ぽん・ぽん・ポンちゃん

慢性腎不全でもがんばる猫ポンちゃんと、飼い主の親子のいろいろなお話

泣いているのは私だけ

2008-03-12 23:27:31 | Weblog
今夜は寒いから温風器をつけようか、
と振り返っても、
今までの場所にポンちゃんが寝転がっていない。

夕飯に大根を使ったので、
ほ~ら、残った葉っぱ、噛み噛みする?と、
脚もとを見てもポンちゃんは来ていない。

ふわふわの毛禁断症状が起きて、
家中の猫ベッドを見て回ってもどこにもいない。

いない。いないんだ。と、また思い知って
どうする事もできなくて、力が抜けて、
また涙が出てくる。

でも、一日に数回、発作が起きたように
こんな風にアホになってるのは私だけ。

ばあややりんごは、テレビを見たり、雑誌を読んだり
ゲラゲラ笑って、にぎやかにおしゃべりをして
楽しく過ごしている。

「あなた達、もう悲しくないの?」
「どうして? だってポンちゃんはここにいるよ。
 人間が悲しんだら、ポンちゃんも悲しいんだよ」
すごい答えが返ってきた。

そうか。以前、私が教えた事なのに
見事に実践していらしたんですね。
その言葉を言った母は、ちっとも実践できないよ。

お風呂上がりのりんごが私に言った。
「どうして、悲しそうなの?」
「だって、もうポンちゃんに触れないんだよ。
 撫でてあげる事も出来ないんだよ」
りんごは
「代わりに撫でれば?」
と、自分の頭を差し出した。

お風呂上がりで髪の毛は濡れていた。
「ポンちゃんの毛が濡れていた事なんてないよ」
りんごはバスタオルを頭にかぶった。

「ポンちゃんはこんなに大きくなかった」
りんごは床に腹這いになった。
そして頭にかぶっていたバスタオルを器用につまんで
猫の耳の形まで作った。
「これで、そっくりでしょう?」

確かにじわっと湿ったバスタオルで作った猫耳は
本物に少し感触が似ていた。
ここまでやってもらったら、もう泣き笑いだ。

傍らにいたばあやが一言。
「病んでるなぁ…」

* * * * *

何人もの方が、メールやコメントで
ばあやちゃんやりんごちゃんは大丈夫?と
心配してくださいましたが、
大丈夫です!

やっぱり子供は強い。
大人と違って、キラキラした真新しい毎日を
受け取るのに忙しくて、悲しみに浸っているなんて
出来ないらしい。
二人とも、ポンちゃんが亡くなった時は
たくさん泣いていたけれど、その後の状況は
私よりすんなり受け入れている。

自分の子供時代を思いだした。
今のりんごの年齢の時に、同居していた祖父が
亡くなったけれど、泣いたのはお葬式の時限りで
その後は、思い出す事は無数にあっても
泣いた事はなかった。

思い出すのと、涙を流すのは別の事なんだね。

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4 コメント

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Unknown (bianca)
2008-03-13 11:16:26
いちごさん、生活の全てにポンちゃんがしみこんでいるのに、姿だけがどこにもない、発作のように・・・といういちごさんの気持ちすごくよくわかります。
子供って、常に前しか向かないというか、立ち止まるとか振り返るとかしない大人とは別の生き物なのでしょうね。
そして純粋に「人間が悲しんだらポンちゃんも悲しいんだ」ということを受け入れて納得出来る。
そこが子供の素晴らしいところなのかもしれませんよね。

りんごちゃんがバスタオルかぶって猫耳を作っていちごさんを笑わせようとしてくれたところを読んで、私も泣き笑いです。
りんごちゃん、ばあやちゃんというステキなお子様に恵まれていちごさん幸せですね!

今日は、ふっかふかのポンちゃんの写真とりんごちゃん、ばあやちゃんの絵を眺めてほっこりさせてもらいました。

今日もいい天気ですよ。
いちごさん、お疲れが出たら休んで下さいね。
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Unknown (いちご)
2008-03-14 01:21:51
biancaさんへ

ありがとうございます。少しずつ、何かやろうという気持ちが出てきて、明日は2年以上お世話になった病院に挨拶に伺おうと思っています。病院に行ったら、必ずスイッチが入りそうで、なんだか足が向かなかったのですが、いつまでもこのままではいけないので、出来る事から少しずつ…。
3人揃って悲しんでいるよりは、こんな状況でいいんじゃないか、ポンちゃんも「やっぱり」って思ってるよね、と考えられるようになりました。
急に暖かくなって、季節は巡る…という感じでしょうか。
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Unknown (香遊)
2008-03-14 18:49:54
いちごさんこんにちは。

私も20年一緒に暮らしたまーちゃんを見送って、間もなく3週間になりますが、いまだにまーちゃんの居ない生活に慣れない一人です。そしてその悲しみを一手に引き受けているのは、家族の中で実際に殆ど一人でお世話をしてきた私だけです。

いつも、何を食べてもらおう?あーしよう、今度はこーしよう、と常にまーちゃんの事を考えていたねこ馬鹿介護人にとって、その喪失感たるや…言葉で言い表せないほど…。

だけどりんごちゃんやばあやちゃん。素敵なお子さんに囲まれて、いちごさんにもきっと「時間薬」が効いてくる時が来るのでしょう。もちろん私にも。

きっとお互い、最愛のねこちゃんを失った悲しみは尽きる事はないけれど、その思いは時間をかけてゆっくりと熟成されて、やがて痛みはなくなり、思い出すほどに笑みがこぼれる、素敵な心の宝物になっていくのだと思います。

私も、芸大に通う姪っ子が、今まーちゃんの絵を描いてくれているらしいです。その出来上がりを楽しみに毎日過ごしています。私自身も美術をやっていたので、ばあやちゃんとりんごちゃんの絵にも、いつもただならぬ才能(笑)を感じておりました。これからもお二人の素敵な絵を楽しみにしています。

どうかいちごさん、お体にはくれぐれもご自愛下さいね。
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Unknown (いちご)
2008-03-15 01:05:24
香遊さんへ

今年の2月~3月にかけて、どういうわけか旅立つ猫さんが多かったですよね。喪失感を感じている介護人は自分だけではない事を知り、そして実際こんな風にコメントをいただける事、とても幸せな事だと思います。
香遊さんも、御家族の中で悲しみを一手に引き受けられてしまったのですね。
やはりゴハンをあげていた人間、食べるたびに「すごいね、えらいね」といちいち声をかけ、毎日の輸液では「頑張ろうね、これで楽になるよ」と励まし、「お薬お願いね」と追いかけていた人間には他の人にない親密度があります。
子ども達の絵は、まさかポンちゃんが亡くなるとは思わず、昨年描いた絵ですが、想いが入っている分、写真より良い思い出になっているような気がします。
姪っ子さんのまーちゃんの絵も出来上がるのがとっても楽しみですね! 黒猫さんだから、どんな風に仕上がるんでしょうね? ぜひぜひブログにもアップしてくださいね。楽しみにしています。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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