。8名の精鋭がどのような演奏を披露するか大変興味があった。

◎武満 徹(細川俊夫編曲):ア・ストリング・アラウンド・オータム(ヴィオラとピアノ版)

◎野平一郎:トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)*第4回東京国際ヴィオラコンクール委嘱/世界初演

 

 《貴重な体験をした出場者》

 審査員でもある野平一郎氏の作品は、第4回東京国際ヴィオラコンクールの委嘱作品であり、世界初演となる。8名の精鋭のトップバッターとして第2次審査にのぞんだ近衛剛大君は、まさに審査員でもある野平一郎さんの前でこの作品を世界で初めて演奏したことになる。誰にもできない本当に貴重な体験だ。近衛剛大君は、野平一郎:トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)及び武満徹:ア・ストリング・アラウンド・オータム(ヴィオラとピアノ版)の演奏で我々聴衆を魅了した。近衛剛大君は本選に進み、惜しくも4位に終わったが、優れた邦人作品の演奏に対して授与される「サントリー音楽財団賞」に輝いた。もう一つ貴重な体験をしたわけだ。

 

 野平一郎氏の委嘱作品に関連して、もう一人貴重な体験をした出場者がいる。

 東京国際ヴィオラコンクールでは、惜しくも第2次審査に進めなかった出場者を対象にワークショップで公開マスタークラスを受講する機会を提供している。

 5月31日(木)上野学園石橋メモリアルホールにて開催されたワークショップで最初の公開マスタークラスレッスンの講師は第4回東京国際ヴィオラコンクールの審査員で作曲家・ピアニストの野平一郎さん、受講生はラーラ・アルベサーノ(イタリア)さん。

 彼女は第2次審査には進めなかったが、第2次に進めたら演奏したであろう課題曲、野平一郎:「トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)」の演奏について、ご本人から直接指導を受けるという貴重な体験をした。

 野平氏は、委嘱作品に関して、ヴィオラスペース2018vol.27・第4回東京国際ヴィオラコンクールのプログラムで語っているので、ご興味ある方はご一読ください。

この公開マスタークラスレッスンで、野平氏がラーラ・アルベサーノさんを指導する際に語ったことの一部を、私が記憶している範囲でまとめると、「過去の有名な作品を解体して作り直すのも現代作品の一つ。今回の委嘱作品でバッハのフーガからどのような自分の世界にもってくるか、そこに自分の境地がある。作曲者は、全ての帰結、こうなるべきと思うのではなく、若いヴィオラ奏者が何か新しいことを発見してくれる、ヴィオラ奏者が作曲家を助けてくれることもある、そのような共同作業だと考えている。」

 

 近衛剛大君及びラーラ・アルベサーノさんが、この貴重な体験を活かして、野平一郎氏の作品「トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)」を、今後とも演奏会で取り上げることを大いに期待したい。同時に邦人作曲家の作品に積極的に取り組んでいただきたいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内

「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内   ―小樽ゆらぎの里での今井信子さんの音楽活動を応援する会の発足― 2014年6月23日   私たちが敬愛する今井信子さんが小樽「ゆらぎの里」朝里川温泉で始めたヴィオラマスターコースは、今年の正月で10周年を迎えました。此の間多くの教え子がここから育ち、年々今井先生に憧れ慕う俊秀のアーティストも多くこの地を訪れるようになり、先生を囲み、手伝い、研鑽し、コラボレートする世界にも類のない活動の拠点として高まっています。 この度、私たちは、今井信子さんのライフワークの一つでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、それぞれの立場でできる支援を行うとともに、それぞれのネットワークを通してこの活動を知ってもらい、多くのクラシックファンに珠玉のコンサートに触れていただくお手伝いをしようと、「天道虫の会」を立ち上げました。 皆さまには、「天道虫の会」の活動にご理解いただき、それぞれにできるご支援・ご協力いただければ幸いです。この会へ参加いただける方は発起人までご連絡ください。会員には、会のシンボルとなる竹製てんとう虫のバッチをお渡しします。 発起人メンバー 高野るみ、諸角憲治、砂岡茂明、樋口義洋、青木真也、須藤正實 <天道虫の会の由来>  天道虫は、太陽=天道(今井信子さん)に向かって飛ぶ習性があるという由来から名付けました <ホームページ> http://blog.goo.ne.jp/igainet  会の活動、小樽での音楽活動、今井さんの演奏活動など適宜掲載します。