遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

論文の衝撃度

2007-04-09 21:45:53 | 大学生活
今論文を書いていますが、論文は科学雑誌に投稿して掲載してもらいます。その際にきびしぃぃぃぃ~い審査があって何ヶ月もかかって出版されるのです。掲載される雑誌はどこでもいいんじゃなくて、読者の多くて引用される頻度の高い雑誌がいいのです。それから、読者層が読んで欲しい業界の人たちであることが大事。遺伝学の論文を生化学の雑誌に出すのと遺伝学の雑誌に出すのとやはり違います。
科学雑誌には米国のある会社によって点数が付けられています。それが"Impact Factor"。これは雑誌の格付けなんですが、そこに載った論文の価値と考える風潮がとても強いのです。同じ雑誌の中でも、Full Paperもあれば、Short Communicationもありますから論文ごとの評価はまた別のはずです。その論文の引用件数で評価する方がフェアな感じがしますが、良い仕事でもマイナーな業界だったり、数報の論文に分かれてたりすると一報の引用件数が少なくなったりします。やはり、人の仕事の評価というのは多面的で総合的な方がいいと思います。ある会社の付けた点数を基準にするのなんてねぇ・・・。しかし、この点数で評価をする風潮はけっこう進んでいるのですよ。

この点数は毎年変化します。全体の科学の流行などがわかって毎年調べてると面白いですよ。生物学の雑誌は近年すごく増えてきてて、ひとつの雑誌あたりの点数は全体に下がり傾向です。特に総合系の科学雑誌は下げています。MCB、MBC、JBC、FEBS Let、Genes Cellsなどは今年下げました。その中で大きなトピックスが今年Natureがトップから3位に落ちたことです。Natureは、Nature Med、Nature Genet、Nature Cell Biol等に雑誌を増やしたのが原因と考えられます。希釈されちまったんでしょう。上がったのは専門誌系。NAR、DNA Repair、Chromosoma等です。昔の科学者はNARになんか論文を出すなんてとんでもないっていう人がかなりいましたが、今やMBCよりも上ですよ。専門誌系は固定客がいるので上がらなくても下がらず頑張ってる雑誌が多いです。将来伸びる雑誌を見極めるのも、最近は大事な仕事の要素のひとつになっているのです。
コメント
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