古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

◆鉄器生産能力に勝る狗奴国の優勢

2016年09月09日 | 古代日本国成立の物語(第一部)
 弥生時代、北九州倭国においても朝鮮半島経由で入ってきた製鉄技術を利用して鉄器の生産が始まっていたが、北九州倭国は狗奴国と違って朝鮮半島経由で鉄そのものを輸入することができた。3世紀の朝鮮半島の情勢として「魏書東夷伝の弁辰条」に「(弁辰の)国々は鉄を産出する。韓・ワイ・倭がみな鉄を取っている。どの市場の売買でもみな鉄を用いていて、中国で銭を用いているのと同じである。そしてまた(楽浪・帯方の)二郡にも供給している。」と書かれている。当時、半島南部には馬韓、弁韓、辰韓の三韓があり、弁韓・辰韓では鉄資源の開発と鉄生産が隆盛し、楽浪・帯方二郡に供給するほどの一大製鉄拠点となっていた。倭国もこの鉄を入手していた。魏志倭人伝には「帯方郡より倭に至るには海岸に沿って水行し、韓国を経て、南へ行ったり東へ行ったりして、北岸の狗邪韓国に到ること七千余里」とあり、倭の北岸である狗邪韓国が朝鮮半島にあったことがわかる。北九州倭国はこの狗邪韓国を経由して半島の鉄を手に入れることができた。半製品の鉄塊もあり完成品の鉄器もあった。
 北九州倭国はこの状況の中で自前での鉄器生産は狗奴国に遅れを取ることになったのではないだろうか。先述の愛媛大学の村上教授の「倭人と鉄の考古学」によると、弥生時代の鍛冶工房および鍛冶関連遺物の分布をみると九州北部よりも九州中部にその数が多いことが読み取れる。必要な時に必要なだけの輸入が叶うのであれば戦闘の最前線にどんどん兵器を供給できるが、自前での生産が不十分な状況下でひとたび輸入が停滞してしまうと戦場はたちまち窮地に陥ることになる。鉄器生産能力に勝る狗奴国が戦闘を有利に進めたことは間違いないだろう。



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