「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

ヴィオラスペース2018vol.27・第4回東京国際ヴィオラコンクールを振り返って(その2:貴重な体験をした出場者)

2018-07-03 19:13:08 | 日記

諸角さん投稿その2です。

 

 

第4回東京国際ヴィオラコンクール、26日及び27日両日32名の出場者が第1次審査で熱演、その結果8名が第2次審査に進んだ。その少ない人数に驚いた。過去の第1次審査の結果を見ると、第1回(2009年)出場者32名で10名、第2回(2012年)33名の出場者で12名、第3回(2015年)出場者30名で13名、今回(2018年)出場者32名で8名だから、確かに少人数だ。選ばれた8名は第1次審査で際立って個性ある、表現力に優れた素晴らしい演奏をしたということか。

さて、第2次審査の課題曲には下記の二人の日本人作曲家の作品が選ばれている。8名の精鋭がどのような演奏を披露するか大変興味があった。

◎武満 徹(細川俊夫編曲):ア・ストリング・アラウンド・オータム(ヴィオラとピアノ版)

◎野平一郎:トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)*第4回東京国際ヴィオラコンクール委嘱/世界初演

 

 《貴重な体験をした出場者》

 審査員でもある野平一郎氏の作品は、第4回東京国際ヴィオラコンクールの委嘱作品であり、世界初演となる。8名の精鋭のトップバッターとして第2次審査にのぞんだ近衛剛大君は、まさに審査員でもある野平一郎さんの前でこの作品を世界で初めて演奏したことになる。誰にもできない本当に貴重な体験だ。近衛剛大君は、野平一郎:トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)及び武満徹:ア・ストリング・アラウンド・オータム(ヴィオラとピアノ版)の演奏で我々聴衆を魅了した。近衛剛大君は本選に進み、惜しくも4位に終わったが、優れた邦人作品の演奏に対して授与される「サントリー音楽財団賞」に輝いた。もう一つ貴重な体験をしたわけだ。

 

 野平一郎氏の委嘱作品に関連して、もう一人貴重な体験をした出場者がいる。

 東京国際ヴィオラコンクールでは、惜しくも第2次審査に進めなかった出場者を対象にワークショップで公開マスタークラスを受講する機会を提供している。

 5月31日(木)上野学園石橋メモリアルホールにて開催されたワークショップで最初の公開マスタークラスレッスンの講師は第4回東京国際ヴィオラコンクールの審査員で作曲家・ピアニストの野平一郎さん、受講生はラーラ・アルベサーノ(イタリア)さん。

 彼女は第2次審査には進めなかったが、第2次に進めたら演奏したであろう課題曲、野平一郎:「トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)」の演奏について、ご本人から直接指導を受けるという貴重な体験をした。

 野平氏は、委嘱作品に関して、ヴィオラスペース2018vol.27・第4回東京国際ヴィオラコンクールのプログラムで語っているので、ご興味ある方はご一読ください。

この公開マスタークラスレッスンで、野平氏がラーラ・アルベサーノさんを指導する際に語ったことの一部を、私が記憶している範囲でまとめると、「過去の有名な作品を解体して作り直すのも現代作品の一つ。今回の委嘱作品でバッハのフーガからどのような自分の世界にもってくるか、そこに自分の境地がある。作曲者は、全ての帰結、こうなるべきと思うのではなく、若いヴィオラ奏者が何か新しいことを発見してくれる、ヴィオラ奏者が作曲家を助けてくれることもある、そのような共同作業だと考えている。」

 

 近衛剛大君及びラーラ・アルベサーノさんが、この貴重な体験を活かして、野平一郎氏の作品「トランスフォルマシオンIII~J.S.バッハの5つの断片による~ヴィオラ・ソロのための(2018)」を、今後とも演奏会で取り上げることを大いに期待したい。同時に邦人作曲家の作品に積極的に取り組んでいただきたいと思う。

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