アベノミクスが始まった当初から、この連載では「大企業や富裕層ばかりが利益を膨らませ、国民生活は一向に良くならないだろう」と述べてきました。
2012年末以降、政権の支持率を大きく左右する経済分野の報道に関しては、複数の大手メディアによってかなり歪めて伝えられているように思われます。生活が苦しくなっているという国民が多いにもかかわらず、景気が良いという記事や報道を垂れ流し続けてきたからです。
先日もある週刊誌のA記者から、「△△新聞を読んでいると、景気が良いように感じられるのですが、実際にはそうではないですよね。どうしてなのでしょうか?」という質問を受けました。
私は「それはAさんが読んでいるのが、まさに△△新聞だからですよ。△△新聞は、事実上安倍政権を支持していますよね。いわゆる「御用メディア」は、政権の支持率を下げないように、都合が悪い情報はなるべく流さないようにしているのです」と答えました。
このことは、複数の大手新聞を読んでいる者にとっては、すでに常識となっていることであると思われます。
ところが問題が深刻なのは、与党の議員のなかには、本気で景気が良いと思っている人が相当な数でいるということなのです。
「御用メディア」を見たり読んだりして景気が良いと思っているようでは、あるいは、自分の周囲だけを見て景気が好調だと思っているようでは、政治家の資質はまったくないと言っても過言ではないでしょう。そのような現状認識では、いつまで経っても国民の生活が良くなるはずがないし、政治家としての存在意義がないのではないでしょうか。
企業の経営者に限らず、リーダーと呼ばれる人にとって、最も求められる資質のひとつに、自分にとって耳が痛いことにもしっかりと耳を傾けるというものがあります。
当然のことながら、こういった資質が政治家にも必要なのは言うまでもないのですが、その政治家が自分にとって都合の良い情報しか取り入れないのでは、国民生活の向上のために広い視野を持って政策など立案できるはずがありません。与野党を問わず議員の方々には、できる限り広く意見を汲んで、国政に役立たせてほしいと願うばかりです。
さて、基本的に「御用メディア」と言われるところは、アベノミクスについて功罪の両面から記事を掲載することなく、日本経済について政権寄りのバイアスをかけて報道してきたという経緯があります。
熱烈な政権支持者である場合を除いては、公平性・中立性を欠いた情報を望んでいる読者はほとんどいないでしょう。正直申し上げて、このような報道のあり方は、読者を非常にバカにしていると言えるのです。そういう「御用メディア」は、読者の側に立った報道をしていないのですから、遅かれ早かれ、多くの購読者の離反を招くことになるのではないでしょうか。
しかし、そのようなメディアであっても、中立的なメディアであっても、あるいは政権批判が十八番の新聞であっても、世論調査において、景気回復を「実感しているか」「実感していないか」というシンプルな質問では、結果をごまかしようがないようです。
各社の直近の世論調査の結果は以下のとおりですが、ほぼ同じ結果が出ているのは非常に興味深いことであると思われます。
日本経済新聞(調査時期6月)
実感している 18%
実感していない 75%
読売新聞(調査時期4月)
実感している 19%
実感していない 76%
朝日新聞(調査時期4月)
実感している 19%
実感していない 75%
産経新聞(調査時期1月)
実感している 16%
実感していない 78%
私もいろいろなメディアを通して「アベノミクスの恩恵を受けているのは、全体の約2割の人々に過ぎない」と訴えてきましたが、これらの世論調査でも概ねそれに近い結果が出ているようです。
なぜ2割なのかというと、大雑把に言って、富裕層と大企業に勤める人々の割合は2割くらいになるからです。要するに、残りの8割の人々は現政権の経済政策の蚊帳の外に置かれてしまっているわけです。
2014年10-12月期のGDPが前期比で1.2%増、2015年1-3月期が同3.9%増と2四半期連続でプラス成長を達成しているものの、日本経済は実質賃金低下の悪循環からはまだ抜け出すことができていません。
2012年に99.2だった実質賃金指数(2010年=100)は、現政権誕生後の円安インフレや消費増税によって、2013年には98.3、2014年には95.5と下落を続け、2015年になっても95.0を下回る勢いで推移しているのです。
数字を見るうえで注意しなければならないのは、「前年同月比の増減率」ではなく、2013年以降の推移そのものであるということを認識しておかねばなりません。数字の推移そのものを冷静に見ていかなければ、大手メディアの「大本営発表」にまんまと騙されてしまいかねないのです。
2013年~2014年の2年間における実質賃金の下落率は、リーマンショック期に匹敵するというのに、どうして景気が良くなっているなどと言えるのでしょうか。
それを証明するかのように、7月初めに公表された厚生労働省の国民生活基礎調査では、生活が「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%にも達し、両方の合計である「苦しい」が62.4%と、過去最高を更新してきています。
これが、現政権が行ってきた経済政策の結果であり、国民生活の実態であると、私たちはしっかりと認識しておく必要があるでしょう。
2012年末以降、政権の支持率を大きく左右する経済分野の報道に関しては、複数の大手メディアによってかなり歪めて伝えられているように思われます。生活が苦しくなっているという国民が多いにもかかわらず、景気が良いという記事や報道を垂れ流し続けてきたからです。
先日もある週刊誌のA記者から、「△△新聞を読んでいると、景気が良いように感じられるのですが、実際にはそうではないですよね。どうしてなのでしょうか?」という質問を受けました。
私は「それはAさんが読んでいるのが、まさに△△新聞だからですよ。△△新聞は、事実上安倍政権を支持していますよね。いわゆる「御用メディア」は、政権の支持率を下げないように、都合が悪い情報はなるべく流さないようにしているのです」と答えました。
このことは、複数の大手新聞を読んでいる者にとっては、すでに常識となっていることであると思われます。
ところが問題が深刻なのは、与党の議員のなかには、本気で景気が良いと思っている人が相当な数でいるということなのです。
「御用メディア」を見たり読んだりして景気が良いと思っているようでは、あるいは、自分の周囲だけを見て景気が好調だと思っているようでは、政治家の資質はまったくないと言っても過言ではないでしょう。そのような現状認識では、いつまで経っても国民の生活が良くなるはずがないし、政治家としての存在意義がないのではないでしょうか。
企業の経営者に限らず、リーダーと呼ばれる人にとって、最も求められる資質のひとつに、自分にとって耳が痛いことにもしっかりと耳を傾けるというものがあります。
当然のことながら、こういった資質が政治家にも必要なのは言うまでもないのですが、その政治家が自分にとって都合の良い情報しか取り入れないのでは、国民生活の向上のために広い視野を持って政策など立案できるはずがありません。与野党を問わず議員の方々には、できる限り広く意見を汲んで、国政に役立たせてほしいと願うばかりです。
さて、基本的に「御用メディア」と言われるところは、アベノミクスについて功罪の両面から記事を掲載することなく、日本経済について政権寄りのバイアスをかけて報道してきたという経緯があります。
熱烈な政権支持者である場合を除いては、公平性・中立性を欠いた情報を望んでいる読者はほとんどいないでしょう。正直申し上げて、このような報道のあり方は、読者を非常にバカにしていると言えるのです。そういう「御用メディア」は、読者の側に立った報道をしていないのですから、遅かれ早かれ、多くの購読者の離反を招くことになるのではないでしょうか。
しかし、そのようなメディアであっても、中立的なメディアであっても、あるいは政権批判が十八番の新聞であっても、世論調査において、景気回復を「実感しているか」「実感していないか」というシンプルな質問では、結果をごまかしようがないようです。
各社の直近の世論調査の結果は以下のとおりですが、ほぼ同じ結果が出ているのは非常に興味深いことであると思われます。
日本経済新聞(調査時期6月)
実感している 18%
実感していない 75%
読売新聞(調査時期4月)
実感している 19%
実感していない 76%
朝日新聞(調査時期4月)
実感している 19%
実感していない 75%
産経新聞(調査時期1月)
実感している 16%
実感していない 78%
私もいろいろなメディアを通して「アベノミクスの恩恵を受けているのは、全体の約2割の人々に過ぎない」と訴えてきましたが、これらの世論調査でも概ねそれに近い結果が出ているようです。
なぜ2割なのかというと、大雑把に言って、富裕層と大企業に勤める人々の割合は2割くらいになるからです。要するに、残りの8割の人々は現政権の経済政策の蚊帳の外に置かれてしまっているわけです。
2014年10-12月期のGDPが前期比で1.2%増、2015年1-3月期が同3.9%増と2四半期連続でプラス成長を達成しているものの、日本経済は実質賃金低下の悪循環からはまだ抜け出すことができていません。
2012年に99.2だった実質賃金指数(2010年=100)は、現政権誕生後の円安インフレや消費増税によって、2013年には98.3、2014年には95.5と下落を続け、2015年になっても95.0を下回る勢いで推移しているのです。
数字を見るうえで注意しなければならないのは、「前年同月比の増減率」ではなく、2013年以降の推移そのものであるということを認識しておかねばなりません。数字の推移そのものを冷静に見ていかなければ、大手メディアの「大本営発表」にまんまと騙されてしまいかねないのです。
2013年~2014年の2年間における実質賃金の下落率は、リーマンショック期に匹敵するというのに、どうして景気が良くなっているなどと言えるのでしょうか。
それを証明するかのように、7月初めに公表された厚生労働省の国民生活基礎調査では、生活が「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%にも達し、両方の合計である「苦しい」が62.4%と、過去最高を更新してきています。
これが、現政権が行ってきた経済政策の結果であり、国民生活の実態であると、私たちはしっかりと認識しておく必要があるでしょう。