緑の街の水先案内人

都城市で緑の街の水先案内人として移る日々を写真と日記で綴ります。

五千年前の現場

2012年09月07日 17時51分59秒 | 歴史
9月7日(金)   



現地航空写真(google map)


五千年前の石剣


 とりあえず五千年前の石剣が出土した鹿児島県大崎町天神段遺跡、東九州自動車道の工事現場であれば、発掘調査が終了しますと発掘調査現地の状況は道路工事へと移行して消えてしまします。どんな状態で石剣が出土したか資料でしか確認出来なくなります。こんな場合は現場へ出向いて、自分の目で確認してカメラなりに納めて置く事が重要であります。


大崎町天神段発掘現場全景


石剣発掘現場(今年6月11日出土)


石剣出土の五層上面

 現場へ直行と決めますと、朝一番が何かと都合が良くて、大隅半島の国道・県道・広域農道・町道と最短距離を自分なりに見つけて進路を定めます。この際、昨日と同様にgoogle mapを利用します。鹿児島県の航空写真、以前より精度が上がり鮮明に成っております。都城盆地はまだ不透明な航空写真のままです。しかし、鹿児島県のこの精度ならば、google mapの利用度が高まりそうであります。


東九州自動車道工事現場の西側部分


東九州自動車道工事現場の中央部分


東九州自動車道工事現場の東側部分

 現地は拙宅からマイカーで約四五分間の距離。現地へ出向きますと、自動車道の工事は予想以上に進行して、道路をまたぐ架橋工事や盛土工事など、鹿屋インターまでの工事区間、開通はいつなのか?地元に居ながらノンビリしたものです。さて、県道から町道へと進み、発掘現場へたどり着きます。遺跡発掘作業はほとんど人の手による慎重な作業ですので、現場は驚くほどの人数で作業を行っております。この天神段現場も同じです。


発掘調査の現場


発掘調査の現場

 マイカーを道路脇に止めて、ロープの張られた発掘現場に近づきますと、都合良く発掘調査担当者から案内して頂く事になり、まずは石剣の出土現場を教えて頂きます。地層では天神段遺跡五層上面より出土。五層が下面がボラ礫層、中面が赤ホヤ、上面がやや色の薄い赤ホヤ層に成っております。この赤ホヤは姶良カルデラ火山灰層かな?この辺は帰宅しての復習です。


縄文時代の調理場跡

 しかし、現地で五千年前の世界を容易にイメージする事が出来ません。五千年に拘っておりましたら、ヨーロッパの「アルプス・アイスマン」、氷河から出土した男性遺体が五千年前の人体である事を思い出しました。アイスマンの科学的調査もかなり進行しているようで、ネットで検索しますと、関係写真が続々と出てきました。予備資料に一見の価値ありです。


連結土抗


内部に石のある連結土抗


土器の破片

 現場を眺めていきますと、石を並べた調理場、調理に火を用いた場所でとなりに連結土抗が出土しております。大きな穴の部分で火を燃やして、煙を小さな穴へ誘導して、穴の上で獲物を煙で燻製にして保存食にします。土器の破片も一面に散乱したような感じを受けます。石器と土器どちらも用いていたのでしょう。「霧島市上野原縄文の森」に九千五百年前の連結土抗が出土して展示してあります。連結土光の大きな穴に丸い石が並べてあり、担当者の弁では料理用の石皿ではないかとの説明です。石器時代の調査も同時に行われていますが、めぼしい成果は無さそうであります。


時代が更に遡る獲物を捕る落とし穴


石器時代の遺跡を著さするチドリ掘り

 南九州の縄文遺跡からは、人体もしくは人骨かが出土する事はほぼ皆無な状態ですが、それでもどんな人々が五千年前の同じ土地で生活していたのか、DNAは現代人とつながりがあるのか、尽きない関心事であります。出土品から想像の世界をより現実の世界へ近づけさせる事は、考古学者ならずとも地元民として、これからも待ち望む事であります。


参考URL:南九州・上野原遺跡

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