猟盤の日々改めDEADMAN IS ALIVE!

ヴィニル・ジャンキーの猟盤話から死んだ人の話を経て、呑み屋の話になったり、ギターの話になったり。。。

34年ぶりの坂口安吾評論全集

2008-01-30 | 本・雑誌
充血鬼マラキュラの時に触れた冬樹社の坂口安吾評論全集を思い出してしまったらつい再入手したくなりamazonやヤフオクで探してみた。1971年から1973年頃にかけて再刊行されたこの全集には文庫や他の全集には未収録のものも多く、文庫本は全部読み終わっていたので待望のものだったのだ。

坂口安吾評論全集〈1〉文学思想篇 (1972年)
坂口安吾評論全集〈2〉文学思想篇 (1972年)
坂口安吾評論全集〈3〉社会風俗篇 (1972年)
坂口安吾評論全集〈4〉歴史紀行篇 (1971年)

の4冊同じ古書店で送料込4831円。到着した開封時の写真が
上記のもの。装丁懐かしい!

この全集は高校の時の三日間停学に結びついている。
ちょうど二年生の文化祭の前、三つぐらいのバンドを掛け持ちでやっていた(といえば聞こえはいいがセッションみたいなのもあった)。ギターは1971年グレコSG300モデルで当時30000円、ギブソン・コピーなのにデタッチャブル・ネックという不思議なもの。高校入学してバイトと昼飯抜いて貯金、高校一年の夏の終わりについに購入した初めてのエレクトリック・ギターだった。(下の写真右は同型のもの、右は1971年のグレコのカタログ)
 
一年下のバンドにその後プリズムを結成する天才ギタリスト和田アキラ氏がいたのだが、彼から60年代のフェンダー・プロリバーブという中古のギターアンプを2万ぐらいで(!黒パネル、38cmスピーカー一発、高音は出ないけど太くていい音だった。その後アキラが買い戻した)買うこととなり、授業の始まる前の高校の正門前で受け渡しする予定であった。ところが何時になってもアキラが現れず授業が始まってしまった。

その時倫理・社会の教師Kが教員室から出て来た。僕のシャツのポケットにショートピースが1箱入っていたのを発見されてそのまま教員室へ。Kは本一冊しか持っていない僕に教科書はどうしたのかと訊き、僕は教室に置いてあると答えた。持っている本は何だと言うので「坂口安吾の評論全集です」と答えると「僕も読もうと思っていたんだ」としばし安吾話で盛り上がりお咎めなしかと思いつつ、ほっとして教室に戻った。

次の日学校から家に帰ると母親がその日学校に呼ばれたという。
三日間停学の処分だった。というわけで坂口安吾と停学は僕の中で通底しているのだ。
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マリアンヌ・フェイスフル “やわらかい手”

2008-01-17 | 映画
2008年最初に見る映画が「ALWAYS 続・三丁目の夕日」ではあまりに悲しい、ということで気になっていたミック・ジャガーの元恋人マリアンヌ・フェイスフルの「やわらかい手」を渋谷で観た。1946年12月29日生まれの彼女、「パリ・ジュテーム」にも出演していたのだがエンドロールで名前見るまでどこに出ていたのかわからなかった。そのぐらい太っていたのだ(上の写真はたぶん19歳ぐらい、下は「やわらかい手より)

でもそれがこの映画の役ではリアリティになっているのかもしれない。マギーは難病の孫のためセックスショップである「接客業」を始める。壁に開いた丸い穴からの隆起物を手を動かし、壁の向こうの男性をいかせる仕事で顔は見えない。ところが始めてみると彼女の「やわらかい手」は天性のゴッドハンドで客が行列をなすこととなる。店があるLONDONのSOHOに僕が初めて行ったのは1977年、英国は不景気でパンクロックの始まった頃で治安も悪かった。十数年後に再訪したSOHOは小奇麗になっておしゃれなカフェがあるゲイの多い街になっていた。それでもちょっと裏にはいれば映画のような「欲望系」の店は多い。

1964年ミックとキースが彼女のために書き下ろした「As Tears Go By」でアイドル歌手デビュー、1967年公開の映画『あの胸にもういちど』はフランスのシュルレアリスム作家マンディアルグの原作だったので後追いで観た。マリアンヌが裸に革のジャンプスーツを着てバイクに乗っている姿はルパン三世の峰不二子の元ネタとの噂もある。

その後ドラッグ中毒などを経て1979年“Broken English”、1987年“Strange Weather”どちらも名盤だが後者ではニコもカバーしたディランの“ I'll Keep It With Mine”も収録。体は太ったけど声は変わらず、ひさしぶりにレコード聴いたら映画の役「マギー」の声だった。
  
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2008年が始まった。賀正!

2008-01-10 | 音楽
年賀状で毎年悩むのに懲りてここ10年、同じフォーマットにしている。
縦書き13字詰め、フォントは読売明朝体。その年に逝った印象深い人を
十名ほど羅列。意外な人が亡くなっているのを知って驚かれることがある。

天網恢々疎にして漏らさずと老子に有り
獣肉赤福白戀人に始まり童醜顔の小賢し
き官吏にまで及ぶ惡事は必ずや露見する
正に因果應報天罰覿面冷汗三斗の此の國
に未来在りや「翠」塾にて刻苦勉励算術儘
不為「魁」小學入校至近良知良能微塵も無
「酉」相變ず麗國音樂聴き乍ら肌繕ゐ余
念無「羊」弐回目大腸内視鏡検査異常無も
赤貧を洗ふが如しジャン=クロード・ブリアリ
植木等、カール・ゴッチ、成毛滋、ミケランェロ
・アントニオーニ、山口小夜子、ノーマン・メイラー
ジョー・ザヴィヌル、横山ノック、ジェリー伊藤
モーリス・ベジャール、渡邊和博、宮本顕治、
デボラ・カー、ダン・フォゲルバーグ達が召される中
本年も御躯軆に氣を付けて御自愛を。(後略)

新年ブログ向けの上記の画像は子年にちなんでネズミ・ジャケ、1972年発売の
英国のジャズ・プログレバドSKIN ALLEYの隠れ名盤「TWO QUIDDEAL?」。
アトミック・ルースターニック・グレアム(b,key,fl)が参加していたアシッド&クールなジャズ・ロックだ。
90年代のクラブでは結構回すDJもいた。

ということで本年もよろしくお願いします。
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