猟盤の日々改めDEADMAN IS ALIVE!

ヴィニル・ジャンキーの猟盤話から死んだ人の話を経て、呑み屋の話になったり、ギターの話になったり。。。

ハッピー・エンディングって

2007-08-24 | 本・雑誌
新聞は一番先に訃報を読むものだ、と昔ある人が書いていたが最近になってやっとその意味が判ってきた。「はつぴいえんど」という名前のバンドが昔あったが、そのネーミング、正に慧眼である。センスのいい名前のバンドは音も素敵なことが多いと思う。

先日、以前に仕事をしたことがある元某自動車会社宣伝部の若尾裕之さんからメールが来た。本を出版したので読んでほしいとのこと。「ハッピーなお葬式がしたい!」という本だったのだが、あまり期待せずに読み始めると、これがなかなか面白い。amazonの僕のレビューを転載しておくで興味のある方はぜひ。

「書店で見かけた時は葬式のHow Toモノかと思ったのですが
読んでみるとなかなか哲学的なエッセイであることがだんだん分かってきます。

僕自身がこの三年間で両親の葬式を二回、僕より若い同じ会社の社員の
葬式が二回、異なる葬儀業者との打合せも何回も経験したため
この本はもちろん実務的な部分で参考になります。

しかし著者がいいたいのはもっと別の部分にあるのではないかと
思います。あとがきにもあるようにこの本を書くきっかけは著者が生存率2割の
病気にかかったことです。

それまで他人事だったことが突然、自分にふりかかってくる恐怖は
想像できないほどの事だったと思います。
そのきっかけがこの本に哲学的な側面を持たしているような気がします。

「人間、いつかは死にます」
「葬儀をしない選択」
「夫と同じ墓に入りたくない女性たち」
「モノより思い出」
「大いに泣くことが大事です」
「一ヶ月後に死ぬことがわかっていたら?」

役に立つ実務的な話の間には上記のようなタイトルの著者の主観が入った文が
挿入されていて興味深い内容となっています。

それにしても著者の博識には感心しました。
葬式と告別式の違いからセカチュー、釈迦の六波羅蜜から白洲次郎
死後の世界、子供と死の問題まで話は及びます。

これほどの内容の本なのですが、装丁・本文のデザインで単なる葬式How To本としてみられてしまうかもしれません。もう少し違う装丁デザインができると、より差別化ができたのではないかと思います。

ところでこの三年の葬儀を行う側、列席する側ともずいぶん多かったのですが
あることを始めました。
それは自分の葬儀用のコンピレーションCDの選曲です。
60分ぐらいにまとめて、葬儀のBGMと列席していただいた方へのお礼として
CDを進呈するのです。

僕のipodにはそれ以来「Funeral」というファイルができて
日々さまざまな曲が候補として収納されています。
曲リストをみながらこれは違う、こっちのがいいと悩むのもハッピーエンディングに
向けた楽しみのひとつとなったのでした。」
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山口小夜子 57歳? R.I.P 美人薄命

2007-08-21 | 訃報
昨晩、お盆休み明けの渋谷富士屋本店で呑んでいて、店の小さなテレビで訃報を知った。

「パリ・コレクションなど欧米のファッションショーで活躍した日本人女性モデルの先駆けで、俳優の山口小夜子(やまぐち・さよこ)さんが14日、急性肺炎で亡くなった。57歳だった。葬儀は親族のみで済ませた。後日、お別れの会を開く予定。横浜市生まれ。杉野学園ドレスメーカー女学院卒業後にモデルとなり、高田賢三や山本寛斎のショーで注目を集めた。72年にパリ・コレにデビュー。次いでニューヨークコレクションにも参加して、おかっぱ頭に切れ長の目の容姿で日本人モデルのブームを巻き起こした。77年には米ニューズウィーク誌から「世界の6人のトップモデル」の一人に選ばれた。 俳優としても、寺山修司演出「中国の不思議な役人」などに出演するなど演劇、映画、コンテンポラリーダンスに活動の場を広げた。衣装デザインも手がけた。」(asahi.comより)

1977年の夏、初めてパリに行った時、シャンゼリゼ通りのブティックのショーウィンドウに山口小夜子のマネキンが並んでいるのでびっくりした覚えがある。後日それはロンドン・アデルー社制作の「SAYOKOマネキン」だった事を知った。70年代、資生堂が仏のクリエーターのセルジュ・ルタンスを起用して制作していた広告シリーズが大好きだった僕は、1977年2月に渋谷西武劇場で「中国の不思議な役人」に出演していた山口小夜子を初めて見ていた。(ルタンスがディレクションした広告発見できず写真は別の資生堂の広告。撮影はたぶん横須賀功光氏)

その年にリリースされたSteely Danの名盤「Aja」では藤井秀樹撮影の彼女がジャケットを飾った。その後も2001年には鈴木清順監督、音楽こだま和文、歌演奏エゴラッピンの映画「ピストルオペラ」で主演、2005年のセルジュ・ルタンス展での彼女の写真が一番最近見たものかもしれない。

19日に女優の南風洋子も亡くなった。77歳。この人、宝塚歌劇団から劇団民藝というすごい転身をしたのだが、知的なクール・ビューティー系で同じ民藝の奈良岡朋子と共に僕の好きな女優の一人だった。合掌。

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映画監督と音楽

2007-08-20 | 映画
いい映画を撮る監督は音楽の趣味もいいようです。タランティーノのようにレコード部屋を持っていて自分で選ぶ人もいますし、ジム・ジャームッシュは映画ごとに様々な興味深い音楽を探してくる人もいます。
また監督と作曲家がコンビのような関係の場合もあります。

デビッド・リンチ=アンジェロ・バダラメンティ
ティム・バートン=デビッド・エルフマン
クシシュトフ・キェシロフスキ=ズビグニエフ・プレイスネル   
黒澤 明=佐藤 勝
フランソワーズ・オゾン=フィリップ・ロンビ

先週観た「ボルベール(帰郷)」の監督ペドロ・アルモドバルは「ハイヒール」で坂本龍一と組んだこともありますがここ十年ぐらいは、ほとんどアルベルト・イグレシアスが音楽を担当しています。この映画でペネロペ・クルス扮するライムンダが唄うのは(吹き替えだけど)タンゴの名曲「VOLVER(ボルベール)」、1920年からアルゼンチンで活躍したタンゴ歌手で、俳優でもあった作曲家カルロス・ガルデルにより1934年に発表された曲らしいですがフラメンコ調にアレンジされていてセンティミエントたっぷりです。

ペネロペが2001年に主演した「ウェルカム!ヘヴン Sin noticias de Dios」という映画のサントラも素敵で探しているのですが未入手。「ポルベール」は男が出てこない女の映画、タランティーノ製作総指揮の「フェティッシュ」をちょっと思い出してしまいましたが、アルモドバル版「阿修羅のごとく」っていう感じでしょうか。カンヌでは主演6人全員で女優賞を受賞しました。

先週は「オーシャンズ13」も観ました。音楽はプライマル・スクリームのプロデュースもしたことがある北アイルランドベルファスト出身のデビッド・ホルムスです。GROOVYかつKOOLな彼のオリジナルに映画のオリジナル版に出演していたシナトラや富田勲まで加えて最高、アナログ出して欲しいぐらい。

映画自体はどうってことないけど監督のスティーブン・ソダーバーグは1986年、ロックバンド「イエス」のコンサートフィルムを撮影した音楽好き、ジョージ・クルーニーとも仲良くて「グッドナイト&グッドラック」では彼が製作総指揮、ジョージが監督でした。この映画、女優があまり出てこないんだけどエレン・バーキンはよかった。ジャーミッシュの「ダウンバイロー」にも出てましたが1989年の「シー・オブ・ラブ」でアル・パチーノの相手役でした。1953年生まれの54歳のはずだけど結婚2回、離婚2回、子供は2人、ハリウッドには珍しい整形嫌いです。ところで「Sea Of Love」という曲、Phil Philipsという黒人ヴォーカリストの1959年のヒット曲なんだそうですが、カバーが多い曲としても有名です。Iggy Pop、Honey Drippersを始めレゲエではHeptones、Dennis Brownといったぐあいです。


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朧げで不確かな恐怖

2007-08-07 | 映画
円谷英二が特撮監督だった東宝映画「マタンゴ」ほど怖い映画はなかった。8歳の夏休みに西荻窪の映画館で兄と従兄弟と4人で観た記憶がある。そのころ夏休みとなると東宝の円谷監督の映画を観るのが慣例となっていた。「モスラ」(1961年)、「キングコング対ゴジラ」「妖星ゴラス」(1962年)、「海底軍艦」(1963年)「モスラ対ゴジラ」「宇宙大怪獣ドゴラ」(1964年)といった具合である。

マタンゴはその中でも大人向け異色作で、海外でも公開された(英題:ATTACK OF THE MUSHROOM PEOPLE)。ヨットで海に繰り出した7人の若い男女(久保明、水野久美、小泉博、佐原健二など)が遭難し、無人島に漂着。そこには遭難船が漂着していて人は誰もいない。不気味なキノコ以外に食料はまったくなく、やがてそれを食べた者はキノコ人間のマタンゴになってしまうのである。

原案は星新一と福島正実らしいが「飢えて死ぬかorキノコを食べて化け物となるか」というとんでもない選択を迫られる映画である。小学生にとって水野久美は妖艶かつ強烈で、特にキノコ食べるシーンと太ももはコワエロ。以前サントラも出ていたのだが未入手、マタンゴの鳴声は後にバルタン星人に流用されたのは有名な話だ。この映画をみてしばらくはキノコ食べるとマタンゴになる悪夢にうなされたものである。ちなみに右のマタンゴは天本英世
コメント (1)
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