2022年5月3日・4日の二日間、古代史コミュニティ「古代史日和」が企画・運営する古代史ツアーに参加しました。
2日日の5月4日は「地元ガイドとまわる2古社と唐古・鍵遺跡」と題して、次のようなルートを巡りました。
近鉄笠縫駅集合→多坐弥志理都比古神社(多神社)→鏡作坐天照御魂神社(鏡作神社)→笹鉾山1号墳→黒田大塚古墳→唐古・鍵遺跡→唐古・鍵考古学ミュージアム→近鉄田原本駅解散
笠縫駅から多神社へ徒歩で向かい、参拝後にランチをとって再び笠縫駅にもどり、ひと駅先の田原本駅まで電車に乗り、田原本駅からあとの行程はレンタサイクルで楽チンツアーとなりました。
スタートの笠縫駅からゴールの田原本駅までずっとついてくれた2名のボランティアガイドの方は田原本で文化財に関わるお仕事をされていたそうで、その関係からか、多神社と鏡作神社ではそれぞれの宮司さんから、唐古・鍵考古学ミュージアムでは学芸員さんから、貴重なお話を聴くことができました。
まずは多坐弥志理都比古神社(多神社)です。第一社に神倭磐余彦尊(神武天皇)、第二社には神八井耳命、第三社には神沼河耳命(綏靖天皇)、第四社に姫御神(玉依姫命)、計四柱の神が主祭神として祀られています。代々の宮司をつとめる多氏は神八井耳命を祖神とする氏族で、本人、父母、弟の家族4人が祀られていることになります。
鎮座地の住所は「奈良県磯城郡田原本町大字多」、つまり多氏の本拠地になります。すぐ近くに古事記を編纂した太安萬呂を祀る境外摂社の小杜神社があります。第一社から第四社まである本殿は残念ながら修理中でした。
境内にある資料館を案内してくれたのは第51代目の多氏当主である宮司さんです。この資料館には境内を含む多遺跡からの出土物、祭祀具、太安萬呂の墓誌(複製)、古事記写本など、貴重な資料が展示されていました。
笠縫駅から田原本駅まで電車で移動し、田原本駅からはレンタサイクルで鏡作坐天照御魂神社(鏡作神社)に向かいました。
鏡作坐天照御魂神社の祭神は、天照国照彦火明命、石凝姥命、天糠戸命の三柱です。この神社は2回目ですが、今回は宮司さんから由緒などのお話を伺うことができました。さらに、神社が大切に保管しているご神宝の鏡(三神二獣鏡)を特別に見せていただいたのです。上の写真に左側に写っているパネルにある鏡です。これはサプライズでした。
もうひとつのサプライズは拝殿に供えられた八咫鏡。これは福岡の平原遺跡から出土した日本最大(直径46.5㎝)の内行花文鏡を模造したもので、通常はピカピカに磨かれた表が正面を向いているので、裏面の文様はわからないのですが、このときは拝殿の裏へまわって鏡の裏面を見せていただけたのです。これまた貴重な経験でした。
拝殿の裏にまわったので、本殿を直接拝むこともできました。
ここから先はしばらく奈良盆地のど真ん中をサイクリングしながら、笹鉾山古墳、黒田大塚古墳を見学したあとに到着したのが唐古・鍵遺跡。ここは久しぶりです。前回に来た時は史跡公園としての整備が始まった頃だったと思いますが、今回はその工事が終わってまったく違うところに来たような感覚になりました。
ゴールデンウィークとあって遺跡の隣にある道の駅は車でいっぱい。公園になった遺跡も子供連れ、ワンコ連れでにぎわっていました。新しくできた遺構展示情報館には少し離れたところで見つかった大型建物の柱跡が復元展示されていました。
復元された楼閣は遠くから見てもわかるほどに綺麗になっていました。ここまでの行程でかなり時間が押していたので、ゆっくり休む間もなく最後の目的地である「唐古・鍵考古学ミュージアム」に向かいました。
ここでは学芸員さんによるみっちり1時間のレクチャーを聴くことができました。唐古・鍵遺跡は多重環濠集落として有名ですが、環濠が浅いことから防御施設ではないと思っていたのですが、そのことが確認できました。このあたりは川が多くて地下水の水位が高く、竪穴式住居に水が湧いてくるので、環濠やたくさんの溝を掘って地下の水を抜いているのだと。これらの環濠や溝は最後は河川につながっていることが確認されています。
ここで質問したかったことがひとつあったのですが、タイミングがなくてできませんでした。弥生時代を代表する静岡県の登呂遺跡もここと同じように地下水の水位が高くて水が湧いてくる場所にあるのですが、住居は竪穴を掘らずに床面を地面と同じ高さにして、周りに土を盛って矢板で補強して壁をつくり、さらにその外周に排水溝を掘りめぐらせて水の侵入を防ぐ「平地式住居」という解決策がとられていました。環濠や溝で水を抜くよりもこちらの方が合理的な解決策ではないかと思った次第です。
学芸員さんの話をもっと聴いていたかったのですが、1時間の楽しい時間はあっという間に終わってしまいました。時間があれば4時間くらいはしゃべっていられるとのことだったので、もし次の機会があれば4時間コースをお願いしたいな。
ミュージアムを後にして田原本駅を目指し、目標の17時をちょっと過ぎましたが、無事にゴールにたどり着くことができました。この日は多神社での宮司さんのお話と資料館の見学、鏡作神社での宮司さんのお話と神宝や八咫鏡の拝観、唐古・鍵遺跡での学芸員さんのレクチャー、というたいへん価値ある経験、充実の時間を持つことができました。ひとりで周っていると絶対に経験できないことばかりでした。
以上で2日間のツアーの紹介を終わります。このツアーの企画・運営に携わっていただいた皆さん、楽しい時間をともに過ごして情報交換させていただいたツアー参加者の皆さん、ボランティアガイドのお二人、水泥古墳を見学させていただいた所有者の方、多神社の宮司さん、鏡作神社の宮司さん、ミュージアムの学芸員さん、皆さん、本当にありがとうございました。
↓↓↓↓↓↓↓電子出版しました。ぜひご覧ください。
2日日の5月4日は「地元ガイドとまわる2古社と唐古・鍵遺跡」と題して、次のようなルートを巡りました。
近鉄笠縫駅集合→多坐弥志理都比古神社(多神社)→鏡作坐天照御魂神社(鏡作神社)→笹鉾山1号墳→黒田大塚古墳→唐古・鍵遺跡→唐古・鍵考古学ミュージアム→近鉄田原本駅解散
笠縫駅から多神社へ徒歩で向かい、参拝後にランチをとって再び笠縫駅にもどり、ひと駅先の田原本駅まで電車に乗り、田原本駅からあとの行程はレンタサイクルで楽チンツアーとなりました。
スタートの笠縫駅からゴールの田原本駅までずっとついてくれた2名のボランティアガイドの方は田原本で文化財に関わるお仕事をされていたそうで、その関係からか、多神社と鏡作神社ではそれぞれの宮司さんから、唐古・鍵考古学ミュージアムでは学芸員さんから、貴重なお話を聴くことができました。
まずは多坐弥志理都比古神社(多神社)です。第一社に神倭磐余彦尊(神武天皇)、第二社には神八井耳命、第三社には神沼河耳命(綏靖天皇)、第四社に姫御神(玉依姫命)、計四柱の神が主祭神として祀られています。代々の宮司をつとめる多氏は神八井耳命を祖神とする氏族で、本人、父母、弟の家族4人が祀られていることになります。
鎮座地の住所は「奈良県磯城郡田原本町大字多」、つまり多氏の本拠地になります。すぐ近くに古事記を編纂した太安萬呂を祀る境外摂社の小杜神社があります。第一社から第四社まである本殿は残念ながら修理中でした。
境内にある資料館を案内してくれたのは第51代目の多氏当主である宮司さんです。この資料館には境内を含む多遺跡からの出土物、祭祀具、太安萬呂の墓誌(複製)、古事記写本など、貴重な資料が展示されていました。
笠縫駅から田原本駅まで電車で移動し、田原本駅からはレンタサイクルで鏡作坐天照御魂神社(鏡作神社)に向かいました。
鏡作坐天照御魂神社の祭神は、天照国照彦火明命、石凝姥命、天糠戸命の三柱です。この神社は2回目ですが、今回は宮司さんから由緒などのお話を伺うことができました。さらに、神社が大切に保管しているご神宝の鏡(三神二獣鏡)を特別に見せていただいたのです。上の写真に左側に写っているパネルにある鏡です。これはサプライズでした。
もうひとつのサプライズは拝殿に供えられた八咫鏡。これは福岡の平原遺跡から出土した日本最大(直径46.5㎝)の内行花文鏡を模造したもので、通常はピカピカに磨かれた表が正面を向いているので、裏面の文様はわからないのですが、このときは拝殿の裏へまわって鏡の裏面を見せていただけたのです。これまた貴重な経験でした。
拝殿の裏にまわったので、本殿を直接拝むこともできました。
ここから先はしばらく奈良盆地のど真ん中をサイクリングしながら、笹鉾山古墳、黒田大塚古墳を見学したあとに到着したのが唐古・鍵遺跡。ここは久しぶりです。前回に来た時は史跡公園としての整備が始まった頃だったと思いますが、今回はその工事が終わってまったく違うところに来たような感覚になりました。
ゴールデンウィークとあって遺跡の隣にある道の駅は車でいっぱい。公園になった遺跡も子供連れ、ワンコ連れでにぎわっていました。新しくできた遺構展示情報館には少し離れたところで見つかった大型建物の柱跡が復元展示されていました。
復元された楼閣は遠くから見てもわかるほどに綺麗になっていました。ここまでの行程でかなり時間が押していたので、ゆっくり休む間もなく最後の目的地である「唐古・鍵考古学ミュージアム」に向かいました。
ここでは学芸員さんによるみっちり1時間のレクチャーを聴くことができました。唐古・鍵遺跡は多重環濠集落として有名ですが、環濠が浅いことから防御施設ではないと思っていたのですが、そのことが確認できました。このあたりは川が多くて地下水の水位が高く、竪穴式住居に水が湧いてくるので、環濠やたくさんの溝を掘って地下の水を抜いているのだと。これらの環濠や溝は最後は河川につながっていることが確認されています。
ここで質問したかったことがひとつあったのですが、タイミングがなくてできませんでした。弥生時代を代表する静岡県の登呂遺跡もここと同じように地下水の水位が高くて水が湧いてくる場所にあるのですが、住居は竪穴を掘らずに床面を地面と同じ高さにして、周りに土を盛って矢板で補強して壁をつくり、さらにその外周に排水溝を掘りめぐらせて水の侵入を防ぐ「平地式住居」という解決策がとられていました。環濠や溝で水を抜くよりもこちらの方が合理的な解決策ではないかと思った次第です。
学芸員さんの話をもっと聴いていたかったのですが、1時間の楽しい時間はあっという間に終わってしまいました。時間があれば4時間くらいはしゃべっていられるとのことだったので、もし次の機会があれば4時間コースをお願いしたいな。
ミュージアムを後にして田原本駅を目指し、目標の17時をちょっと過ぎましたが、無事にゴールにたどり着くことができました。この日は多神社での宮司さんのお話と資料館の見学、鏡作神社での宮司さんのお話と神宝や八咫鏡の拝観、唐古・鍵遺跡での学芸員さんのレクチャー、というたいへん価値ある経験、充実の時間を持つことができました。ひとりで周っていると絶対に経験できないことばかりでした。
以上で2日間のツアーの紹介を終わります。このツアーの企画・運営に携わっていただいた皆さん、楽しい時間をともに過ごして情報交換させていただいたツアー参加者の皆さん、ボランティアガイドのお二人、水泥古墳を見学させていただいた所有者の方、多神社の宮司さん、鏡作神社の宮司さん、ミュージアムの学芸員さん、皆さん、本当にありがとうございました。
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