「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

ヴィオラスペース2015・第3回東京国際ヴィオラコンクール雑感(その2)

2015-06-23 10:51:02 | 日記

 【諸角様の転載その2です。】

私は、上野学園石橋メモリアルホールで開催されたヴィオラスペース2015・第3回東京国際ヴィオラコンクールの全てのプログラムに参加しました。皆勤賞ということになります。石橋メモリアルホールの客席しに何時間座って演奏等を楽しんでいたか計算してみました。休憩時間を除いて第一次審査約570分、第二次審査約585分、本選約300分で合計正味約1455分、約24時間。休憩時間を除いて2回のワークショップ約550分、2回のガラ・コンサート約200分、授賞式及び受賞者コンサート約130分で、9日間の合計は休憩時間を除いて正味約2335分、すなわち約39時間でした。

これほど集中的にコンクールの全てのプログラムにコミットした結果、いくつか印象的なことが心に残ります。第一次審査を拝聴した印象は様々でした。圧倒的に輝いていたと思われるスイスのヴィオリスト、さすがドイツ・オーストリアの作曲家の作品を演奏すると凄いと納得させられたドイツのヴィオリスト、優美な演奏をするフランスのヴィオリスト しっかりとした表現で聴衆を魅了した日本のヴィオリストや中国及び韓国からのヴィオリスト、そして固くなっていて自分の持ち味を十分表現できないまま演奏が終わってしまった知り合いのヴィオリスト等々。第二次審査の課題曲は邦人作曲家の作品:武満徹作曲「鳥が道に降りてきた」及び藤倉大作曲「Engraving for viola」、バッハのシャコンヌ及び自由曲ですが、第二次審査に進んだ13名の出場者にとって難関だったようです。とりわけ藤倉大の作品は第3回東京国際ヴィオラコンクール委嘱作品で、若いヴィオリストには難曲だったという声を耳にしました。本選一日目ファイナリスト4名によるブラームスのヴィオラソナタ及び現代曲の堂々とした演奏は、会場の聴衆にとって審査というよりもソロ・リサイタルのような雰囲気が漂っておりました。本選二日目、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲の演奏で4人と連続して共演したヴァイオリニストのダニエル・アウストリッヒさんは体力があるなあと、私の友人達の間で話題になりました。

過去の受賞者を国・地域別に見ると、第1回コンクールの受賞者は、第1位ロシア(男)、第2位ベルギー(男)、第3位ドイツ(男)でヨーロッパの男性に独占され、第2回コンクールでは第1位中国(女)、第2位ドイツ(女)、第3位日本(女)で、前回と対照的に全員女性かつアジア人の活躍が目立ちました。今回の第3回コンクールでは、第1位スイス(女)、第2位日本(女)、第3位フランス(女)で、前回に引き続き女性が独占しました。日本人の活躍も目立ってきました。第1回コンクールで第二次審査に進んだ日本人は1名、第2回コンクールでは3名、今回は4名でした。第2回コンクールで本選に進んだ牧野葵美さんが第3位に輝き、今回第一次審査、第二次審査及び本選で安定的に底力を発揮した東条慧さんが見事第2位の栄冠を手にしました。

諸角憲治

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1 コメント

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Unknown (須藤正實)
2015-06-23 10:54:38
前回(第2回)に引き続き、今回も皆勤で全プログラム観賞されたとはこれまた凄いことです。気力、体力、鑑賞力の3つがなければできないことで、特別表彰に値します!!

それだけ、本コンクールの全容と貴重なコメント・感想を寄せていただきありがとうございました。多くの関係者にも是非読んでもらいたいです。

武満徹、細川俊夫、西村朗、藤倉大など世界に通用する日本人の作曲が多くいること、公式伴奏者は出番が多く、公平な演奏に神経も使い相当に過酷であること、地力あっても本番で実力を出せなかった(特に2次審査に進めなかった)ヴィオリスト達がこの経験をどう生かすのか、コンクールの裏側で知り、感じることも多くありました。
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