ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

アフリカ支援も、先立つものは予算だ。

2011-07-29 22:13:52 | 社会
“Oxfam”(オックスファム)という団体をご存知でしょうか。27日の『ル・モンド』(電子版)の記事の見出しに出てきました。“Famine en Afrique:Oxfam se gausse de la diplomatique française”(アフリカの飢餓・・・オックスファム、フランス外交を嘲笑する)

Oxfamとは・・・オックスファム・ジャパンのホームページによると、「オックスファムは世界98カ国で、そこに住む人びとと共に活動する民間の支援団体」だそうで、「貧困に生きる人びとがその貧困から抜け出そうとする努力をサポートし、また貧困そのものを根本的になくそうとする活動」を行っているそうです。浅学菲才の身にとっては、初めて聞く名前でした。

それにしても、オックスファムとはどこに由来する名前なのでしょう。ちょっとユニークな名前ですよね。再び、ホームページによると、「1942年、ナチス軍による攻撃で窮地に陥っていたギリシャ市民に、オックスフォード市民5人が、食糧や古着を送ったことが、オックスファムの始まりです。『オックスフォード飢饉救済委員会(Oxford Committee for Famine Relief)』という名で活動を行なっていましたが、その後、オックスファム(Oxfam)と名称を改め」たそうです。つまり、イギリスのオックスフォード市民による飢餓対策活動が起源になっていることから、Oxford+FamineでOxfamとなったようです。因みに、オックスファム・ジャパンは2003年12月に設立されています。

さて、こうした民間団体がフランス外交を嘲笑した・・・その背景を、『ル・モンド』の記事が紹介しています。

7月27日、フランス農業省が干ばつの犠牲になっているアフリカ諸国に対する支援国会議をケニアのナイロビで行うと発表するや、オックスファムはフランス外交のこうした活動を嘲笑し、そのような国際会議など行われないと述べた。

「ここ数日、フランス政府、特に農業相のブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)はアフリカの角と呼ばれるソマリアでの食糧危機に対応すべく外交活動を集中的に行ってきた」、とNGOであるオックスファムの声明文は語っている。

声明文は続けて、「食糧危機の影響を最も深刻に受けている地域への職員派遣とFAO(国連食糧農業機関)による緊急会議の招集を受けて、フランスは数日前から27日にナイロビで支援国による重要な会議を行うと発表してきた。しかし、問題は、そのような会議は行われないということだ」と、述べている。

最近、フランスが行ってきた外交活動は経済支援の少なさを隠すための煙幕でしかなかったのだろうか・・・オックスファム・フランスのジャン=シリル・ダゴルン(Jean-Cyril Dagorn)は、声明文の中で自問している。

国連人道問題調整事務所(OCHA:フランス語表記では、Bureau de coordination des affaires humanitaires des Nations unies)は27日、ナイロビで支援国の駐ケニア大使を集めたが、それは単にソマリアの現状を分析する通常の会議だった。

G20の議長国であるフランスのイニシアティブの下、FAO(国連食糧農業機関)が本部のあるローマで25日に開いた会議は、多くの人道団体を失望させるものだった。

国連食糧農業機関代表のジャック・ディウフ(Jacques Diouf:セネガル人)は、「アフリカの角」地域への大規模かつ緊急の国際支援を明確に求めた。しかし、その具体的な支援の輪郭は曖昧なままだ。国連は、1,200万人もの人々がソマリア地域で干ばつの影響を受けており、過去数十年で最悪な状態になっていると述べている。

国連世界食糧計画(WFP、仏語表記では、Le Programme alimentaire mondial)は、ソマリアの干ばつ被害者を支援するため、27日午後、ヘリコプターによるピストン輸送を開始したと発表。モガジシオへ向けて第一便が栄養失調に苦しむ子どもたちへの支援物資10トンを積んで出発した。目標は、10数回のフライトでトータル100トンの食糧を運ぶことだ。

・・・ということで、フランスの言葉は踊り、会議は雲散霧消する。そして、支援は届かない。どうしてか。予算がないから。G20の議長国として、さっそうと多くの国々を仕切って、実績を残したいフランス。しかし、予算がない。結果として、コトバと曖昧な計画、実体のない対策が宙に舞うばかり。

干ばつと飢餓を前に、実体のない対応は意味をなさない。口だけなら、引っ込んでいろ、フランス! とばかりに、WFPやNGOが独自に行動を開始しています。人命がかかっている時に、言を弄するだけで行動が伴わないのでは、何の役にも立たない。コトバより、実行。

とくれば、日本の出番ではないでしょうか。男は、黙って。背中で語る。実行あるのみ。極東からアフリカは遠く、ソマリア国内の政治情勢、治安状況がネックとなり、具体的な支援活動は難しいようですが、それでも毎日栄養失調で死んでいく子どもたちを見捨てるわけにはいきません。ソマリアに地下資源が多くないためか、主要国からの支援も滞りがち。日本の国際貢献が発揮できる場所かもしれません。ジブチに海賊取り締まりの基地もあることですし。なんとか支援を始められないものでしょうか。予算とやる気があるかどうかが、問題ですが。