山の手コラム  ー植物の色つれづれー

日本の染料植物の保全と栽培のネットワーク

盛岡の草紫堂さんと南部ムラサキ保存会

2008-05-25 | 染織、染料植物
盛岡に行ってきました。

札幌からJRみちのくフリー切符は20,800円、指定席特急&新幹線に乗れます。函館では途中下車可能。
使えるエリアが広い、南は平泉を通り越して一関まで、秋田だって行ける。青森、秋田、岩手の3県を6日間乗り降り自由です。時間があれば十和田に出来た現代美術館に行きたかった・・・・次回は必ず!

盛岡は解りやすい、駅前のバスの案内所で行き先を言い、バスの番号を聞く、
なんと140円、長崎の市電の100円には及ばないけど、広島と並ぶ安さ、
交通費の高い北海道とは違い、歩き+自転車+公共交通で暮らす人にやさしい街です。

朝8:00、県庁前で降ると周りは官庁街と隣はお城の跡は公園、中を歩いていると通勤の人たちが歩いている。
中津川の手前の県民ホールの前には「優れた芸術を県民に!」と看板があり納得、中でお水を一杯いただき一休み。

風に吹かれながら橋を渡ると江戸~明治の歴史的建造物がそのまま使われている。
そんな街中に草紫堂さんはありました。
よくある歴史的地区とか、なんとか村とか、芸術なんとか、観光なんとかではなく、普通の街並にあり、ほっとしました。

8月のフォーラムで4~6日小樽市公会堂で南部紫根染の展覧会をして頂く、草紫堂・藤田氏にご挨拶と依頼と打ち合わせが目的です。南部ムラサキ保存会を立ち上げ、会長もつとめていらっしゃる藤田さんはお仲間も呼んで、お店の方には染めの作業も見れる状態で待っていて下さいました。

お店は昔ながらのたたずまい。染め場は、京都の細長い仕事場を思い出しました。
建物の脇の庭に1年目と2年目のムラサキが育っていました。
私も、染料植物が庭に育っていると安心するのです。

ムラサキの種の保存と栽培をスタートさせておられたのも同じ、薬用植物の研究者の方ともネットワークが始まり、
藤田さんも染色技術と科学技術をきっちり考えておられ、この夏の北海道でのフォーラムは新たなネットワークとのリンクを生むと革新しました。
もう自分たちだけのことを考えている時代ではありません。


草紫堂

NGO PROTAの活動 アフリカの植物資源のデータベース

2008-05-18 | 科学
アースネットワークのメンバーの女性がJICAのスタッフとしてウガンダに赴任している。
社会福祉士だが、北海道での仕事場も福祉施設、自立支援に染織を学びにわが工房に通い、昨年JICAを受け、みごと希望通りのアフリカに赴任した。行動が明快で、私もサポートがしやすい。
送られてきた植物の画像と現地の名前と伝統的な使われ方から学名を調べている。この植物も今回解った。

今までにも染織がらみで、ワーキングホリデーでフランスに行った女性、八丈島に移住した女性がいる。
しっかりとしたスタンスで勉強し、国内外で軽やかに活動をしている若手が増えているのは、嬉しい。

こういう若手と国内外のネットワークを繋ぎ、サイエンス&アートするのは面白く、役に立ち、そして人が育つ。

今度はアフリカの植物資源のデーターベースを構築し公開しているNGO PROTAとネットワークができる。
PROTA

鉄媒染の劣化

2008-05-09 | 染織、染料植物
イギリスに本体があるDHAという考古学と歴史学における染色の研究会を通じて、
文化財である染織品の黒染に使われた鉄分の酸化による劣化を防ぐ研究プロジェクトに
PhDの学生を採用するという募集要項が送られてきました。
美術館と大学が連携しておこなうプロジェクトです。

個人レベルでも鉄媒染は臭いや劣化が気になります。

世界の主な染色関係者に直接メールで送る事になった途中経過までついて送られてきました。
世界中から推薦や応募があるでしょうから一層深く多様な研究ができ、成果が上がるでしょう。
日本ではこういう内容はダイレクトには決して来ない。

毎年国を変えて開催するDHAの今年のシンポジウム開催地はイスタンブールの大学です。
DHA

発表者や一般参加者の参加費で全て経費を賄うわけで、どの国から来ても全員自費で参加するという形態が
解りやすい。

少し前にフランスの藍のワークショップの誘いがきましたが5日間で参加費が15万でした。
すでに制作や研究している個人が集まっておこなうワークショップです。

私がフランスでおこなったのも、参加者は全て制作者や研究者で、1週間毎日皆で実技と
講義を繰り返すのでとても有益です。こういう事が日本では成立しにくい。

6月に福岡で3カ間、7月に出雲で5日間開催するのはこれに近いですが、
他ではなかなかできないのが残念。



プロヴァンスの茜 Garance (Rubia tinctorum L.)

2008-05-06 | 染織、染料植物
我が庭で9年目の春を向かえた茜、3mを越す積雪にも耐え、毎年実をつけるたくましさ。

ファーブルが苦労をしてこの茜からアリザリンを合成しようとして財産を随分無くしたとか・・・
我が友人は植物を愛し、ファーブルに憧れ、茜を愛しみ育て、その色の美しさを知ってほしいと茜の会をつくり、
街の古城と庭園をアトリエとギャラリー、資料室と染料植物園に蘇らせた。

この茜は彼が育てた茜の遺伝子を持っている。Couleurs Garance