∞ヘロン「水野氏ルーツ採訪記」

  ―― 水野氏史研究ノート ――

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B-1 >宝亀山 蔵福寺

2005-06-02 13:22:20 | B-1 >水野太郎左衛門系
宝亀山 蔵福寺
愛知県名古屋市熱田区神宮2丁目11-12     Visit :2005-05-31 11:30


銘文
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尾 州 愛 智 郡 熱 田 驛 蔵  寺 内
新 掛 分 時 鐘 之 銘
墜 号 蓬 來  煙 鎖 櫻 臺  誰 奇 驛 楳
四 海 旅 人  会 此 要 津  何 打 因 循
臨 歩 盤 垣  渡 七 里 灘  道 透 長 安
東 遊 武 城  蓐 食 早 行  日 遍 柳 営
犀 擁 碧 油  大 朝 諸 侯  徳 濡 鴻 休
官 不 容 針  尺 壁 寸 陰  可 尽 中 心
新 掛 銅 鐘  萬 鈞 在 鎔  鳧 氏[①][①]
内 虚 外 円  形 様 天 然  歴 却 長 堅
蔵 福 精 藍  僧 姓 瞿 曇  簷 影 海 涵
置 吏 撞 之  二 六 時 今  欽 乃 攸 司
縦 雖 以 莚  響 壓 雷 霆  疑 驚 僊 霊
日 本 武 尊  願 開 耳 門  恭 慰 神 魂
或 詣 剣 宮  特 抽 丹 衷  乞 一 席 風
能 令 邦 君  聲 容[①][①] 豈 籍 銘 文
万 季 流 芳  積 善 餘 慶  奕 葉 殷 昌
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延 宝 四 年 歳 次 丙 辰 立 秋 之 日
幹 事 増 田 氏 冶 兵 衛 尉 正 弘
冶 工 水 野 太 郎 左 衛 門 政 長
本 郡 亀 山 幻 住 黙 隠 子 謹 銘
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銘文注
*1=“禺”偏に“頁”旁


江戸時代、東海道では唯一の海上路であった、宮の渡しや七里の渡しとして有名な、桑名宿への渡船場である熱田の宮宿があった。航行のための時を告げる時の鐘が、熱田神宮正門南西の蔵福寺に設けられ、正確な時刻を知らせる鐘として知られていた。
 現在は、「宮の渡し公園」として整備され、「常夜燈」と「時の鐘」が再建されている。常夜燈が最初に建てられたのは寛永二年(1625)であるが、現在のものは昭和三十年(1955)に復元されたものである。時の鐘は、昭和二十年(1945)戦災により鐘楼は消失したが、鐘自体は今も蔵福寺に残っている。昭和五十八年(1983)に宮の渡し公園内に復元され、午前8時、正午と午後6時に鐘が鳴るという。

蔵福寺は、浄土宗西山禅林寺派で、山号は宝亀山と号し、延宝四年(1676)尾張藩主光友の命により第五代水野太郎左衛門政長作の熱田時鐘(径87.5 高152.0 、鋳銅製)を設けた。鐘楼が消失したことで、現在は当寺の南端、木下の地面に直に置かれ、駒の爪(『梵鐘名所』の記事参照)が半分ほど埋もれ、哀れにも野ざらしとなっている。戦災により大半の梵鐘・喚鐘などが供出され、現存するものが僅少となっている現状においては、こういった貴重な資料をなんとか大切に保存できないものかと心が痛んだ。
反面、こういった状況下にあったことで、図らずも梵鐘表面の全てが自然光の中で観察することができた。上部から観ていくと、龍頭は精巧で彫りの深い見事なものである。笠形の上面には鋳込みの溶湯の湯口跡か、あるいは凝固時の金属収縮ための押湯と呼ばれる溶湯だまり口の跡と思われる荒い凹みが長方形にくっきりと残っている。乳は欠けもせず彫りは鋭角のままである。、そして池の間には水野太郎左衛門政長の銘がはっきりと確認された。

水野太郎左衛門家系図
http://blog.goo.ne.jp/heron_goo/e/42f77dfdd91dfcd69ef3357f3d0bfd06




2013.4.26 update
先般、上記のように――
>現在は当寺の南端、木下の地面に直に置かれ、駒の爪(『梵鐘名所』の記事参照)が半分ほど埋もれ、哀れにも野ざらしとなっている。戦災により大半の梵鐘・喚鐘などが供出され、現存するものが僅少となっている現状においては、こういった貴重な資料をなんとか大切に保存できないものかと心が痛んだ。

――と記しましたが、昨日(2013.4.25)、名古屋市博物館で開催されている、日中国交正常化40周年特別展「中国王朝の至宝」を、観覧に行き、その後同館の常設展を久しぶりに観覧したところ、なんとこの「熱田時鐘」が展示されているではありませんか。
それで、予約はしておりませんでしたが、以前お世話になった同館学芸員の方に面会し、この経緯を伺ったところ、数年前に同館で開催された展示会に関連して、この時鐘を所有者からお借りし展示したと判明しました。
 その後返却する予定でありましたが、所有者のご厚意により、時鐘は同館に寄託されることとなり、常設展示されることとなりました。
 誠に以て喜ばしい限りであり、この時鐘をご覧になりたい方は、ぜひ名古屋市博物館に
足をお運びになりますことをお勧め致します。






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