忘備録の泉

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トランプとWTO

2018-08-27 09:05:04 | 読書
WTOは、関税貿易一般協定(GATT)から誕生した組織で、貿易摩擦を解消するために1995年に設立された。
加盟国は一連のルールに従うことに同意し、不公平な貿易慣行の排除と市場の開放を目指している。

そもそもこの体制は、アメリカ合衆国が1934年に制定した互恵通商協定法に基づき、諸外国と二国間通商協定を締結していったことに歴史的起源をもつ。
アメリカは協定の締結に基づき交渉によって相手国と互いに関税を引き下げ合い、協定の無条件最恵国条項によって通商の自由化を推し進めたのである。
当時のアメリカは国力も高まり「モンロー主義」と呼ばれた孤立主義政策を貫いていた。
それが変化したのは第2次大戦以降である。

1929年の世界大恐慌により1930年代に各国がブロック経済圏をつくって二度目の世界大戦をまねいてしまう。
この反省から、1944年のブレトン・ウッズ会議で、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD、世界銀行)が設立された。
第二次世界大戦で疲弊・混乱した世界経済を安定化させるため、具体的には国際的協力による通貨価値の安定、貿易振興、開発途上国の開発を行い自由で多角的な世界貿易体制をつくるため為替相場の安定が計られたのである。
IMFについては、イギリスのケインズ案とアメリカのハリー・ホワイト案が英米両国の間で討議され、ホワイト案に近いものとなった。
ドルを世界の基軸通貨として、金1オンスを35USドルと定め、そのドルに対し各国通貨の交換比率を定めたのである(スタート時は金本位制)。
世界の基軸通貨にドルが採用されたのだ。

これと並び戦後の国際経済の支柱として、他国を排除する保護主義から自由で公正な貿易体制を目指す「GATT(関税と貿易に関する一般協定)」が1948年に発足するが、それらの背景には戦争の教訓があるのである。

この協定は1929年の世界大恐慌により1930年代に各国がブロック経済圏をつくって二度目の世界大戦をまねいた反省によっているだけでなく、開発途上国の開発を行い自由で多角的な世界貿易体制をつくるためにつくられたのである。
1980年代以降、世界の貿易は爆発的に拡大してきた。
それは東西冷戦の終了の影響が強い。
貧しい国々が豊かな西側世界に入るという意味は、経済が拡大するということでもあるが、富が高きから低きに流れるということでもある。
あるいは貧しき国々を搾取する人々が現れるということでもある。
搾取された人々の間にはナショナリズムが高まりテロや暴動が起きてくる。
資本主義は暴走し、豊かだった西側諸国には格差が拡大して、持たざる人々の不満がますます高まっていった。

トランプ大統領の登場は第2次大戦以降の常識を全否定しはじめた。
WTOからの脱退も公然と口にするようになった。
すでにTPPからの脱退は宣言し、各国との2ヵ国間協議に移っている。
基軸通貨ドルの存在はそのままでそんな我がままが通用するとは思えないが、第2次大戦の教訓や平和哲学はどこかへ消えてしまうのだろうか。
資本主義の暴走はそれでも止まらないのか?


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おもしろい旅になったりする。




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