ゆめ未来     

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「屍人荘の殺人」

2018年05月07日 | もう一冊読んでみた
屍人荘の殺人/今村昌弘  2018.5.7  

    2018年版 このミステリーがすごい!
    国内篇 第1位 屍人荘の殺人


このミス第一位ということで、期待して読みました。
ぼくは、「本格ミステリ」とあまり相性が良くないみたいです。
また、順位上位のミステリとのミスマッチも時々感じます。
今回も、そんな感じでした。

 斑目機関
 施設は複数階の地下室を含めかなりの規模だったらしく、全国から奇人変人と評される研究者、学者を呼び集め、分野の垣根なく日夜様々な研究が行われていたとの証言が複数得られた。それも表の世界ではとても真剣に相手にされぬような。


冒頭のこの部分には、多いに期待したのですが..........。

 突然見知らぬ長身の男に行く手を塞がれ、言葉をかけられた。
 「国名シリーズはクィーン。館シリーズは綾辻行人。では花葬シリーズは?」
 なんですか急に。あなた誰ですか。と切り返そうとしたが、
 「な、あ、連城三紀彦」口が勝手に動いていた。
 その瞬間、差し出してもいない右手がガチッとつかまれた。


ここで、連城三紀彦が出てきたあなたは、きっとミステリ好きですよね。

    戻り川心中

物語の展開よりも、随所に見られる似たようなエピソードの数々、これがぼくには面白かった。

 「確かに。最初見た時は俺も本気で狙おうかと思ったよ。頭の回転も速いし、あんな上玉滅多にいやしないしな。----だけどやめた。彼女は食わせ者に見えてその実純粋だ。そういう子は、相手をするのに疲れる。終わりを終わりと悟ってくれない。厄介なものだ。

 俺は昨日、ここで立浪が語った言葉を思い出した。
 『出会ったばかりの頃は楽しい。だが相手を知れば知るほど、本当に好き合っているのかがわからなくなる。相手を信用できなくなる。終わっちまえば、すべてが欺瞞だったとしか思えない』
 立浪は己の半分を構成している母親の血を呪っていたのかもしれない。
 母親を否定するために愛を求めて女性に手を出し、その女性に母を重ねて拒絶してしまう----まるで表裏のないメビウスの帯だ。
 SOS。
 もしかすると彼も端正なマスクの下で確かに助けを求め続けていたのかもしれない。


書評を読んで分かったことは、トリックを考えることが楽しい方には、面白かったようです。

      『 屍人荘の殺人/今村昌弘/東京創元社 』


コメント
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