遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

酵母のフェロモン

2012-07-13 23:26:09 | BIONEWS
梅雨ですね。九州はちょっと降りすぎです。梅雨後半に起こる豪雨は毎年すごいんですが、今年は度を超しているようです。しかし、空梅雨だと8月には渇水で苦しむことになるので、なかなか難しいです。「大きな火山島」九州の土壌の保水力の弱さが問題なのです。となりの四国で同じだけ降ってもああいう風にはなりません。
獅子吼で撮った蛙の写真をまとめました(昨年撮ったのも混ざってます)。天気悪いと撮れるものが限定されてつまらんです。ほんと、蛙くらいしかないんよ。『いでんや』からどうぞ。

異性を刺激するにはフェロモン分子の片側半分で十分だった -大阪市大が解明(マイナビニュース) - goo ニュース
これはこれは日本の分裂酵母Schizosaccharomyces pombe研究のパイオニア下田先生のお仕事なので、私としてはスルーできないのでございます。三日連続でBIONEWSのカテゴリーで更新すると訪問者がすんごく減ってるんじゃないかとdkdkですだよ。ま、興味ない方は蛙の写真だけでも見てってくだされ。
Schizosaccharomyces pombeは学名でありまして、ラテン語です。"schizo"は分裂(「はさみ」を英語で"scissors"っていいますよね)、"saccharo"は砂糖、"myces"は真菌(カビ)、"pombe"はこの酵母が発見されたアフリカのどぶろくの名前『ポンベ』からきてます。下等な真核生物とはいえ、ちゃんと『性』がありまして、異性と接合します。酵母は基本的に同等の細胞同士が接合する交配でして、精子と卵子、花粉と雌しべというような非対称な細胞間の交配とはずいぶん違います。単細胞生物ですから、その一倍体細胞自身が接合能を持った生殖細胞でもあります。異性に対する認識はフェロモンと呼ぶたった9個のアミノ酸からなるペプチド分子でして、それに対する受容体を持ってて反応してくれる相手が異性ってわけです。昨日、炎症反応が死細胞から放出された非コードRNAが周囲の細胞の受容体にくっついて広められるって話しを説明しましたが、ざっくり同じような仕組みです。やってることは高等でも、使ってる仕組みはカビからヒトまでそう変わらんのですな。w ちなみに、個体と個体の間を取り持つのが『フェロモン』でして、個体内の別個の細胞同士を取り持ってるのが『ホルモン』。
無駄情報がやたら増えましたが(すまん)、とにかくですね、たった9個のアミノ酸をしらみつぶしに別のアミノ酸に変換して計152種類の変異型フェロモンを作製して、最低限フェロモンとして必要なアミノ酸配列を決めた。そしたら、実は重要だったのは半分だったという・・・。ついでに、フェロモンとして効かなくなった変異フェロモンに対して反応できる受容体を作っているそうです。成功すれば、信号物質とその受け手をほとんど自在に設計出来るようになるわけでんな。これを応用できればすごいんよ。たぶん。(オイッ

本日のお酒:なし
コメント
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