情報社会の到来もあり、海外の情報は、幼い頃に比べると途轍もなく大量に入る時代になっている。羽田空港で正装して洋行した時代と比べ、海外がより身近になってきている。ただ、幼いころアラスカで経験した人種的、文化的偏見は、今でも決して無くなっていない。
話は変わるが、最近の分子生物学、遺伝子工学の急激な進歩により、信じられないような知識が得られるようになってきている。例えば、DNA鑑定で、簡単に犯人の証拠が得られることで、分子生物学の進歩は衆知の事実となっている。
その中で、この数年ワクワクしながら分子人類学の進歩を勉強している。その成果の一つが、学生時代のころに幅を利かせていた多地域進化説(100万年以上前に別れた原人が世界各地に散らばり、独自の進化をとげる)が急激に衰退し、今は現世人類のアフリカ起源説が圧倒的になり、すべての現世人類は例えば5万年前ごろに、アフリカに一緒に住んでいたという説が殆ど決定的となっている。
ネアンデルタール人とか、学生のころ学んだ、ピテカントロプス・エレクトス、ジャワ原人などは現世人類とは昔別れた人類だったようだ。
今は世界各地に離れ離れになっている現世人類が、例えば2000世代前くらいには、一緒にアフリカで生活していた可能性が高い。私にとって数万世代、数十万世代以前一緒だったというより、2000世代というのは遥かに近しい感じである。
恐らく、この新しい知見は、哲学や宗教、国際平和等に、じわじわと地味かもしれないが、大きな影響を与える福音になるのではないかと想っている。
シケンサー、PCR装置などが、ずらりと並ぶちょっと冷たい感じの実験室(以前見学させて頂いたことがあった)から、このような知識が得られるのは想像しにくかったが、希望を与える知識が与えられたのは事実だ。
紛争、環境問題や人口問題などの難しい時代に、何故か希望を与える知識が与えられる。とても不思議だ。感謝である。
<技術の恩恵 2/4>
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