天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」18本目

2012年04月01日 | 映画感想
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

祝・メリル・ストリープ@アカデミー賞主演女優賞受賞
ってか、この人何回目だっけ?3回目?4回目?オスカー超常連だよね。
ノミニー回数なんて本人も覚えられないんじゃね?

あらすじって書く必要ないよねー?
英国元首相マーガレット・サッチャーの半生・・・というか丸々人生ほとんどを現在のサッチャー女史の様子と被せて
交互に見せて行く、という感じ。彼女の政治家人生に関してはウィキか何かで検索掛ければ詳しく書いてありますからw

まーこの映画をわざわざ劇場に足を運んで見に行こうという人だったら知ってて当然の情報だけど
マーガレット・サッチャーさんは現在86歳で、近親者からの告白によると「認知症」で既に首相時代の事を
思い出すのも困難な状態になっているとかどーとか。
劇中でも何年も前に亡くなった夫デニスを日常的に幻視・幻聴していて、映画は「周囲の説得でようやくデニスの遺品を
整理する事に同意した為に娘が片付けの手伝いに来た」というあらましになっている。

これ、サッチャーさんの近親者の方は本作ご覧になったんでしょうかね?
物凄く切ないですよ。もし自分がサッチャーさんの近親者だったら正視に耐えないかもしれない。
あまりに赤裸々で、あまりにリアリティがあり過ぎて、そしてあまりにもサッチャーさんの様子が悲し過ぎて。
彼女の「男社会の政治の世界に女1人切り込んで行く」という正に「鉄の女」とよばれた強靭で雄々しい姿を存分に見せつつも、
映画は絶えず現在の老いて認知症を患って亡き夫の幻影と対話を続ける姿を映して行く。

この作品は見る人の年齢によって注目する部分がかなり違うのではないか?と思いますね。
若い人はきっとサッチャー女史の血気盛んで辣腕を奮った首相時代の姿だったり、フォークランド紛争の際の勇ましい「これぞサッチャー!」
という姿に目を奪われるのかもしれない。
でも既に人生の折り返し地点を過ぎたと自覚出来る年齢の自分にとっては、背中を丸めて膝が弱くなって少しがに股で歩く、
娘や秘書達から「お気の毒に」という憐憫の表情で迎えられる現在の彼女の痛々しい姿が目に焼き付いて離れない。

失礼を承知で書くが、まだ亡くなっていない・・・ご存命中の立志伝中のご婦人、しかもかつては辣腕をふるい「鉄の女」とまで呼ばれたものの
現在は認知症を患い見る影もなくなった、正に「人生の晩年」を消費し続けている「元・英雄」の姿をここまで赤裸々にスクリーンに
焼きつける事に何の意味があるのだろうか?
正直この映画の意図が私には見えない。ただただ痛ましく、ただただ切ない彼女の最晩年である現在の姿をここまで見せつけられて
今更フォークランド紛争の勇を称えよと?余りにも何もかもが空しくはないか?

またねー、メリル・ストリープが上手過ぎるんだよね。まあだからオスカー像を手にしているんだけど。
個人的にこの方が私あまり好きじゃないんですよ。上手いのは認める・・・いや、むしろ余りにも上手過ぎてそれが鼻についてイヤなのよ。
この方とショーン・ペンの2人はどうしても好きになれないんだよね。どちらも余りにも演技が上手過ぎて鼻につくんだ。
役者の演技が上手い事をイヤがるのもどうかと思うけど、こればっかりは感性の問題?だからどうしようもないわ。

そんな訳で余りにも上手過ぎる演技力と迫力、リアリティがあり過ぎて、私にはお腹いっぱいで切なさMAXでした。
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