ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

フランスとフランス人に、任せなさい!

2011-11-02 21:33:21 | 社会
「まかせなさ~い」といえば・・・う~ん、明石家さんまだったか、桂三枝だったか、記憶があいまいなので、ネットで調べたところ、「まかせなさい」がタイトルについているテレビ番組や本がかなりあるのにびっくりしました。
・「やすきおの御用だ!まかせなさい」(横山やすし・西川きよし)
・「正月はたけしにまかせなさい」(ビートたけし)
・「鶴光のまかせなさい」(笑福亭鶴光)
・「のりおのまかせなさい!」(西川のりお)
・『所さんにまかせなさい』(所ジョージ:本)
お笑い系タレントの番組や本のタイトルが多いようですが、肝心の「まかせなさ~い」を連呼していたのが誰だったのか、はっきりしないままで、隔靴掻痒。

今、この「まかせなさい」を叫んでいるのではないかと思えるのが、フランスです。言うまでもなく、ユーロの危機に対して。ギリシャは、何をやっているのだ!? ECBをイタリア人に任せて大丈夫か!? やはり、ここはフランスとフランス人に任せなさい!

そんなふうにも読める記事が、主観的にそう思えるというだけなのですが、1日の『ル・モンド』(電子版)に出ていました。

パパンドレウ(George Papandréou)は、何を急に怒り出したのか。このギリシャの首相は、ドイツをはじめ多くの国々で、ユーロ圏にギリシャを入れたことを悔やんでいる人々の、その後悔がもっともなことだと認めようというのだろうか。パパンドレウ首相は10月31日の夜、欧州のパートナーたちに知らせもせず、唐突に、1週間ほど前にようやく成立したユーロ圏によるギリシャ救済案を国民投票にかけると発表し、すべてを台無しにしかねない波乱を呼び起こしている。

ブリュッセルで成立したギリシャ救済策は、妥協の産物で、はじめからその危うさは広く理解されていた。10月26日の深夜というか、27日の早朝にユーロ圏の首脳たちがようやくたどり着いたこの合意は、複雑で、実施を遅らせる問題があちこちに散見でき、曖昧な点も多く残されている。例えば、銀行の自発的な債権放棄、巨額の債務を抱える国々が受け入れた再建策、欧州金融安定基金(le Fonds européen de stabilité financière:FESF、英語表記ではEFSF)の役割と基金の使われ方、欧州中央銀行(Banque centrale européenne:BCE、英語表記でECB)の影響力を行使できる範囲など、明確でない点が残されている。

合意の実施が容易でないこともよく理解されている。しかも、ユーロ圏で唯一の共通組織であるBCEは、その嵐の中で総裁を交代させなければならなかった。まるで、それが必要であったかのように。しかし実際には、規約、条約に従っての交代で、延期することは不可能だ。BCEのトップ交代が不安だからといって、それはジャン=クロード・トリシェ(Jean-Claude Trichet)の後任として11月1日に総裁に就任したイタリア人のマリオ・ドラギ(Mario Draghi)が問題があるからではない。そうした侮辱をするつもりはない。ただ、BCEのような重要な機関をリードしていく、それも今日のような嵐の中で舵を取るには、進むべき方向を明示し、EUという組織を掌握し、政治家・市場・怒れる者たちなどとの上手な全方位コミュニケーションをとることが求められる。この危機の中で主役を務めるBCE総裁は全幅の信頼を周囲から得ていなければならない。しかし、その信頼は一日で形作られるものではない。

10月31日にニューヨークで発表されたMFグローバルの倒産は、リーマン・ブラザース以降、アメリカの金融機関としては最も大きな破産であり、その原因は、ヨーロッパ諸国の国債に賭け過ぎたということだ。このアメリカの金融機関の倒産が示していることは、10月27日のEU首脳の合意だけでは経済危機の連鎖を食い止めることはできなということだ。

ユーロ圏の支援策を国民投票にかけるというパパンドレウ首相の提案は、常軌を逸した賭けだと言わざるを得ない。もちろん、支持する人たちは、これぞ民主主義だと言うだろうが。ギリシャ人は支援策の内容をしっかり理解すれば、承認するだろうと、パパンドレウは言っている。しかし、その意見は、目下のところ、抗議をしているギリシャ国民の声や世論調査の結果とは異なっている。今回の支援策のような厳しい内容の政策を国民が全員一致で受け入れると想像してみるがいい。パパンドレウ首相は、ユーロ圏の支援策をもう一度交渉し直すために、国民投票にかけると言い出したのだろうか。そうは思えない。ユーロ圏はそのように統治されるべきではない。アテネのクーデタは、最悪である不確かな状況を少なくとも来年1月まで引き延ばすことになる。ギリシャはユーロ圏に席を占めるべきかどうかを問いかけるような対応だ。

・・・ということで、ギリシャは勝手なことをするな。ドイツと一緒にフランスが決めた支援策を、そのまま受け入れれば良いのだ。ECBの総裁にしても、このような困難な時期は、フランス人のジャン=クロード・トリシェに任せておけばいいのだ。規則だからといって、このような時期に船長を変えるべきではない。“Quand les rafales soufflent, on ne change pas de capitaine pour mettre à la barre un petit nouveau.”というではないか。そんなふうにも読めます。

日本では、「急流で馬を乗り換えるな」とも言いますね。しかし、ECB総裁の場合、ドラギ氏も金融・財政のベテラン。イタリア中銀の総裁を務めていました。それでも、やはり心配・・・なのは、イタリア人だからでしょうか。フランス人に任せておけばいいのに。フランス人の中華思想・・・

そんなふうに、意地の悪い読み方をするべきではない。ギリシャの無責任ぶりは批判しているが、困難な時期にECB総裁の交代が重なった不運や、経済危機が世界へ波及することを述べているだけだ。ひねくれた読み方をするものではない、とお叱りを受けそうですが、裏読み、深読み、行間を読むとも言いますから、少しくらい意地の悪い読み方があってもいいのではと、自己満足しています。だから、その性格が直らない、と重ねてお叱りを受けそうですが・・・