気になること

視点を変えて、近頃気になること

傾聴ボランティア(3)「いま、ここ」

2015-01-19 20:21:00 | 傾聴
  傾聴ボランティアの会(ピアーグループ)には大勢が登録しているが、多くの老人介護施設があるので一ヶ所に行ける人数には限りがある。その施設にも多数の方がおられるし、あるインターバルでしか行けないので、いつも同じ方の話を聞けるとは限らず、また高齢のためもありボランティアの顔を覚えていてくれる方は少ない。したがって、いつも初対面と同じ状態で会話を始めるので話が積み上がらないことが多く、傾聴ボランティアをやってどのような効果なり意味があるのか、という疑問にぶつかるボランティアも多い。
 「Here and Now いまここ」ということばを初めて聞いたのは、「傾聴ボランティア講座」を受講した時であった。いまここで楽しい事を思い出させてやるのが、傾聴者の役割であるという。そのときは、「いまここ」でたまの楽しい時間を持っても、かなり刹那的ではないか、楽しいことが持続しないでお互いに寂しくないかと懐疑的であった。それ以来ずっと、「いまここ」が気になっていた。
 TVで見たが、おそらく認知症の方の様に、記憶を失いながら「いまこの瞬間」のみを生きていると思われる方々には、傾聴活動をする我々にも、「いまここ」の対応が必要かもしれない。
 A・スマナサーラ著『自分を変える気づきの瞑想法』には、瞑想の効果についてではあるが、「誰もが過去(悩みなど)と将来(心配など)に思考をめぐらせ、今を生きようとしない」、「今を生きれば、人生は成功し幸福になれる」とある。
 むろん企業などでは、将来に思考をめぐらせる必要があり、「いまここ」も場面により異なるニュアンスで使われている。しかし両者の共通点を謎掛けのように考えると、奥深い意味も感じられる。
 先日、ある施設に傾聴ボランティアにお邪魔したとき、90歳を超えた女性から次のように言われて驚いてしまった。すなわち「長生きすると、あなたのような人と話ができて本当によかった」と。これも「いま、ここ」だと実感した。このようなことを言われる方に初めてお目にかかった。この方は多分ショートステイなので、次にお邪魔した時にまた会えるかどうかは分からない。
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