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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

縄文を感じる!(古今東西 1/10)

2013-05-30 | 第三章「無意識の世界」

 ふと考えてしまったが、古今東西という言葉は違和感なく使っているが、ちょっと変えて古今南北としたら何だか判らなくなってしまう。古今東西は時間的、地理的、文化的な広がりを指す言葉なのだろうが、東西というのは日本列島での地元感覚かもしれない。

 私は先日、岩手県の遠野に行き、来週には西日本の奈良に行く。そんなこともあり、この一ヶ月東と西のことを交互に考えたりした。そして、何かめまいを感じるような気持ちになる。やはり何となく東西の文化が違うのだ。

 日本は、ご存知のとおり電気も東日本と西日本で周波数が50Hzと60Hzと違う。境は静岡県から糸魚川ということで、昔から東日本を指す坂東の感覚にちかい。坂東の坂は、研究者によると足柄山と碓氷峠だそうだ。

 さらに、今私の手元には縄文遺跡をプロットした日本地図がある。これを観ると、まさに東日本に縄文遺跡が集中している(勿論西日本にもあるが)。これは縄文の時代は、気候の関係から西日本は住むには適さなかったようだ。

 さて、先日行った遠野の続石(写真)。7mの巨大なひらべったい石が、2mの高さの台石二つの上に乗っかっているものである。これは、どうもドルメンといわれる縄文時代の遺構のようだ。

 遠野物語にもこのドルメンのことが書いてあるが、他にもストーンサークルのことではないかという記事(遠野物語拾遺16)があり、実に興味をそそられる。

 そして、遠野市には金取遺跡があり、ここで見つかった石器が8万年前ということで、一時日本で最古の石器と言われた。この石器は8万年前ということなので、われわれの現世人類がまだアフリカに住んでいた時期であり、絶滅した旧人(ホモ・エレゥトゥス直系等)の石器のようだ。日本で現世人類が到着したのは約4万年前といわれているからである。

 それを考えると、遠野でも旧人と我ら現世人類が共存した時期があったのだろう。その事実はまだモノとしては発見されていないが、遠野物語などの口承記憶にかつての記録が潜在しているのではないかと妄想してしまう。例えば、先の続石に山神、山男等の物語がある。青空文庫から引用してみよう。

九一

 遠野の町に山々の事に明るき人あり。もとは南部男爵だんしゃく家の鷹匠たかじょうなり。町の人綽名あだなして鳥御前とりごぜんという。早池峯、六角牛の木や石や、すべてその形状と在処ありどころとを知れり。年取りてのち茸採きのことりにとて一人の連つれとともに出でたり。この連の男というは水練の名人にて、藁わら槌つちとを持ちて水の中に入り、草鞋わらじを作りて出てくるという評判の人なり。さて遠野の町と猿ヶ石川を隔つる向山むけえやまという山より、綾織あやおり村の続石つづきいしとて珍しき岩のある所の少し上の山に入り、両人別れ別れになり、鳥御前一人はまた少し山を登りしに、あたかも秋の空の日影、西の山の端はより四五間けんばかりなる時刻なり。ふと大なる岩の陰かげ赭あかき顔の男と女とが立ちて何か話をして居るに出逢であいたり。彼らは鳥御前の近づくを見て、手を拡ひろげて押し戻すようなる手つきをなし制止したれども、それにも構かまわず行きたるに女は男の胸に縋すがるようにしたり。事のさまより真の人間にてはあるまじと思いながら、鳥御前はひょうきんな人なれば戯たわむれて遣やらんとて腰なる切刃きりはを抜き、打ちかかるようにしたれば、その色赭き男は足を挙あげて蹴けりたるかと思いしが、たちまちに前後を知らず。連なる男はこれを探さがしまわりて谷底に気絶してあるを見つけ、介抱して家に帰りたれば、鳥御前は今日の一部始終を話し、かかる事は今までに更になきことなり。おのれはこのために死ぬかも知れず、ほかの者には誰にもいうなと語り、三日ほどの間病みて身まかりたり。家の者あまりにその死にようの不思議なればとて、山臥やまぶしのケンコウ院というに相談せしに、その答えには、山の神たちの遊べるところを邪魔したる故、その祟たたりをうけて死したるなりといえり。この人は伊能先生なども知合しりあいなりき。今より十余年前の事なり。

 山神の話のようで、実は旧人との出会いだったのでは?妄想はとどまることがない。我ら現世人類は、旧人とどう住み分けていたのだろうか?

 因みに、続石に係わる推測の話には、ドルメンの話もあるが弁慶の話があったりする。ある現象をどう解釈するか。これは心の健全さを観る尺度(プロセススケール)の一つで、解釈があたかも事実のように固いのはよくないようだ。私は通常、柔軟に解釈できるようであるが、テーマによっては、単なる一つの解釈があたかも事実のように感じてしまうこともある。この続石はどうだろうか(笑)。不思議なことでもある。

 古今東西 1/10

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